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僕と妖怪少女と常日頃 Re:salvation  作者: 工藤将太
第2章【陰陽道所属の世界】
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第2章10話 「釈明」


エクリクシィ・ホープはニコニコという表情の下に

隠しきれない気持ちを隠し持っていた。

それこそ山城慶に対する二つ合わさった複雑な気持ちだった。

一つは怒り。

彼は鳥栫售の近くでそれを、

彼が死ぬところを唯一目撃した平衡世界での常界の者だ。

天界魔界そして下界であればまだ収拾はついた…が、

常界となれば極端な理由がなければ出入りおろか手出しはできない。


※ここで混乱としていると思うので

この世界設定についてもう一度おさらいしておきます。

天界、魔界、常界の三つで平衡世界。

下界は天界魔界の間に属する平衡世界で言う常界を指しています。

三つの玉を三角形に並べたとした場合それぞれ天界、魔界、常界となり

その三つの間が下界となります。

ちなみにその三つの玉が均衡を保つために周りを漂うのが

狭間の世界ということになります。(漂うというよりは玉の周囲)

尚今後紐解いていきますが天界、魔界は下界との接触は出来ても

常界との接触は禁じられています。


二つ目としては謝罪…だった。

確かに鳥栫售を殺したのには非がありすぎる。

確かに目の前で起こった惨劇を止められずそしてその説明もない中

天界は今に至っている。

親父がやったこととはいえ自分で尻拭いをしなくてはいけないと思うのは

とても必然のように思えた。

今は僕、エクリクシィ・ホープが魔法師団長であり天界の王なのだから。


「アナスタシオスの潜伏についてですが

 天界の調べにおいて分かったことはたった一つ。

 あなたにも伴侶ができるそうでこの事実を言うのは忍びないのですが…

 アナスタシオスはもう既にスキルを使ったとみてほぼ確定です。

 つまり誰かに変装してるとみて間違いはないということです。」


「誰かに変装って…!それがどこの者なのかは分からないのかよ?!」


慶は先の話によりピリピリさせていた気持ちを爆発させようとしていた。

だがエクは正直話が詰まってしまい途切れてしまうことを悟り

落ち着かせる…が特に効果は無いようだった。


「分かっていることは百鬼夜行派が反百鬼夜行派と戦った時に

 死んだはずの者が生き返ったというのを目撃した者がいたということです。

 ちなみに消耗戦になったがために両者は同盟を結んだそうですが…

 お耳にしましたか?」


「なんとなくは」


そう慶が呟いたのを見てエクはそうですか、とだけ呟き話を進める。

要約するとこうだ。

反百鬼夜行派の一人が自分で殺した妖怪がケタケタと笑い生き返ったのを

見て驚き逃げたそうだった。そしてその事実を一足早く常界入りをしていた

エクの部下、モモルーナ・イヴが潜入した際に聞いたという。

そして驚くべきことにその話した者はそのわずか数時間後、

心臓が撃ち抜かれた状態の死体で発見されたという。


「偶然ならこの話は有力ではありません。

 なので今分かるだけの情報をとここで開示したまでです。

 それとあなたには別の理由でも会いたっかたのです。」


「さっき長話はしないってどっかの誰かさんは言わなかったか?」


それにわざとらしく笑みを浮かべてエクは

僕は気分屋なんですと笑うとそこから本当に語りたかったことを

話し出す。もちろんのこと話すのは鳥栫售についてだ。


「あなたには多くの誤解を生ませてしまったのでその謝罪を

 ここでしたかったのです―――山城慶殿、彼の一件本当にすみませんでした。」


土下座をしはじめたエクに対し座っていた慶は驚き立ち上がり

従者とみられる二人もすかさずエクを止める。

慶もまたやめるようにと話しながら顔を上げさせると

エクはそこですべての真実を慶に打ち明けた。

エクから打ち明けられたことに慶は固まったまま耳を傾けていた。

そして話が終わる頃にはエクへの怒り、天界への感情は無くなっていた。

慶はただひたすら售の味方になれなかったことだけを悔やんだ。

慶が銀次郎を失ったときの朝暮町への訪問は三回目で

実のところその前に銀次郎とではなくただ南海のところに行くために

訪問していたことがあった。

そのときに久々に售に再会したのであった。

そしてそれは…起こって。

售を助けられずに慶はその場でそれを見たのだった。

翼の生えた者たちが售を串刺しにしたところを。


「今の世界で售が生きてるなら助けたかったけど…

そういうわけでもないんだよな?

あの二人はあくまでもどこにも所属していない無所属組だ。

それにアンタの言った話なら関わらない方が一番いいよな。」


そう慶は締めくくりエクに微笑して笑いかけた。

エクもそれを見て怒りの気持ちも失せたみたいだった。

ええ、その方がいい。とエクは笑った。


「…アンタの、いや。

 エクリクシィさんの話を聞いておいてよかった。

 あと必要以上に疑ったり暴力を振るったことをここで謝罪するよ。

 俺の方こそすまなかった。」


「いえいえ、分かって頂けただけで幸いです。

 では話もこれくらいにして。山城さん。

 私は調査のためにも一度ここを発ちます。」


そうエクは言うと暗号のようなものを呟き扉を出現させる。

従者二人も発つようで打ち解けたのにしばらくの別れに

慶は決意を固めた意識の目でエクを見て送り届けた。

扉は閉まるとスーッと消滅したのだった。







羽を羽ばたかせながら王は呟く。


「なかなか手ごわかったなぁ…本当のこと言うって言ってるのに

 まったく話を聞いてくれない。はぁ…殴られたのは久々だったしねぇ。」


大空を舞いもう翳むほどに小さくなった街を下に

天使三人は羽ばたいていた。人には見られないように不可視の状態で。

王の伴侶ははぁと溜め息をついた。


「アンタもいい加減交渉術を上手くさせろっての。

 ニアのところでも行って学べばいいものを。」


「いや、北条家の力を借りたくはないよ。

 フォティアといい勝負のあの娘は見た目に反して怖いから。

 なんせ天界の財閥団体のトップだし、貸し借りは怖いしね。」


すると桃色の髪の従者は王ではなくその伴侶に話しかける。


「しかしクロヌさんは凄いです。

 あのときにビシッと殺しますって。」


「ああ、あれね?まああのくらいは簡単だからイヴにもそのうち

 出来るわよ?それに私で凄いって言うならルーナを見習いなさいな。」


「ええ?!あ、あれは…さすがに無理…です。」


イヴがそう呟くとクロヌは笑いながら王の肩をバシバシと叩く。

痛い痛い!と言ってもお構いなしのようだった。

終いにクロヌは王にアンタも一緒よね。と声を上げて笑いはじめた。


「ふんっ!そう威張るなよ?クロヌ??

 ベッドの上ではあんなに悶えてたくせに―」


「王様の首へし折っても死刑にはならないよね?」


「なると思うからやめた方がいい―痛い痛痛痛っっ!!!」


と冗談交じりにエクは呟いたのだがクロヌは瞳の色が消えた状態で

ニコッと笑っている。エクは危機感を覚え首を掴まれながらイヴに

助けを求めるがイヴはいつもの光景に微笑しているだけだった。

今羽ばたいているこの空に味方はいなかった。

エクの甲高い悲鳴が空に木霊しながら天使たちは帰路に着くのであった。


区切ってから次はちゃんと慶視点から始まります。

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