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僕と妖怪少女と常日頃 Re:salvation  作者: 工藤将太
第2章【陰陽道所属の世界】
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第2章17話 「相談事(前)」

会議お疲れ様と由理が俺の横に座る。

俺はああ、と呟き開放された庭の夜の風景を見つめる。

なんだかんだ慣れてしまった日常だが苦しくは無かった。

というより横の今は自分の嫁という

人物の笑顔を見れるだけありがたいというものだ。

由理の格好もそうだが今は俺は袴を着ている。

由理の方は着物のような格好で寝間着のようなものだ。

ある意味こういう寝間着は久しぶりと言うか新鮮な気がする。

由理の髪を撫でると恥ずかしそうにえへへと呟く。

そんな可愛い彼女を見つめ

慶はこれで本当に良いのか…?という疑問をふと考えた。

確かに俺は今ここでは由理を愛している。

でもこれは与えられた運命での、世界での話だ。

もしも俺がこれとはまた違う別の世界に行ったとすれば

由理は自分のことを他人だとしてすれ違うだろう。

じゃあ本当に良いのか?

愛してくれている人を蔑ろにして

第三者の好きにしても本当にいいのだろうか。

第三者の妨害をすることは前いた世界ではやったことだろう、でも。

そのほとんどが空振りをして多くの命を失った。

妨害をして失ったんだ。

じゃあ妨害をしなければどうなる?

もっと死んでいた…?それならこの世界ではどうなる?

この世界の第三者の介入を妨害しなければこの世界はどうなる?

エクリクシィには妨害をするな見届けろと言われ

自分が掲げる目標のためなら仕方ないと言った。

仕方ない。

命を救うためにそれまでの失われる命は仕方ない…?

いやそれじゃダメなんだ。

仕方なくなんかないんだよ!

この世界の命がただただ失われるなんて!!!


「―慶?」


「っ!……あ…えと…」


「苦しそうな顔してたけど大丈夫?

 そんな深刻な話でもしてたの……?」


「…え…えと…そんな!そんなことはないよっ!!

 大したことないよっ!ははは…」


嘘だ。

大した話なんだよ。

でもこんな話まともじゃない。

第三者の介入なんか話せば老骨たち含め陰陽師は

百鬼夜行派や反百鬼を疑い始める。

そんなこと妨害じゃない。

内部分裂からの自滅の一途を辿ることになるだけだ。

そんな終わり方は第三者から見れば褒美だし

そんなのは妨害じゃなく手助けだ。

自ら手を貸すなんてそれは命知らずがやるものだ。

もしくはただの馬鹿か図に乗った偽善者かだ。

俺は何を決断すれば良い?

今いるこの世界の破滅を願うか生存を願うか。

……俺一人じゃこんなの決められない。

訊くしかないか。


「ちょっとトイレに行ってくるよ。」


「え?ああ、うん分かったよ」


いきなり立ち上がり部屋から出る俺の後ろ姿を由理はじっと見つめる。

そして角を曲がるのを確認すると由理は

火照った自分の顔をパシッと叩き

夜の庭を見つめるのだった。







狭間の世界に来るのは何だか久々な気がした。

慶が訪れた世界こそツキネがスキルと呼ばれる力

【終焉】で作り上げ時間を止めた世界のことだ。

アナスタシオスとの戦い後に作り上げた世界

でそこにいる者たちは不死になっている。

不老ではないため本当の意味で死なないというのではないらしいが。

慶はトイレのドアを通じてこの世界に降り立っている。

というのも狭間の世界への行き方はドアや何かを遮るものから行け、

今回もまたトイレを使いこうして狭間の世界にワープしたのだった。

世界に降り立ったところで周囲を確認する。

いつもいる執務室にもツキネはいない。

どうしたものかと考えているとそこに


「おや、どうされたんですか?山城さま」


「あ…えと確か……」


「クロでございます。

 クロロン・ヴェールのクロです。

 どうされましたか?」


「いや、アナスタシオスと今後のことについて

 ツキネに相談したかったんだが…」


「………ツキネ様なら書庫にいるかと存じ上げますが…」


「おお、ありがとう。」


いえ、とクロは一礼してから立ち去る。

慶は書庫へとたどり着きそのままドアを捻り開けると

すぐ近くに雲雀さんがその膝にツキネを載せて長椅子に座っていた。

すぅすぅと眠るツキネはどう見ても自分より年上だというのが

信じられない思いでいっぱいだった。


「……あ」


こちらに気付いた雲雀さんが呟くと連動して

ツキネもまたもぞもぞと動き

起きる。ふわぁという可愛らしい声とともに

狐耳を動かしながらその方向にツキネもまた振り向き


「おお、山城か…

 すまんな…寝てた」


「いや大丈夫だ。

 俺も寝間着を着てるし。」


すると何かを勘違いしたようにツキネは身体を隠しながら


「わっ…私を……!!」


「何もしねぇよ。

 ってそういやお前に相談したいことがあったんだが…」


的確すぎる反論に少し喜びを浮かべていたツキネだったが

相談と聞いて少し微笑する。


「私にか?うん…いやそこは雲雀さんとしてくれ。」


「え、なんで―」


相談事のほとんどは自分じゃなく雲雀が適任だと呟き

その内容がアナスタシオスに関わるモノじゃなければ

尚更だと付け加えツキネは書庫を後にする。

少しばかり落胆する俺に目の見えない雲雀さんは


「私じゃ不満…かな?」


「……いえ。

 ちょっとした悩みだったんですけど

 あんな感じで断られちゃうとなんか…」


「―興が冷めちゃう?まあ私でよければ相談に乗るよ。

 ちなみに補足するとツキネは君が戦闘やアナスタシオス以外の話を

 すると分かっていたからわざと話をしなかったんだと思うよ。」


図星をつく雲雀さんの言葉に俺はただ驚く。

雲雀さんは瞳を閉じながらそう呟いていた。

俺の目の前雲雀さんは生まれつき目が見えない。

詳細は聞いていないので分からないが雲雀さんもまたツキネや

アナスタシオスのように何らかのスキルを所持している。

手で触って本を読解したりしたところを前に一度見たことがある。

また目が見えない分耳も良いらしい。

大体話の口調で何を言いたいのかが分かるのだとか。

そしてそのときの気持ちも…


「君が今悩んでいることはなんだい?」


「あ…えと……」


「そう、選択かな?」


慶はそこで驚きがつい口に出てしまう。

すると図星?と笑い首を傾けた。


(本当にこの人は…なんでも知ってるんだな……)


「そう…です。

 でもどうやって分かったんですか?」


ふふ、と笑い近くにある杖を持って移動する雲雀さん。

回答を素直に示さないのもこの人なりの会話手段の方法なのかもしれない。

席に座ると丁度良く書庫にこの場を含めて三人目となる者が入る。


「足音から察するにクロか。

 どうしたんだい?」


後ろを振り向くとそこにはメイドではない

見慣れない服装のクロが恥ずかしそうに立っている。

俺の姿に若干驚き自分の姿を隠しているがすぐになおって

俺の横の席に座り黙り込む。

どういうわけかこのまま俺の相談事は始まった。


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