〜気ままにドライブ〜『葛西臨海水族園』
「マグロって今はいるんだっけ?」
「今は順調に泳いでるらしいぞ。さっきサイト見たらその後のマグロたち、っていう活動報告があったよ。」
「なんか可愛いね。……あっ本当にあった。」
「だろ。」
「じゃあ、今日は水族館行こうー!」
「おぉ!」
彼女と色々な場所を訪れて4日目。
時間は15:30で止まっている。
「うぅー、昨日まではポカポカしてたけど今日は寒いね。」
「昨日コート買っておいて良かったな。」
「だねぇ。また聞いちゃうけど似合ってる?」
「似合ってるよ、可愛い。」
「えへへ。」
「じゃあ、バイクの後ろ乗って。」
「はい!よいしょ。乗ったよぉ〜。」
「じゃあ、レッツゴー!」
「おぉ!」
停止している車の横を通っていく。
信号を待つ必要もないのでノンストップで目的地に着く。
「到着。それと、動け。」
「あっという間だね。さてさて、水族園に入りますか。」
「ちょい待ち、お金払わないのか。」
「えっ、だって都内に住んでるからお金いらないでしょ?」
「それ、中学生までだよ。」
「えぇ!!そうだったの!?知らなかった。財布置いてきちゃったよ。」
「今日は俺の奢りな。異論は認めないぞ。」
「むぅ、あと3日なのに。」
チケットを二人分買う。
「はい。」
「ありがとう。」
中に入りエスカレーターを下っていく。
エスカレーターを降り少し進むと大きな水槽があった。
「うわぁ、大きい水槽!あっ、翔太くん見て見て!魚が泳いでるよ!」
「それ、イワシらしいぞ。あと、大きいのがシュモクザメ。あぁ、エイはエイだな。」
「イワシかぁ、じゅるり。」
「おい、今女の子としてあるまじき音がなったぞ。」
「だって、美味しそうなんだもん。」
「…わかった。今日の夜ご飯は回転寿しにでも行くか。」
「わぁい、やったぁ!!お寿司ぃ!!」
彼女は飛び上がって喜ぶ。
どうやら、心がぴょんぴょんすると本当にぴょんぴょんするらしい。
イワシを一通り、溢れ出るヨダレを抑えながら見学し次の水槽に向かう。
「〜〜っ♬」
鼻歌が聞こえてくる。
すると、どうやら例の場所に着いたようだ。
「マグロだァァアアア!!」
すごいテンションの上がりようだ。
上がりすぎて若干キャラ崩壊も引き起こしている。
いつかのハンバーガー屋のCMの「喋ったァァアアア」を思い起こされる。
「マグロだけじゃなくて、スマっていう魚もいるって、書いてあるぞ。」
「私はマグロ一筋だ!」
「さいですか。」
「ふぅふぅふぅ。」
「よし、次いくぞぉ。」
「マグロぉ、マグロぉ!」
彼女をマグロブースから引き剥がし、次の水槽に行く。
「世界の海だってよ。」
「食べられる?」
「さぁ、どうかなぁ。多分観賞用だと思うよ。」
「なぁんだ。じゃあ、次行こう。」
「えっ、あそこにカニいるのに。」
「カニっ!?」
「食いつきいいな!」
カニを見つけカニの水槽にべったり張り付く。
「おいしそう…。」
「ほら、次行くぞ。」
「カニぃ!」
また引き剥がし、引きずりながら次の水槽にいく。
「クラゲがいるぞ。お、クリオネもいる。」
「本当だ、可愛い。」
どうやら一旦の落ち着きを取り戻したようだ。
やはり、カワイイは正義らしい。
「クラゲって脳みそがないんだってな。」
「確かに脳みそっぽいのないよね。」
「あと、目があるらしいぞ。」
「えっ、どこに!?」
「触手にあるって話だったよ。」
「へぇ、クラゲって変な生き物だね。」
今度は彼女自身から歩き出す。
「あっ、ペンギンだ!空飛べないのかなぁ。」
「俺もペンギン見るたびに思うよ。」
「でも、ペンギンが空飛んでる映像見たことあるよ。」
「それエイプリルフールで流された映像だろ。」
「翔太くんも見たことあるんだ。あれはリアルだったよね。」
「確かに、リアルだった。」
頷きあい次のブースにいく。
「なになに?世界最大の海藻ジャイアントケルプだって。」
「大きいな。」
「50m以上にもなるらしいよ!」
「すごいな、50mってマンションぐらいか。」
「すごいね。」
驚嘆して次に行く。
「ここで、最後だな。」
「東京の海かぁ。」
「…普通の魚だな。」
「だね。」
ー間も無く閉園時間となります。ー
「お、ちょうどいい感じだな。」
「もう5時かぁ、早いね。じゃあ、この後はぁ〜。」
「寿司だよな。」
「寿司!寿司!寿司!」
「はいはい、ちゃんと連れて行くから。」
水族館を出てバイクに戻る。
「止まれ。」
「さぁ、信号無視して行くよぉ〜。」
「はいよ。」
バイクが急加速をし白煙を上げて駐車場を出て行った。
彼女念願の回転寿し屋に向かっていく。