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僕と妖怪少女と常日頃 Re:salvation  作者: 工藤将太
第2章【陰陽道所属の世界】
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第2章18話 「相談事(後)」


「えと…なんか気まずい状況なんですが…

 クロはどうしてここに…?」


クロは押し黙り何も答えない。

だがその行動はどうしてもここにいなくちゃいけない、

という感じにも見られた。


「良いんだよ彼女のことは。

 それじゃあ相談ごとを話してくれ」


「ええ…じゃあ…」


そして俺は話を始めた。

これまでの自分がここにいる経緯を含めて。

アナスタシオスの介入で反百鬼夜行派と百鬼夜行派との争いが

より一層増し沢山の妖怪たちが命を落としたこと。

陰陽師もそれに気づきこの二勢力に争いでぶつかり合う事態に

総大将ぬらりひょんは百鬼夜行を反百鬼も混ぜ統合するも

アナスタシオスの介入で内乱が起き百鬼夜行は遂には破滅したこと。

そしてこのことを話したエクリクシィにこの世界でも同じ運命を

アナスタシオスに一任するという形で妨害せず傍観してはいかがだろうか

ということ。

でも自分は生まれ変わった世界で

今大切だと思うものに出会ってしまった。

髪を撫でただけで恥ずかしそうにえへへと呟く可愛い彼女を

俺は今ここでは由理を愛している。

でもこれは与えられた運命での、世界の話。

もしも俺がこれとはまた違う別の世界に行ったとすれば

由理は自分のことを他人だとしてすれ違うだろう。


「愛した愛されるって何も一つとは限りません。

 くさい話でしょうけど俺は今いるこの世界で由理を愛しています。

 でもまた世界を飛べば由理は俺を忘れています。

 それだったら世界なんて一つ二つあっても同じだろって考えちゃいます。

 介入を妨害せず運命に身を任せてみるのも良いだろって。

 でもそうじゃないっていうのも思うんです。

 この世界の由理という少女の…俺の愛する人を失えって…

 何言ってるか俺でも訳わかんなくなります。

 でも言いたいことは一つだけなんです。

 俺は…どうしたら良いんでしょうか…運命に委ねるか抗うか。」


「…まず私から二つ回答…いや選択するその理由を

 明確にする"動機"を与えよう。」


「動機?」


「ああ。まず補足事項として君が悩む問題の提議として

 また解決策を考える理由としてこの場にクロを呼ばせてもらった。

 このことは考慮しておいてくれ、なぁ?2人とも??」


雲雀さんの声にクロはびくっと身体を震わせる。

ずっと下を向いていたから顔が見られなかったが今になって

慶はクロの状態に気付く。

今日は驚いてばかりだ…と一瞬考えるがそれは仕方が無かった。

クロが目に大粒の涙を浮かべていたからだった。


「さて先の君に与える動機だが…

 一つ、その場にいるクロロン・ヴェール。

 彼女は元々アナスタシオスに仕えていたメイドであり

 良き理解者でありそして愛を共にしていた隣人だ。」


「なっ…―」


「そして二つ、私がアナスタシオスが何のために

 命を収集しているのかを知っている。」


この事実に昔の慶であれば激昂していたに違いない。

どうしてそんな大事なことを黙っていたのか。

そしてその怒りの矛先はツキネにも向いていただろう。

こうして雲雀さん…いや雲雀も知っていることだし、

もしかしたら全員グル?なのかとも見て取れるだろう。

だが慶は何故かそんな気も起きずにいた。


「あれ、君は怒らないんだね。」


「…横でこんな号泣してる子に恫喝なんてできませんよ…

 で雲雀さんあなたはどうしてそんなことを隠して

 しかも動機…だと言って告白したんですか」


「楽しいから、かな」


「は?」


すると雲雀さんは嬉しそうに立ち上がり話し始める。


「私は自分が不運な環境にあるとは思わないんだよ、山城くん。

 私が持つ情報はとても膨大だ。

 何が膨大かを説明すればすべての記録や人の記憶を本として

 頭に保存しているからなんだよ。

 だからこそどういう感情でどのように動くのかが分かる。

 ツキネは私のことをとても物好きな変わり者であり

 良き理解者だと言ってくれている。

 どうしてか分かるかい?」


「…どうしてなんですか」


「それは私が答えを知っているのと同時に

 それらすべて同じ回答を知っているからだよ。

 ちなみにクロの流す涙は本物だよ?君は頭の回転が速いだろうから

 先に言っておくけれど…クロは本当に自分が愛した人がこんなことを

 引き起こしてしまうなんて思っていなかったのさ。

 だから涙を流してしまった。

 で、前者に戻るけど」


とあっさりクロの議題を下げて座る雲雀さんに俺は難色を示す。

前者の話?同じ回答をすべて知っているってことか?

慶は横で未だに号泣するクロに対し静かにハンカチを渡す。

雲雀さんはどういう訳か俺とこの話をすると分かっていて

多分クロを呼んだのだろう。何故わざわざ呼んだのかは分からないが。

ハンカチを握りしめこちらを上目遣いで見るクロを横目で見ながら

その話に戻る。


「すべての同じ回答を知っていると言ったが

 今までの話から誰が私と同じことを知っているのか分からないかな?

 あ、意味が分からなそうにしてるから質問を変えるね?

 クロを呼んで君に話をさせた、

 でもその答えをクロをここに呼んだ張本人は

 この場には―――――いない。」


「…おい待て」


何かを悟ったじゃない。

俺はその者を知っている。


「さあて、君はいったい何を信じられるかな?

 クエスチョン、この場にいないものは誰だ?」


「雲雀……お前は何を……企んでる…?」


目は白く虚ろだが笑みはしっかりと嘲笑していた。


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