第1章5話 「狐の説明」
慶が電話を終え帰ってきた後そこには
「私は峰崎美世さんが吸血鬼であることを
認めここに謝罪をします。」
首に二つの小さい穴が開いた
"噛まれた"という事実が拭えないままの少し血の色が薄くなった由理と
色艶のハリのある肌になった美世が自慢げに座る二人の女子がそこにはいた。
聞くまでもない、そう思うが念のため慶は美世に尋ねる。
「美世、何やった?」
「血吸った。しかもさ!慶ちゃん!!
この娘と~っても!美味しいんだよ!!!!」
「だからって、貧血気味まで血を吸うか!
だからここで、待ってろって言ったんだよ!」
銀次郎との電話を終えて来て早々これだ。
何やってくれてんだ。これでも人間なのにー
「―――でもやっぱり。予想は的中したね」
「……!ああ、やっぱりか。
分かった。これから帰るぞ。」
やっぱり、という言葉に慶と美世はうんうんと頷き
由理を見ながら立ち上がる。
由理はそれに困惑しながらも相手の返事が席を立って
ファミレスから出るという状況のなか質問を投げかけた。
「え?え?やっぱりって??
どうゆうことなの?慶くん、美世ちゃん。」
・
「妖気??」
慶らの住む家を目指して3人は歩きはじめる。
その中で慶は"妖気"についてを由理に話し始めた。
というのもやっぱり"妖気"が由理に纏わりついているという
話から始まったものだった。
「妖怪の気。まぁ妖怪が纏う覇気って言った方がいいな。
普通、人間に纏うことはないんだけど…
俺は纏ってるが人間でな。ある条件のみ、
人間は妖気を纏うことが出来る。」
「うむむむ、話の筋が……分からない。
まぁ、その条件って?」
としかめっ面で俺を見る。
「妖怪の村、里に住み続けるか。
また妖気を纏った剣。妖刀を持つか。
俺の記憶じゃぁそれだけ。
それ以外に持つ方法は無いんだが…
もし、あるとしたら……」
「ら?」
「死ぬよ。由理ちゃん。」
と、美世が代弁する。
それに困惑する由理に慶は慰めの言葉もかけずに呟く。
「確かにこれは本当だ。
治す方法は家に着いてからにしよう。
どうせもう着いてるころだしな……ああ、いた。」
と、近くなって見えてくる家に誰かが居る。
白い白銀の髪を下ろす長髪の男。
それは先ほど慶が電話で話していた人物だった。
「ああ、僕が一番乗りかぁ…慶、美世、
そして初めまして香山由理さん。」
・
「普通はあんな時間だったら
5~6時間掛からないか?銀次郎」
「いやいや、僕だって疲れたよ。
あんな距離駆け抜けるのはね。」
「だろうな。……あ、由理さん。紹介する―」
と言ったところで、
銀次郎もとい銀次は手で遮り自分で話始めた。
「初めまして。僕の名前は坂崎銀次郎。
話は一通り慶から聞いているよ
まず、いきなりで悪いけど妖怪の僕達の故郷。
怪村に君は来てもらう。」
本当にいきなりですね、そう美世は目を点にして何故か敬語で呟く。
玄関では……と銀次郎は俺に目を配らせて居間へ案内する。
そして由理と慶、美世は一人用の座り椅子に
銀次郎は長いソファに腰を掛ける。
でもくつろぐ様子はない。
いや慶たちも実際そわそわしている。
「さて。さっきの続きだけどそこで
君は正式な村人になってもらいその村で暮らしてもらう。
拒否権は課さない。もしも……ここで拒否をすれば由理さん。
今後あなたはあなた自身が持っている大量の妖気に呑まれ」
死ぬ。
そしてまたそれも望まないというのなら、と。
銀次郎はそのソファを少し後ろにどかしながら
美しい銀色の髪をたなびかせて九つ尾のある狐に変化する。
その光景に由理は見惚れてる。
ある意味ここで妖怪に変化したのは信じてもらうためなのだろう、
そう慶は理解する。先の電話で信じてもらえないからなんとか
してくれと頼んだは良いがまさかこんな形になるとは思わなかった。
慶はそう考えつつ銀次郎を見つめる。
だが一方でその九尾の狐は消え入る声で呟いた。
『僕が今から貴女を殺します。
でなければあなたは危険因子の対象となってしまう。』