第1章1話 「日常に飽きた女の子(プロローグ)」
はじめましての方は初めまして。
そうでない方はいつもご拝読いただきありがとうございます。
僕と妖怪少女と常日頃を改変しまして新たにRe:salvationとつけました。
意味は『再びの救済』。それが今後どう意味するかこうご期待。
ではどうぞご覧ください!
チャイムが鳴る。
聴き慣れた音がまた私の日常の終わりを告げようとしている。
決まったこと、やるべきこと、何度も何度も
同じことをして感情を作って窓を眺めながら白紙を
黒く塗りつぶして繰り返す。
嫌になる作業だと言ってしまえばそれが学生の本分だと
自称、優等生は言うのだろう。
でも私はそんなに優等生を演じれる素質は持っていない。
嘘が綻ぶのと同じ。
こうやって自分に無駄ごとを言い聞かせるのも飽き飽きだが
そうもしてないと眠たくなってしまう。
夜行性でもないくせに相手が嫌いなわけでもなく
ただただ疲れで眠くなる。
あくびをこらえて目を半開きの状態のまま
そうして最後の授業が終わりを告げた。
『ここはテストに出るからしっかり復習しておけよ?
次回小テストするから。日直は誰だ?』
うーん…という眠気混じりの声に私はその横の人物を見る。
綺麗な紫色の瞳をぱちぱちとさせ私を横に見て
「……んにゃ?どうしたの?香山さん…?」
「日直って峰崎さんだよね?」
私、香山由理は耳元で小さく耳打ちすると彼女、
峰崎美世は素早く机からその小さな桃色の髪を
ポンと上に上げて右腕も上げて叫ぶようにして大きな声を上げる。
「起きてます!」
『何も言ってないんだが…』
ガヤガヤと笑う声に優しいからかいが起きる中
日常を終わらすチャイムが鳴る。
そうして平凡な時間は終わる。
何度も何度も繰り返す作業という毎日が……
私はとても退屈で飽き飽きしていた。
――彼らに会うまでは。
「どうしたの?由理」
「えっ?」
放課後の掃除も終わり後ろに下げた椅子と机を元に戻し
終えた直後いつも一緒に帰る友人の北園詩織は
そう私に声をかけた。
「なんか暗い顔してたけど?」
「ああ、ごめん。ちょっと考え事してて…」
明るい声の質問とは違う少しトーンが低めの声で応対すると
詩織は疑問符になりながら心配そうに見つめるが、
すぐに何か悪さをするようなニヤリという表情に変わって
「も・し・か・し・て…慶くんのこと?」
「ふぇっ!そそそっそんなんじゃないよっ!」
明らかな動揺に詩織はニヤニヤと笑いながら由理に耳打ちする。
「―好きなんでしょ?」
ボフッという音が鳴るような真っ赤な顔をその一瞬で作り
詩織はおお~と感嘆するように眺め笑う。
慶くん…今私の席の隣にいる峰崎さんと同じ出身の転校生だ。。
二人は丁度一年前にある田舎からここに転校してきた身で
出身のことは語らなかったもののすぐにクラスメイトに打ち解けた。
頭脳明晰、高身長な身体とは裏腹に身軽でスポーツ万能。
そして誰にでも話せると、コミュニケーション能力も高い。
見た目もよくてキリッとした目に黒い髪に紺色の目は
兼ね備え過ぎていて本当もうやばい――
「ゆ、由理?大丈夫?」
「え!ああ、うん…ダイジョウブ…」
そんな私を見兼ねる詩織ははぁ…と溜め息をついて呟く。
「まぁ確かにねぇ…あんな見た目と才を秀でているのに
一年経ってもまだ彼女がいないっていうのはねぇ…」
そう…誰もが憧れるも魅力と才を持ち合わせながら
彼は未だに彼女を作りたがらない。
まさかのホモ…同性愛者かと疑われたが、
もう既に男子からも告白を受けているらしく女子も曰く
告白はすべて断っているらしい。
「まあ由理は大丈夫でしょ!
私から見ても男子にはモテてると思うよ~?
内気なだけでさ!」
「もう!詩織ちゃん、そんなこと言わないでよ!」
「で、実際どうなの?
好きなの?大好きなの?答えて答えて!」
どっちも好きじゃん!と驚いて返事をしつつ
その質問に喉をつまらせる。
本当はどうなんだろう…あまり言葉に表せれない。
好意の問題じゃないというのは考えてる。
えーっと……私は―――
「慶……くんと一緒にいるだけで良い。」
「……ほへぇ。すごい乙女を垣間見たよ……
私今の由理の顔一生忘れないと思うわ」
正直に答えた私はすぐに素に戻って詩織に今の見なかったことに!
と答えるが詩織はニヤニヤと笑ってどうしよっかなぁ……と笑う。
すべての日常が退屈なわけじゃないがすぐにこんな青春と言える
問答も終わるんだろうと考えながら詩織と笑いあう。
すると詩織が
「ならもう告白すれば良いんじゃない?」
と笑うとそんなの私には無理だよと笑う。
そうして詩織が何故か私に好きな人…慶くんについて質問しては
答えれる範囲で答えて…とあっという間にその時間は過ぎていき…
クラスのみんなが次々と帰っていくなかで由理はもうそろ帰ろうかと
詩織に尋ねようとしたとき閉められた教室の扉が開く。
そこには
「悪い、遅くなった。
で、話ってなんだ?」
会話の本人、山城慶が立っていた。
(え?!なんで?!!)
と由理は少し汗ばんだ額を手で拭って詩織を見る。
すると詩織は由理に耳打ちする。
(頑張りなよ?由理…私先帰るから)
(私呼んでないよ!?…まさか詩織ちゃん…!!)
すると猫のように身軽に跳ねて小悪魔チックにベロを出してその場から
ササッと去った教室には椅子に座って顔を真っ赤にした由理と
慶くん、二人しかいなくなっていた。