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僕と妖怪少女と常日頃 Re:salvation  作者: 工藤将太
第1章【百鬼夜行所属の世界】
17/93

第1章17話 「慶と銀次郎(前)」

『ねぇねぇ…どうして泣いてるの?』


ーだって恐いから。


『なんで恐いの?』


ー僕だけ違うもん。


『なんだ、それだけか。ならさ僕がなるよ。』


ーえ?


『僕が友達になるよ。僕の名前は坂崎銀次郎、君の名前は?』


ーやま…山城慶。


『けい、って呼んでいい?』


ーじゃぁ、ぎんじろう、って呼んでいい?


『うん!よろしくね!慶!』



これが俺と銀次郎との出会いだった。

俺の親父は陰陽師という

妖怪を滅する職業についていた。

当時の俺なんかは妖怪なんて居るわけ無い。

なんて思いながら心底不安だった。

車で揺られながら怪しげな森々を抜け

親父はこれを持っていろ。

と俺にそれまた怪しげな杖を渡し、

それを俺は片手で持ちながらもう

片方の腕で枕を作り寝た。

着いた先は大きな神社に駐車場のない集落。

親父は車を停めたところで、

ある女の子に声を掛けられた。


「ここに何か用でもあるの~?」


淡々とした声は俺の弱くなった心を

少しだけ介抱させた。

親父はゆっくりと


「君の親に会わせてほしい。」


そう言うと彼女は


「緊ばぁになんか用なの?」


「ああ。」


と言ったところで俺はあることに気付いた。

彼女の足元が黒い蛇のようなものに覆われて

それがうねうねと蠢いていたからだ。


「あなたは何者?」


山城源代やましろげんだい、例の陰陽師だ。」


それを聞いた途端彼女の足元は肩を震わせるように

くねりと曲がりそれが地べたから上へと立っていく。

その姿はまさにヤマタノ大蛇を連想させた。

だが親父は戦うような素振りも、

逃げるような足腰も、

悲鳴を出すような驚きの声も顔もせず、

ただ淡々と質問に答えていく

人形のような表情と素振りだった。

だがそれにも気付いたのか少女はわなわなと

手を震わせ、地べたの蛇をこちらに向け、

親父に対する威嚇のようなものと、

攻撃を意味する動きを見せた。

―助けないと。咄嗟に思ったことがそれで

いや思う前に動いていた。


「お父さー…」


だが予想外なごとく少女は

俺の顔を見るなり攻撃体勢から直り、

淡々と言った。


「村長…祖母のところへ案内するわ。」







まぁ、簡単にいえば母の故郷である

この怪村に引っ越して挨拶をするというのが

今回の目的で俺はその時だけある人物と顔をあわせた。

父も警戒する大人物。


天谷あまやの夫と、その息子か………!

 初めてじゃのう。わしの名はぬらりひょん

 またの名を妖怪総代将と馳せる。」


「山城源代と申しまする。そしてこちらが、

 山城慶と申します。」


俺は続けるようにしてコクリと頷き土下座をした。

あくまでも礼儀の意味としての。

そしてその後何かしら会合に参加するというので、

俺はあの少女、空理恭子に連れられ部屋に案内された。

沈黙が流れる中、

恭子は髪を弄りながら少し緊張気味の顔をしながら

下を向いていた。

俺から先に話始めた。


「あの………あなたは…」


「恭子。」


「ふぇ…?」


そう言うとにっこり、

それまた素敵な笑顔で笑い続けた。


「空理恭子よ。恭子で良いよ。

 君の名前は?」


「山城…慶。」


「そっか…良い名前だね!」


その時のことは良くも悪くも記憶が曖昧で、

そのあと俺は恭子さんのことをお姉ちゃんと慕い、

少し短いようで長い1日は終わった。

翌日、俺は恭子さんに連れられ

村を案内してもらった。


「よっ!恭子!…あれ、その子は?」


と、獅神結城しがみ ゆうきが恭子に話し掛けてきた。


「昨日引っ越してきた陰陽師の息子だって。」


と淡々と言った。俺は昨日の恭子の警戒から

不安になっていたがその予想も外れ結城は


「そっか!よろしくな!

 俺は獅神結城って名前なんだ。」


「山城慶です………。」


と、言ったところで疑問に思い

咄嗟に出た言葉で


「お姉ー…恭子さん………。」


顔を赤らめた。

直後恭子も顔を赤くし結城は笑い、

恭子は顔を赤らめているものの優しく


「どうしたの?」


と言ってくれてそれで

俺の心は救われたような気がした。

直球で俺は


「お姉ちゃんは…妖怪なの?」


「ああ…気になる?そこにいる獅神くんは

 ちなみに獅子、ライオンで。

 私はヤマタノ大蛇、まぁ蛇だよ。」


俺はぽかーんとしながら口を開け立ち尽くし、

しばらく考え込んで笑顔で


「格好いいね。」


と出来るだけ感情いっぱいの声で言った。

結城と恭子も共に笑い合った。

一通り案内と挨拶をして、

恭子に警告を聞いた。


「今回は私が居たから良いけども、

 この村の中には人間を食べようとする怖い妖怪も

 いるから、神社にはあまり近付かないでね。」


「何で神社なの?お姉ちゃん。」


「私もあんまり話したことないけど…

 人間をひどく嫌う狐がいるみたいだからね。」


俺はその警告を無視し気になってしょうがなくて

昼飯を食べたあとその神社へと向かった。

一応は借りてある部屋の窓から遠くに見える神社

の場所を暗記し、恭子に見付からないように

そーっと扉を開け神社へ向かった。

神社の周りは鳥居以外、

境内と落ち葉しかなく本堂を除いてもただ

奥に刀のようなものがあるぐらいだった。

俺はそれにも勇気と期待が満ち溢れ本堂の扉を開けた。

その瞬間、誰かに押されたかのような背中の

重圧に負け、本堂の中へ入ってしまう。

とてつもない冷気と恐怖を味わい扉を開けようとするも

開けれず、外はもうピンク色に変わろうとしていた。

そしてガタガタギシギシ………物音が鳴り響く中俺は

ずっと頭を抱え、

肩を震わせて村に来る前のことを思い出した。

親の職業が職業なのでいじめを受け、

転校が日常茶飯事だったため色んな暴行や、からかい

などがフラッシュバックのように全てが物音に乗せて

頭を駆け巡っていく。


「………死にたい。」


そう呟くほどに俺の心は

打ちのめされていた。だがその声を聞いた主は

なにかを呟き本堂の前の扉の前にたち、

扉を開けた。

人間は嫌いだ。

妖怪と違って武器をもって、

妖怪と違って知識が豊富で

妖怪と違って惨くて

妖怪と違って…本当の生き物じゃないか。

妖怪は伝記や伝承に載るだけで実際には

居ない存在扱いで、

アニメや漫画で出るくらい。

フィクションだ。

ノンフィクションじゃない。

見た人がもし居たとしてもその人が、

可笑しくて、

テレビで出てるのはほとんどがCGだ。

元々は人間と共存していたのに、

人間の方から離れて嫌って

居ないものとして見て。

そしてそして………僕の親は陰陽師に殺された。

でもそれはどうでも良い。

諦めた訳じゃない。

頼れる妖怪が居ないわけでもない。

そんなに仲が良くなかったし、

じゃあ逆に陰陽師が見つけたらどうする?

問題はそこなんだ。

だから無理。

だから人間は嫌いだ。

そういった意味でも。

緊那羅村長からの話を聞いたのは

そんなことを考えてた最中だった。


―今度人間の陰陽師が引っ越してくる。


それに息子がついたもんだと聞いたら

俺は鼻を鳴らし口の中で呟いた。


―村から追い出してやろう。


そういった意味でも俺は

この人間の子供を閉じ込めたのだろう。

ガクガクと震えるのを見て俺は

面白そうに物音を立てる。

ここまでやれば、

ここには居たくなくなるだろう。

だが何故だ?

胸が締め付けられる………。


『死にたい………』


なかの子供はそう呟いた。

そのとき自然に体が動き

今の今までやっていたこととは

正反対に扉を開けた。

そう呟かせた自分の言動に後悔し

扉を開けたのだが…正直開けたあとは

どうすれば良いか分からなかった。

だからちょっだけ声を掛けることにした。


「ねぇねぇ………どうして泣いてるの?」


「だって恐いから…」


恐い?


「何が恐いの?」


少しニヤけながら呟いた。

だが待っていた答えは予想とは反していた。


「みんな。」


「みんな?………君は人間でしょ?

 人間も恐いの?」


「うん。」


「同じ人間なのに?」


「友達…居ないんだ。それに僕…皆より家庭とか

 そういったのが変わってるからいつも仲間外れで………」


自分と全くではないけども同じ境遇の人が、

居たことに驚いた。

目の前の人間の少年はまた

涙を流そうとしている。

それが鬱陶しくて同時に自分の助けにもなった。


「ねぇならさ…僕がなるよ。」


「え?」


「僕が君の初めての友達に…さ。

僕の名前は坂崎銀次郎。君は?」


「名前………名前は………―」



そして暗転。

区切りが良いのでここら辺で。

明日も投稿しますのでお楽しみに!

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