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〜気ままにドライブ〜『寿司屋』

「並んでるかと思ったけどそんなに並んでなかったね。」

「まだ、5時だしな。」


彼と彼女は頼めば新幹線で寿司が運ばれてくる某寿司チェーン店にきていた。

テーブル席で、向かい合って座っている。


「マグロが回ってきた!」

「よかったなぁ。」


彼は、カッパ巻きをつまみながら応える。


「うーん、ちょっとパサっとしてる。」

「乾燥してるのか、どれ。ふむふむ、確かに乾燥してるな。」

「でしょ。新幹線で頼もう。」


彼女は頭上にあるタッチパネルを操作し、中トロ、大トロを2貫ずつ頼む。


「そんなにトロ食べるのか?」

「もちろん!この後はイワシー!カニー!」

「財布ないんじゃなかったのか?」

「今日は奢られることにしたから気にしません!」

「はいはい。じゃあ、たくさん食べてください。」

「はぁい!」


彼は納豆巻きをつまみながら彼女を観察する。

頰が緩み、足をバタバタさせて小学生みたいである。

時々、彼のすねを蹴ってくる。

彼も頰が緩む。


新幹線がやってくる。


「おいしそぉ〜!いただきます!」

「はいよぉ。」

「はむ。……。〜〜っ、おいしいっ!」

「それはよかったよ。」

「翔太くんも一つ食べてみて!」

「じゃあ、いただきます。……。うまいな。」

「でしょでしょ!」


あっという間にトロを食べていく彼女。

今度は体が左右に揺れている。

彼女のキューティクルを持った黒髪が照明を反射する。


「次はイワシだぁ!」


タッチパネルを操作する。


ふと、彼が彼女を見る。


「どうしたの、翔太くん。」

「唇に海苔がたくさん付いてるよ。」

「えっ。」


ゴシゴシ


「と、とれた?」

「いいや、まだ付いてるよ。ちょっと口をこっちにむけろ。」

「いや、それは、はずかしむぐぅ。」

「ほい、とれたぞ。」

「あ、ありがとう。」


新幹線が再びやってくる。


「イワシっ!」

「イワシは逃げないから落ち着いて食べろよ。」

「はぁい!」


イワシがどんどん彼女の愛らしい口に吸い込まれていく。

彼も一貫もらう。

イワシのトロっした食感に満足し彼女を見る。

やはり、はしゃいでる。

連れてきたかいがあったなぁ、と彼は思う。


「次はカニだな。」

「うん!」

「じゃあ、カニ汁も頼んでおいて。」

「あっ、私も飲む!でも一つは多いなぁ。」

「それじゃあ、俺と半分にしよう。」

「そうだね、そうしよう!」


タッチパネルを操作する。


注文を完了するとすぐに店員がカニ汁をもって来る。

汁物は新幹線ではやってこないらしい。


まず、彼女が口をつける。

はぁ〜、と暖かい息をはく。

足をバタバタさせず、 目をとじてリラックスしている。

また口をつける。

今度は彼女の体全体が下にずり下がる。

体もリラックスしているようだ。


「はい。翔太くん。」

「ずいぶんおいしそうに飲んでたな。」

「本当に美味しかったからね。」

「そうか。」


彼も口をつける。

間接キスではあるが、そんなことを二人とも気にせずリラックスする。


本命のカニ貫がやってくる。


スイッチが入る彼女。


「カニ!」

「お待ちかねだな。」

「えへへ〜、カニぃ〜。」


パクパク食べていく。


「私、幸せだなぁ。」

「そうだな。でも、3日後はもっと幸せにするよ。」

「っ!! 不意打ちはズルいよぉ。それって告白?」

「いや、これは告白じゃないよ。宣言みたいなものかな。告白はもちろんするよ。」

「そっかぁ、楽しみにしてるね。私も、3日後は期待しておいてね。」

「何かするのか?」

「秘密〜!」

「そっか、俺も楽しみにしてる。」

「うん!」


お互い机の下で足を少し絡ませる。


二人とも笑顔になる。


「よし、まだまだ食べるぞぉ〜!」

「どうぞどうぞ。」


彼女は宣言通り食べ続け机に10個のお皿が3列作ったところで、ごちそうさまをし勘定をした。

ちなみに彼は2列作った。


駐車場に戻り。


「翔太くん、ごちそうさまでした。」


と、彼女は輝く笑顔で彼に言った。


彼は、思わず抱きしめたくなったが理性で抑えて、


「また来ような。」


と、彼女に笑顔で返した。

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