第1章25話 「幼き狐と若い鬼(前)」
「山城よ………ケホッケホッ…
源代の居場所が判明したぞ。」
俺は危うく薬を落としそうになり
ながらも天竜八部衆の緊那羅に薬と水を手渡す。
そして薬を飲み終えた緊那羅は
布団から座るようにして身体を起こす。
「病なんですから………」
「構わん。
このまま死に生まれ変わって
青龍のことも忘れたいしのう。」
青龍………?
それより今は…。
「ああ、源代………父さんはどこに?」
「お主の妹のところだ。」
「えっ!」
妹…………そうだ…
妖怪だった母さんが父さんと結婚して
俺を産んで5年後に村に来て妹を出産した。
そして妹と母は陰陽師である父さんといられなくなり
別の方へと移って母さんは死んだ。
俺はそのとき人間の血が濃かったため父さんと一緒に村に残った、
が父さんはあるときから姿を消し
そのまま今に至る。。
だけど……居なくなるのは…
村から離れるのは俺だったのに。
『慶…………お前は村に残れ。
俺は柚子を引き取ってもらう
人を…妖怪を探す。』
最初は身勝手だって思った。
でも…今はそれに感謝してる…。
こうしてみんなに会えた訳だし。
でも……
「居場所って…
どういうことなんですか?」
「あやつは話してなかったかの。
お主の妹は…………」
「え…………?」
俺の妹。
天谷柚子は反百鬼夜行だったのだ。
・
早朝5時
冷たい風が頬を伝わり思わず
わっ!と叫びそうになる。
「寒いなぁ…………」
坂崎孕子はそう呟いた。
昔ながらの習慣で
ついつい早めに起きてしまう。
とは言っても今日は用事があって
起きているのだが。
4時に私は緊那羅様に起こされ
次の反百鬼夜行派討伐…?
かなんかの命に呼ばれたのだ。
そしてもう起きてると思うから
山城を連れて来て欲しいと
言われたんだけど…
「部屋に居ないし…どこだよぉ…ん?」
赤い髪の男の人…………
わっ!炎上がった?!
「なんなの…………?」
「ん?あ。」
その人物は私の顔を見ると
私も思わずあ。と呟いた。
最近幹部に入った獅神結城だったのだ。
で…………。
「何やってるの?」
「ん?ああ。焔っていうか溶岩を
手から自在に吐き出させる練習。
道場でやると燃えそうだからさ。」
ここ(庭)も燃えるわ。
「で……坂崎はどうしたんだ?」
「ああ…えと…そうだ!
慶!慶ちゃん見なかった?」
獅神はゆっくり考えた後
あ!と叫び道場にいる!と答えた。
私は礼をしつつ道場へと向かった。
向かった道場には慶ちゃんが木刀を
振っている最中だったのだが…
(ひゃっ…………!)
胴着を着ながらも上半身は裸で
そして何より筋肉質だったからだ。
どこで鍛えたの?と言わんばかりの
筋肉は汗で濡れ、
道場の窓から差す光で青く照らした。
はっはっと息を軽快にもらし、
そして木刀を上下に振る。
息が少し白くなっているのが分かる。
「わ~…………でっ?!」
とそのとき足を
前に踏み出しそうになり
躓き転んだ。
両手を床に万歳した綺麗な状態で。
そして、それに気付く慶ちゃん。
「…………孕子…おまっ…何してんの?」
「痛てて…あ、慶ちゃん」
・
「へぇ…………で俺と孕子が
行くってことに?」
「うん。…………それよりまさか
…反百鬼夜行派に慶ちゃんの妹が
いるなんて…聞いたこと無かったんだけど。」
むすっと私は頬を膨らませる。
それに慶ちゃんはごめんごめんと
ペコペコ頭を下げる。
「いや…言う機会が無かったというか…」
「信用してるの~?」
え?と慶ちゃんは振り向く。
私は慶ちゃんの顔に近付き。
「信用してるなら私にキスして!」
「断る。」
即拒否。
「えー!私を美世ちゃんとの
キスの練習として使って良いからさー」
「お前はいつ痴女になった?」
「ふーんだ!しょうがないじゃん。
私達の代はこういう時期に入ると
発情期てのが来るんだもん。
そんでもって性欲が妖怪一高い。」
「……。だから襲って欲しいのか?」
「いや襲うよ。」
「ごめん、一瞬退いた。」
そんな会話をしながら
慶ちゃんの妹がいるという村に
行く準備を済ませた。
「さてと…………行くか。ん?」
私は無意識に慶ちゃんの袖を掴み
そして放した。
「なんでもない♪」
「??じゃあ行くぞ。」
鈍いなぁとも思いつつ
私は慶ちゃんの横へと走る。
本当の横には行けないけれども。




