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僕と妖怪少女と常日頃 Re:salvation  作者: 工藤将太
第2章【陰陽道所属の世界】
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第2章2話 「構築された世界」

「"終焉"…って?」


「ん!もしかしてディオミスから

 何も聞かされていないのか?!

 ここの世界の役割と私の素性、

 そしてアナスタシオスのことも終焉のことも…!

 ……そんな…阿保な…」


なんで関西弁?と思ったが

すぐに聞き慣れてしまったことを

言われたことに気付き椅子から立ち上がる。


「いっ、今…アナスタシオスって言わなかったか?!」


「ああ、"復活者"のことだろう?

 私が……殺し損ねた罪人のことだ。」


「わたし…が?それってどういう…」


慶はツキネのいう一言一言に驚く。

ツキネは薄く微笑み椅子に座りながら

すぐ左横に座る慶に迫る。


「悩み…というより謎という顔だな。

 これは最初から語らなければいけないかな?」


そうツキネは頬杖をつきながら"クロ"と誰かを呼ぶように

声を荒げる。するとそこに先ほどのメイドが現れる。


「お呼びでしょうか、ツキネ様。」


「うむ、山城に一通り話したあと病棟に連れて行ってほしい。

 二人の容態も気にかかるだろうし。」


そうツキネはクロと呼ばれたメイドに呟くと

分かりました、とだけ答えテーブルの椅子ではない、

その奥の椅子へと座るとただただそこにじっと固まった。


「さて…山城。

 ここに強制ではあるが来させて悪かった。

 まずはその非礼を詫びよう。

 だがそれを詫びようにもここの時間はほとんど無いにも

 等しい状態にあるし、紗々とディオミスの二人はまだ眠っている。

 二人の容態はまずは説明を終えてからだ。」


「説明…?てか時間がないならそれやってる場合じゃあ…」


とツキネに意見のような言葉を口にした瞬間

ゴホンゴホン!と奥のメイド、クロがわざとらしく咳を込む。

ツキネはそれに驚く慶を宥めながらクロにまぁまぁと

テンションを下げるような手を上下に動かす手振りをする。


「正直言って無いだろうな。

 だがこのあと君の"ある了承"さえ取られればそれは解決する。

 さて、長話な前フリは置いておくとして。

 何故君はここに来なければならなかったのか、

 そしてこの世界のこともあの男のことも私のことも

 知りたいと思うだろう。

 だから私はそれを伝える。」


「何かの見返りとか…求めても僕には何もないぞ?」


するとツキネはその真剣な顔の慶に対して

腹を抱えるほどの勢いで笑い出すと


「別に、君の体が欲しいということじゃないよ!

 私は君にあることを手伝ってほしい。」


手伝ってほしいこと?と慶が呟こうとしたとき

奥に座っていたはずのクロというメイドが

三人分の紅茶の入ったティーカップに砂糖やミルク、レモン

と付け合わせをもってツキネの横からすっと登場する。

それに慶は驚くもツキネやそのクロというメイドは笑いも驚きもせず

極々当たり前のようにクロからツキネは紅茶をもらい

クロは慶の前に紅茶を差し出す。


「あ…どうも。」


「いいえ、ミルクと砂糖は置いておきますが

他は大丈夫ですか?」


ああ、はい。とそのクロというメイドに慶は答える。

彼女の緑髪からはほんのり爽やかなミントのような香りがした。

砂糖、ミルクを置いたクロはまた奥の席につくと

紅茶をそのまま啜りカップを皿に置いた。


「あることってなんだ?」


「まあそれもおおまかな説明を言ってからにするよ。

 さて話の議題だがまずは"この世界のこと"について語ろうか。」


ツキネはそう話し始めた。







「…―君は以前にもある異変を感じて

 私たちと世界の構造について調べていたよな?たしか…」


「"天界、魔界、そして妖怪と人間のいる常界。

 これら3つを合わせて平衡世界。

 そして一部の者しか知らない謎に

 包まれた狭間の世界"だっけか?」


ツキネは笑う。

元々慶のいた世界区分では天界、魔界、常界と

三つに分かれた平衡世界というもので

成り立っているという考え方だ。

それ以降のことは黒鳥優破から言われた情報を

元に慶や銀次郎が一部の者だけが知っている

四つ目の世界とされる狭間の世界の

その四つで区分されていると調べ上げていた。

ツキネはその考えでよろしいと呟くと


「じゃあこの世界は常界か?

 天界か魔界かで言われると厳しいだろう?

 実際この世界は作り出した本人が言わない限り

 誰も信じえないのだからね。」


妙な口ぶりに慶はひらめく。

言おうと思った矢先ツキネがその続きをこたえていた。


「分かったようだが、そう。

 今私たちがこの場にとどまっている世界こそ

 "狭間の世界"なのだよ。

 そしてその世界を作ったのもこの私だ。」


今立っているこの場すべてが"狭間の世界"であり

そしてそれをツキネが作った。

単純に話してはいる。

だがそれをすべて100%理解できるほど

まだ情報はない、というより教えてもらっていない。

そう慶は考え深くは突っ込まないように

後々に教えてもらうことを胸の中で決めた。


「…じゃあ…ここがその"狭間の世界"なのか?」


慶が答えるとツキネは続けた。

山城慶のいた世界を常界とするなら

それの上に天界・魔界と並び

囲うようにしてどこにも普遍して存在しているのが

今現在ツキネや慶のいる"狭間の世界"なのである、と。


「どこにも普遍して存在している。

 だからこそこの空間自体にはおおよその生物が必要であろう

 "時間"という概念がない、というより必要ない。」


ツキネが言い終わると同じく時として

ティーカップの紅茶を飲み終えたクロが立ち上がり

テーブルの上に乗ったティーポットに手をつけるため

立ち上がる。そして失礼しますとだけ呟きツキネの右横、

つまり慶と対を向くような場所の椅子に座ると


「ツキネ様、失礼ですがその呼び名だと

 理解ができそうにありませんが?」


とクロが注意を呼び掛けるように一言呟くと

慶の方に視線を合わせ態勢も向き直す。

ツキネは呆気に取られていたようだった。


「申し遅れました、山城さま。

 わたくし、クロロン・ヴェールというものです。

 ツキネ様並びにディオミス様にお仕えするメイドでございます。

 何かあればクロと呼んでいただけると幸いです。

 つきましては先ほどのツキネ様が言ったことですが理解しましたか?」


と緑色のセミロングをしたメイド。

クロロン・ヴェールは改めて自己紹介をしたのち

そう質問してきた。

答えは勿論、ノーだ。

簡単に説明してくれないとまた頭のなかの整理がつかない。

その反応にツキネは口をとがらせているようだった。

するとクロはその話の補足をつけ足し説明する。


「要約としましてはこの世界では

 すべての平衡世界での対処ができるように

 "時間"そのものが止まっているんです。

 そのためカレンダーや時計といったものに

 意味をなさないため、置いていないということなのです。」


と説明し終わると慶はだいぶ理解できたように

そうか、と頷いていた。

"狭間の世界"は天界、魔界、常界との対処が

できるように世界そのもの自体の時が止まっている。

慶は理解するとある一つの疑問が生まれたことに気付く。


「なあ…それだったらどうしてさっきツキネは

 ここの時間はほとんど無い、なんて言ったんだ?」


とクロではなくそれを言った

当事者であるツキネに呟くと

ツキネは待ってました!と言わんばかりに

ガタっと背筋をピンとする。

クロはそのまま二人の会話を邪魔しないよう

また難しいことをいったときの補足役として

その場に留まり紅茶を啜り始めた。


「クロの説明通り、この世界では"時間"が止まっている。

 でも他の世界では時が進んでいるだろう?

 例えばその進む世界を世界線と言うならば

 世界線ごとに時を調節しなくちゃいけない。

 だからこそここの時間はほとんど無いのだよ。」


またハテナマークになる慶に対して

クロは重くはぁとため息を吐くと

補足して説明する。


「タイムパラドックスという言葉に聞き覚えはありませんか?」


「ん、聞いたことだけはあるけど…意味までは分からないな」


タイムパラドックス

時間軸を遡った結果過去の出来事を改変してしまうと

未来の出来事も改変されてしまうこと。


「要は"時間"を止めておかないとほかの世界線では

 同じような時刻で進んでいるわけではないので

 その状態で"狭間の世界"を開いてしまうと過去改変が

 起こってしまい未来が書き換えられてしまうんです。」


そうクロは説明するとツキネにその続きを語らせる。

だがツキネはむすっとしている部分が目立っていた。


「未来を良い意味で書き換えるための

 過去改変は良いかもしれないがどっちにしろ

 多くの生命がかかわることだから禁止事項として

 私自らが"時間"の調整役をしているのだ。

 膨大な計算や制御が必要になり気付いたら私は化け狐から

 時を操る神様となっていた…まあこれが神様だという所以さ。」


そうツキネは締めくくると溜め息を零す。

その姿に慶はなりたくてなったわけじゃなさそうだ、と感じた。

だが聞きたいことはまだある。

話を進めた。

書いていてそこで区切りをつけて良いのか分からず

取り敢えずのところで区切ったのでいつもより長い気もします…が、

まだ続きます。

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