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僕と妖怪少女と常日頃 Re:salvation  作者: 工藤将太
第2章【陰陽道所属の世界】
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第2章7話 「力の使い方」

「妹?」


「お前には話していなかったな。

 母さんと離れ離れになった際に実は出来ていた娘、

 つまりお前の生き別れの妹だ。」


へぇとあからさまな嘘だと俺は思った。

そういえばいつからか記憶が戻ってから口調が変わってるような…

まあ若干の修正だから良しとしよう。

その話は前の世界ではほとんど聞いていた話だった。

だからあまり驚きはしなかった。


「今は反百鬼夜行派にいるらしい。」


ここまでは聞いた話だとして慶は真剣にその実

面倒くさそうに聞く。

すると父さんが次に言った言葉でそれが吹っ切れる。


「…そこでだ、慶。

 我々陰陽道は反百鬼夜行派と秘密裏に同盟を結ぶ。

 だが結ぶにしてももう既に

 我々と百鬼夜行派は同盟を結んでいる。

 これでは目の敵だし示しがつかないということで…」


そう父さんは立ち上がる。

百鬼夜行と陰陽道の同盟は知っていた、

だがその同盟の件ではなく新たな同盟なのだ。

反組織との陰陽道の同盟、つまりこれが継続されれば

いずれは銀次郎たちは敵ということになる。


「反百鬼夜行派には次期、

 頭領となる娘がいるそうだ。

 そこでお前にはその娘と一緒に

 政略結婚をしてほしい。」


あまりにも衝撃が多すぎる一言に慶は

思わずぎょっとしてええっ?!!!叫んだ。

だが父さんは笑顔で続ける。


「二人が互いの責任者となれば

 争いは消えるだろうと思ってね。

 じゃあ早速だが呼んでみることにするよ」


父さんはいつの間にか後ろに向かって

そう立ち去って行った。

…ちょっと待て。

呼ぶといったか?

今呼ぶのか?!

するとひょこっと親父は

立ち去る音を小から大へ。

自分の場所へと向かうように戻す。


「っと、言い忘れていたことがあった。

 この後それについての会議をする。

 お前はここに運ばれる途中見慣れない服を着ていたが

 …まあそれしか今は着るものがない。

 それに身を包み会議場所に行ってくれ。」


そう親父は言い放ち出て行った。

俺は茫然と今後のことについて真剣に

考える必要があると思ったのだった。

親父がいる広間から自分の部屋へ戻ると

そのまま記憶を頼りに道場へと身を運ぶ。

もう既に前の世界で美世の前で初めて着た

あの黒服に身を包み刀ではなく模擬刀を手にする。


「この道場には父上も近づけさせるな、集中したい。」


そう部下に言うと御意、と言って気配もろともその場から

影もなく消えた。どこかにはいるだろうが気にはしない。

なんでも自分が転生する前の山城慶というのは

いささか横暴で傍若無人な態度を見せる者だったらしい。

次期頭領とは言い難いという言葉を周囲に見せる中

正義には身を屈しない強大な精神力を持っていた。

幼いころから身につけれる術式や武術はとことん

吸収していった。

だからこそ…そう次期頭領なのか?という疑問の反面

山城慶以外に誰が務まるという声も大きくなるらしい。

俺は転生して初めて刀を抜き力を込める。


「…妖怪変化!……っまあ…できない…か。」


さすがに妖怪変化は無理だった。

妖怪と人間の力その両方を受け継いでいるとはいえ

この世界でのその血の対比は人間の方が上だった。

だからこそ妖怪の力は使えない。

あくまでも妖怪変化が使えないだけなのだが。

転生する前の自分の記憶を頼りに、

そして自分の正体を知る今の自分の経験を感じて

その言葉ができるかどうかを試す。


「…"鬼人化"」


すると俺の手や足、体格や姿形が鬼そのものに

変化するのを見て慶は喜んだ。

前の世界での後半はこの鬼の力でほとんど生きてきた。

だからこそこの力の方が経験上勝てる。

だがまあこの力を知るのは自分だけだ。

転生前の自分を比べても出てくる言葉はそれだった。


「バケモノ」


正義のためにどんな妖怪やそれに似合う

子供や赤子を殺してきた自分は

今の状況を前にどうするだろうか。

そして政略結婚もそうだ。前の自分なら間違いなく

そう断言した親父を斬り殺し戦争を始めていた。

それが躊躇なく脳裏に簡単によぎるほど俺自身は

誰が決めたわけでもない正義に縛られ生きてきている。

そんな俺をどうやって自分は演じるか。

上書きされた自身は前とは全然異なるもの。

だから前の自分が疑われないためにも演じる必要があった。

記憶を思い出すといっても

その時その時の感情が思い出せるわけでもなく

問題はその時その時自分が何を思って斬ってきたかだ。

自分の前に、正義の前に邪魔した者たちを斬ってきた想いは

どうだったのかを吟味することが

今の自分を作ることと同じことだったのだ。

さて。

鬼人化をやめて人間に戻った時の

負荷状態は…かなり重いか。

確かに消耗が激しすぎる力が

やはりこうなるのは目に見えている。

なら休み休み行くか?いやそれだと前の自分にはそぐわない。

やはり…部位のみというのが一番いいかもしれない。

今は…。

試しに今誰がどこにいるかをそれで確認しよう。


「"鬼の目"」


鬼のような猫のような鋭く鋭利で目を合わせたものが一瞬で

命を落とすほどの気迫を自分のその目に焼き付かせる。

これを行えば覇気のようなものが身にまとった状態になる。

とは言っても相手を威圧することしかできない。

戦闘向きとはいえ防御か支援向きだろう。

だがこの鬼の目にはもう一つ効果がある。

それはすべての生命を範囲内であれば確認するというもの。

生命は青白い炎のように燃えている。

死ぬときはそれが徐々に消え失せていく。

それを頼りに攻撃に集中できる、それが鬼の目の力だ。


「…へぇ、どこにいるかと思えば屋根裏か。」


そう言いながら目を解除して

模擬刀を手にあの記憶の技を再現する。

確か技名は…せん

足音も布擦れの音も聞こえないほどに

刃を抜く音も出さぬまま風を斬る音だけを相手に浴びせる。

斬られた瞬間は分からない。

だが刃を収めるときのキンッという音と共に

相手はやっと自分が斬られて死んでいることに気付く、

あるいは気付かないがだがそれだけ早い技を俺は自分で生み出していた。

それが山城流、一閃いっせん

閃と違うのはたった一つの音もなく斬れるかどうかだ。

ちなみに斬撃の範囲は一直線のみでカーブといった曲がる

技はできない。だが角度さえ整えれば幾重にも閃で貫き

円形上には理論的には攻撃できる。

あくまで理論上なのだが。


「さて力の使い方はある程度分かったし。

 会議とやらにでも行くか…」


そう俺は身支度をして道場を出た。

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