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〜気ままにドライブ〜『豊洲ららぽーと』

「買い物じゃー!」

「おぉ!」


この日は久しぶりに時間を動かし有楽町線に乗りららぽーとに来ていた。彼女にはどうやら買いたい服があるようで現在ららぽーと内の服飾店を回っている。


「しっかし、豊洲って綺麗になったよなぁ。東雲の方もタワーマンションが沢山出来てるし。」

「前はどうだったの?」

「数年前なんてこの辺更地とかで何もなかったぞ。本当最近のことだよ、こんなになったの。」

「へぇ。あっ、大きいクリスマスツリーだ。」

「そうか、クリスマスシーズンでもあったな。1ヶ月時間止めてたせいで時間の感覚が。」

「私が動く前だよね。本当、私なんで動けるんだろう。」

「まぁ、いいじゃん。優里さんが動いてくれたおかげで毎日楽しいし。優里さん、ありがとな。」

「うん、どういたしまして。私も楽しいからありがと。」

「どういたしまして。」

「じゃあ、服見よう!」

「おぅ。」


ららぽーと内には多数の店舗がある。

その中でも多いのは服飾店。

それぞれのお店が冬物の主力商品を売り出している。

ちらほらと春物も売り出している店もあるが。


「これ可愛い。翔太くんどう似合いそうかな?」


彼女が手に取ったのは、ネイビーのニットコートだ。


「似合うと思うよ。試着してみたら?」

「そうだね。よいしょ。どう?」


幼さの残る顔。

背も高くない。

けれども、


「うん、可愛い。似合ってる。明るい色の方が似合うと思ったけど、落ち着いた色も似合うね。」

「本当?じゃあ、これ買おうかな。」

「まだ見て回らないの?」

「うーん、翔太くんが似合ってるって言ってくれたし。サイズ会うのこれしかないし。」

「じゃあ、お店の人に頼んでちょっとおいといてもらおう。すみませーん。」

「あっ。」


店員に頼む彼。

店員は快く応じてくれた。

彼と彼女を見てニコニコしてる。


「おいといてくれるって。じゃあ、次のお店行こうか。」

「うん。」


ピタッ


彼にくっつく彼女。


「どうした?」

「寒いから。…いいよね?」

「んまぁ、良いけど。」

「じゃあ、くっつく。」


笑みを浮かべて彼を見る。


「そういえば、時間が動いてる時に一緒にいるの初めてだな。ゲートブリッジの時はエレベーターに乗る時だけ時間動かしただけだし。」

「そうだけど、それがどうしたの?」

「その、時間が動いてる間は周りの目があるから、恥ずかしいなぁって。」


頰を染めながら、その頰をかく彼。


そこをいじる彼女。


「へぇ、翔太くん、意外とヘタレなんだねぇ。ぷふ。」

「うるさいなぁ。優里さんだって頰赤くなってるじゃん。」

「これは寒いからから赤くなってるだけだもーん。」

「強がっちゃって、素直になりなよー。」


彼女の頰をひっぱりムニムニする。


「にゃにしゅるのよぉ。(何するのよぉ。)」


ムニムニ


「わひゃひもみゅにみゅにしゅる。(私もムニムニする。)」


ムニムニしあう二人。


次第に視線を集めはじめる。


それに気付き、さっと手を離す。


「じゃ、じゃあ、買い物続けようか。」

「うん。」


逃げるように少し早歩きになる。


この後、しばらく他の店舗を回ったが、最初のニットコートがお気に召したようだ。


「すみません。取り置きを頼んでたものですけど、それ買います。」


値段を提示してくる店員。


お金を払おうとする彼。


「待って、私のだし私が払う。」

「いや、払うよ。」

「あと4日待って。」

「けっこうその約束崩れてた気がするけど…。」

「お金は譲れない。」

「わかったよ。でも4日後はちゃんとおごらせろよ。」

「うん、わかった。」


彼は退き彼女がレジの前に立つ。

なかなか、良い値段だった。

コートは元々高いが女子のはやはりもっと高い。


「買った買った。」

「よかったな。」

「うん。」

「じゃあ、これからどうしようか。」

「あの、翔太くんちょっと先に帰っててくれない?」

「えっ、どうして?」

「それは…。」

「?」

「女の子には男の子が見ちゃいけない買い物もあるの!」

「お、おぅ。じゃあ、先に帰ってるよ。」

「私も買い物終わったらすぐ帰るから。」


別行動になる二人。


彼女は彼が帰ってから一時間して帰ってきた。

その手には彼に預けたニットコートの袋以外にピンク色の袋が掲げられていた。

彼は何を買ったか尋ねたが、「楽しみにしててね。」、と言うだけで答えてはくれなかった。


だが、彼女が何を買ったかを彼が知るのは4日後のことであった。

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