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僕と妖怪少女と常日頃 Re:salvation  作者: 工藤将太
第1章【百鬼夜行所属の世界】
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第1章22話 「憑りつく死神」

「牢獄に入れられ1年、あの鬼がいなくなって2か月。

 いやぁ彼はどこにいるんだろうね?

 いなくなったことは嬉しいけど♪」


「少しは黙るということが出来ないの?」


美世に取り憑き死ぬのを待ちわびる男。

彼は私にそう問い掛けた。

独房の中ので声は聞かれないのだが、

彼は端から見ると居なく、

私にしか見えていないため

万が一聞かれると怪しまれる。

そして私はなんのためらいもなく

薄汚い布を脱ぐ。

上も下も下着は着ていない。

彼はそれをじろりと眺めるので

少し蹴りをかましながら

もう一度少しでも綺麗になるように着る。

そして牢屋の柵の隅っこにある、

カビの生えかけているパンと

見た目も真っ白で味気のないスープ。

割れたコップに告がれた埃入りの牛乳を

腹の中に収める。

残せば生命の危機が少しでも近付く。

私が死ねば後ろに付く”コレ”が蘇る。

だが多分百鬼夜行の連中が狙っているのは

まさにそれなのだ。

だから私をこんな目に合わせて

わざと殺そうとしている。

蘇った彼には妖気が皆無なので

それを狙い殺せば一件落着となるからである。

少しでも生き延びるため今日も私は残飯を食べる。

絶対にあなたを蘇らせないためにも。


「なぁさっさと身体くれよ…

 奥の手はまだ使いたくねぇからさ…」


「…ねぇあんた、本当に黒鳥優破じゃないのよね?」


その声に嬉々として答えるそいつは身体をぐにゃりとまげ

私と同じ顔と体格と声に変わる。


「ああ…俺はあのカラスでも妖怪でもない。

 でもお前らはあの神様知らねぇみたいだしな…

 退屈しのぎに言ってやろうか?

 俺をここに送ったその神様の話をよ…」


まぁでもそれは、と置いて美世の首を掴む。


「てめぇが死ぬころだな」


いつもの続く脅しの会話。

何回聞いたことか。

するとそのときガチャンッという

何かの錠が外れる音と駄目ですっ!

―…良いだろ!という扉の開け放たれる音と

看守が何者かを止める声。

そしてどこか懐かしい男の声。


「俺は夜叉様の幹部の者だ。

 面会を許してくれないか!」


「そっそうでしたか!

 幹部の者であれば…」


あれ?幹部?夜叉様?

一体誰だろうと思っていたその時

ドアが閉まり、牢屋の柵が外れた―…?!


「美世!」


「慶………?」


声もなく立ち尽くす半裸の私を見て

少し驚きながら涙目で私を包み込んだ。

私も今持つ出来るだけの力で精一杯抱き返す。


「ごめん、遅くなった。

 でも!これでやっと本格的に君を助けれる。」


「慶………!会いたかった!!」


「ははっ…生きてたのか」


と感動の再会を邪魔する声。

私は苦虫をつぶした顔で

生きてたのかよって…!と無意識に呟いた。

すると慶は優しく微笑み

嘲笑うかのように呟いた。


「俺には見えないけど、

 そこに居るんだろう?やつが…さ?。

 悪いが俺は反百鬼夜行討伐隊という役目を負った。

 お前の仲間たちをこれからすべて潰すつもりだ。」


「」


「多分お前は人間風情とでも

 クソがとでも言っているだろう、だが言っとくぜ。

 お前はそれを眺めることしか

 出来ないってな!だけど安心しろ。」


「」


依然としてその後ろの者は

何も答えなかった。

だが慶の叫びは続く。


「最後…お前は絶対にこの俺の手で潰す…」


と言ったところで彼はすっと消える。

だが何かを思ったのかニヤッと不気味に笑って。


「慶………は妖怪なの?」


「半妖になったかな。」


「ねぇ………慶…。ん………」


考えた。

何て言ったら良いか迷ったから。

すると慶が牢屋の中に入りながら静かに手を取る。


「なぁ、美世。

 俺さここで言うのもなんだけど…

 これからも美世と一緒にいたい、だから………」


「だから…?」


「俺と付き合って…くれないか?」


顔を赤らめた慶を無理やり私は押し倒し、

慶の胸の中に顔を渦くめて、


「まだ駄目。

 だって………まだ終わってないもの。

 終わったら………付き合おう。」


「………分かった。」


と慶は悲しく呟き押し倒されたところから

立ち上がり、美世に言った。


「―――――――――。」


「ふぇ?」


と私は顔を赤らめた。

突拍子もなかったのでそう呟いてしまった。

そして慶は自分の黒いコートを脱ぎ私に被せる。

気遣ってくれて嬉しかったのだが、

慶が目を見ずにコートを渡したため、

私は思わず笑い、小悪魔的な笑みで

頬っぺたにキスをすると

慶の顔から火が出るのを見て笑った。

その後慶が取り計らったのか。

私は牢獄でもないにしろどこにもいけない

部屋に閉じ込められることとなる。

それが良いのか悪いのか。

運命は近かった。


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