第1章11話 「Who is the culprit?」
(犯人は誰だ?)
旅行といれえばまぁ、旅行だろうな。
だが俺らの面子(慶、銀次郎、美世、孕子、由理)
で一番指導しなければいけないのが、孕子である。
こいつは今回初めての村から出ることになる。
服装いわば身なりをきちんとしなければならない。
村ではほとんど巫女姿で昔から接してはいるから平気なのだが
どこぞかのロリコンが見れば何かされるのではないか。
そんな身体を持っているわけで
…何度も言うように昔から接してきたんだ。
ガキの身体から女らしい身体になってきている。
まだ1桁台だというのに…なんでも九尾の狐は成長が早いのだとか。
そのうち背も俺くらいになると銀次郎は呟くが…
いくらなんでも170の身長にはならんだろう。
としか言わざるを得ない。
そして何より孕子の場合、擬態化だ。
狐耳を隠さなければならない。
そして、銀次郎は出来てるようだが尻尾。
それらをすべてできた上で行けるのだが
心配だー………
「…ったんだよね。銀次郎。」
と汽車に乗りながら銀次郎に呟く。
「まぁね。あいつはあいつで今は胸も耳も尻尾も
隠してるから良いけど、あとは服装だったしな。」
と、汽車の弁当を食べながら俺と銀次郎は向かい
合いながらまた、違う席で女子はきゃっきゃっ
騒ぎながら俺らは話をしていた。
銀次郎のことは略して銀次と言っている。
「そういや情報はとれたのか?」
その話は切り出された。
「ああ。」
ガタンッ!
「とっ………?!本当かよ!」
足元を押すようにして椅子を揺らした銀次郎は
相当驚いてる模様だった。
「まぁな。だが………疑問点はいくつかある。」
「まずは核心的な情報を教えてくれ。」
「まぁまぁ。そう焦るな。
まず、犯人の所属している組織だが
お前の読み通り犯行組織、反百鬼夜行派であることが分かった。
で、問題はそいつの名前。
犯人として候補の上がった人物の名前は”黒鳥優破”と呼ぶそうだ。」
「黒鳥…?どこかで聞いたような……」
「黒鳥家だよ。
ほらあの事件の被害者、八等分事件の」
その事件の名前に驚く銀次郎。
八等分事件とは俺がまだ10にも満たない、
それこそまだ怪村に行ったことがないとき。
まだ母さんが生きていた時代に起こった凄惨な事件の一つ。
犯人となる加害者は被害者の身体を綺麗に八つ裂きにする。
そしてその死体を被害者の親類の前に放り投げるというもの。
未だ犯人は捕まってはいないがその後八つ裂きとなる事件は起きず
人間側の警察、またこちら妖怪側も頭を悩ませるものとなっていた。
「綺麗に八つ裂きにする…人間側だったら
当時俺の父さんが血眼になって犯人を追い求めてたからな
…それも妖怪側に非があるのではないかってね。」
「慶の父さん…ああ、山城源代さんか?」
山城源代
人間側の妖怪に対抗している組織、陰陽師の頭でありながらにして
妖怪側の俺の母さんにあたる”紅葉”と婚姻を果たした異例の存在。
ちなみに余談だが母さんの話を聞いた時はそれは驚いた。
母さん…紅葉という妖怪は種別としては人間に近い鬼女で
父さんの話だと絶世の美女だったという。
そんな美女と剣を交えたときに一目惚れ。
母さんである紅葉さんも一目惚れ。
その後何やかんやあった後に婚姻を果たして俺とその妹を産んだ。
俺は人間の血を強く引き、妹は妖怪の血を強く引いた。
そのため母さんは妹と共に、父さんと俺と離れることとなる。
異例の存在は異例な形でその家族を引き裂かれた。
妹とは俺はまだ物心つく前だったしどこに行ったかさえも知らない。
母さんはその矢先に他の陰陽師によって殺されたと聞いた。
父さんは憎み自分を憎み、遂には俺を怪村に置きその後行方をくらませた。
生きているかも知らない。
でも俺はそれ以上にその話の続きを知りたい。
妹はどこにいるのか、母さんはどうして殺されることとなったのか。
今は他の問題がある、でも気にならないというのは嘘であった。
「で、八等分事件になんで黒鳥家が関わっているんだ?慶」
「へ?……ああ!
黒鳥家はその八等分事件の最初の被害者なんだよ。
なんでも黒鳥家のその長男、黒鳥優破は目の前で犯人によって
両親を八つ裂きにされたらしい。一時期は百鬼夜行の方で預かっていたんだが
まさか反百鬼夜行派に移るとはな…」
「そうか…で、アイツを頼って黒鳥ていう名字または名前のやつを
見つけ出すってことが夜叉様に頼まれたことだろ?
でもよ…思うんだけど確かに何で繋がってんだ?」
「それを見つけるのも俺らの仕事だ。
まぁ確かにつながりが今のところの情報では見当たらない。
簡単に分かればいいのだがな……。
ああ…今日も雨か…」
窓をそっと眺める。
雲は曇天で今にも振り出しそうな雲の色は今後の行き先を案じた。




