第1章26話 「鬼女の苦悩」
「………黒鳥さん…何で…。」
吉崎通はそう呟いた。
満月の夜で月が綺麗な薄黄色に染まり、
雲1つないそんな快晴というべき夜だった。
俺は浴衣姿でいつも夜を過ごす。
まぁ、いざとなれば俺は浴衣を脱ぎ
戦えるからだ。
俺は透明人間の半妖。
透明になることくらい簡単ではあるが、
代わりに妖気を余分に使う。
だからか透明化してると妖気が見えるやつには
くっきりと姿化して見えるらしいのだ。
最近は良くて服を短時間透けさせるだけ。
黒鳥さんなら、アドバイスをしてくれた。
なのに……なのに…………!!
「黒鳥さん…なんで雪南さんと旅に出るって…」
黒鳥さんが旅に出ることになった理由も酷すぎる。
話によればサカザキギンジロウ?ヤマシロケイ?
とかいう奴らが黒鳥さんの偽物にやられて
当の本人は風評被害+反百鬼夜行で
唯一宣戦布告を仕掛けたものって…。
そのためもあってか黒鳥さんはその二人を追ってまた
偽物を倒そうと必死になっていた。
そんな中分かったこと。
ヤマシロケイってやつは天谷柚子の兄らしい。
直球に言えば俺は柚子が好きだ。
アイツは昔からここにいることは知ってるし、
幼馴染みといえば、そうだ。
そんな俺だからこそ分かることがある。
彼女は今苦痛のなかにいる。
ここにいるべきか、
裏切って父兄がいるほうに行くか。
俺が止める資格は無いけれど、
反抗的に今は物事を考えてやる。
パッと俺の脳内でまとめた話。
(柚子をここから出ないようにするためには
まずは……ヤマシロケイを殺すことだ。
あいつは、あいつだけは殺す。殺してやる。)
「あれ?通?」
「…………ん?あ、柚子……。」
「隣良いかな?」
「あ、うん……」
浴衣とジャージを合わせたような
柄と服装の柚子は
胸元が愛らしく、いやらしく見えた。
俺の性的欲求が爆発しそうな
(ううむ…いかんいかん……ちらっ)
今柚子は下着をつけていないということだ。
何故だかは分からないが、
まぁ…………忘れたのだろう。
上も下も。
「どこ見てんのさ。」
「ああ、悪りぃ。いや柚子の身体が
スタイル良いなぁって思ってさ。」
急激に顔を赤くする柚子。
あれ?
なんかフラグ立てちゃった?
ついでに僕のMy sonも…
「べっ……別にそんなことどうでも
良いじゃん………。
そんなことより通、大事な話があるの。」
「え、ああ。うん……?」
「私…………やっぱりここを裏切るかもしれない。」
(…………。)
「そっか……まぁ、応援して―…」
「通も一緒に。」
「え」
とそのとき柚子に押し倒され
柚子が口元に唇を合わせる。
少し桃の味がしたかと思うと……
柚子が泣きながら。
「本当は私……みんなを……通を裏切れない。
どうすればいいの……?」
「……それは…」
ドドドドドーーーーンンンンゥゥゥゥ!!!!!!
「なっ…………なに?!」
と柚子が怖く耳を塞ぐ。
「何だ…今の。」
俺は冷静を装いその音の向こうを見た。
「はぁ?!」
「え…?」
俺の目の先には何かの龍らしきものが、
村の林を燃やし尽くそうとしている
その姿がそこにはあった。




