第1章3話 「淡いモノ」
由理は帰り道となった廊下を独りで歩いていた。
もう1階……慶たち、もとい自分たちがいるのは3階だ。
下の階が見えないバリアフリーのある階段を降りると
学校特有のロッカーのにおいが鼻を巡るのを感じた。
それにいつもは気付かないのに何故だろうか
憂鬱にそして感慨深く先の出来事を後悔し始めていると
フッと誰かが横を通るような風が私に吹いた。
きょとん…?としながらその方を向くと確かに誰かが通る
気配と雰囲気がまだ余ってそこにあるかのようだった。
由理はどうせ帰っても明日の勉強の予習や趣味に没頭することぐらいだ
そう考えてその気配をそっと気付かれないように尾行するように追いかけた。
由理は気付かずにそのまま流されるように
慶がいる3階へ階段を上がり息を少し切らしてキョロキョロと先の気配を追いかける。
その気配が幽霊なのかはたまた違うものなのか
まるで分からないがそれでも追いかけることに意味はある。
そう感じていつもは使わない集中力で目を凝らして探すと
徐々にその気配は人型へと変わりそれが何かを追いかけていた。
由理はその気配を追って左回りに追いかけると人型は
徐々に発光を増していき由理は慶のいる教室の対になる位置の廊下に着く。
そして初めて自分が3階に戻ってきたことを理解すると
あっと息を漏らそうとする。
だが何故か何かを言ってもそれが音として出ない。
困惑したその瞬間、今いる廊下の窓から見える吹き抜けに目が留まった。
吹き抜けは目が通せるよう設置物は何もない。
だが目の前の人型の白い影はそのまま発光し終えるとそのまま
消滅するように消え去り代わりに吹き抜けが白く淡い光に包まれる。
背景が赤白くそれを制するように白い樹と白い紙ふぶきが舞っている。
由理は何もない空間にそれをまるであるかのように見て呟く。
―――綺麗。
だが声は出ない。
帰り際に何故か気になりそれを追いかけるように来てしまった。
だがその方向をもう一度目を瞑って開くと
そこにあった景色はもう既に無くなっていた。
「あれ…?」
とても綺麗で声を上げようにも上げられない景色だった。
まだ見ていたい気持ちが徐々に大きくなるも
由理は不思議だがどことなく温かい気持ちになりながら
また、歩きながら先の出来事を後悔する。
(本当の気持ち……言えなかったなぁ)
後悔し始めてしまったのは同じ階に戻ってきたからだろうか
分からないが、だがそれで良い。
何故かそのまま気持ちを感想含め締めくくると
慶のいる教室が見える位置まで戻ってきた。
どうしてこんなとこまで戻ってきたのか
そう言われたらどうしようなんて考えていると
教室に光はないのだが代わりに人がいる気配は感じ取れた。
先の吹き抜けに気を取られていたからかは分からないが
中に慶ともう一人いることは分かる。
そっと覗き込むとやはり慶がいる。
そしてもう一人は今日も、いつものように眠っていた女の子。
由理の横でいつも寝ることを怒られるも成績は優秀で
慶とともにここに越してきた、峰崎美世がそこにはいた。
覗き見なんていけないよなぁ……と思いつつ由理はドアの隙間から
教室の中を覗く。二人は何かを小さく呟いた後
抱き着きそして美世は慶の首元を―――
(って、ええええっ?!!!
あの二人付き合って…?
だから慶くんはいつもフッていた?)
だから私が教室に来たときも何かしらまずい顔をしていた?
由理の中でいろんな思惑が広がるなか由理は思わず扉を徐々に開ける。
中の様子がどんなものか気になり始めていたからだ。
はっきりと聞こえるくらいになった教室の中の話声は
また段々と大きくなりそしてはっきりと。
『ねぇ……』
『ああ……だけど……』
―――慶と美世の2人にとって聞かれたくないことを
由理は聞いてしまうこととなる。
『どんだけお前は"ち"を吸うんだよ。」
―――――"ち"を吸う?
「ち、って……どういう事……!!……あっ!」
と由理はそう言って大きい声で大きくドアを開ける。
ガラガラという音に慶と美世は思わずギョッと
そのままの態勢で由理は両手を床にビタンッと叩きつけて
「痛てて……あ。」
『『あ……』』
そして呟いた矢先、慶の首元から赤い赤い液体が垂れ床にそれが付着する。
美世の歯は映画でよく見る吸血鬼の歯へと、
そして由理は解釈する。
自分はとてもまずいものを知ってしまったのだと。