修理、修理、また修理
日常編書くの楽しいなぁ。戦闘シーンも楽しいんだけど、色々遊べるのがいいですね。
「やっと終わった……」
湯殿改め銭湯の修理が完了した。どうせ丸々建て直すようなもんだったから、意見言いまくって反映させてやった。ざまぁみろ!!
「おいボウズ、これは……」
「ああイガさん、来てたのか。」
「ようやく修理が終わるって聞いたからな。せっかくだから一番風呂にでもあやかろうかと思ったんだが……」
「あ、なら入ってってよ。この世界で風呂の知識あるのって俺とイガさんくらいだし、感想聞かせてもらえるとありがたい。」
「なら邪魔するぜ。また後でな。」
なんだかんだ言ってイガさんも風呂の魔力にはかなわないようだ。分かる、分かるぞその気持ち!
あれ? よく見たらイガさんの後ろに誰かついていってるな。あれは……あぁ、ヴィエラか。フード被ってないとパッと見で分からないんだよなぁ。
でもこうしてるところを見るとイガさんとヴィエラは上手いことやってるのかもしれない。でもヴィエラが叔母だと知って心中としては複雑である。
「コウ。」
ふと声がかけられる。この声はアランか。
「アランか。どうしたんだ? お前も風呂に入りに来たのか?」
「あ、ああ。今日で修理が終わるって聞いたからな。イガラシも行くと言っていたからついでに俺とミリィも行こうかって話になってな。」
「相変わらずお熱いねえ。いいさ、入ってけよ。きっとビックリするぞ?」
「また何かやったのね……お父様もコウには甘いんだから。」
「大したことはしてないつもりだけどな。まぁ悪いようにはならないから見てこいって。」
確かに修理するにあたり、オルデン君に色々提案してみたところ、全て了解を貰っている。あのオヤジはミリィの事となると残念なオッサンでしかないが、損得勘定を良く分かっている。実際アランとミリィの婚約(?)だってあの場で即断したしな。
さてさて、この分なら他にも誰か来そうだな。次は誰が来るか……
「あ、コウだ。やっほー。」
「コウさん。修理はもう終わったんですか?」
おや、噂をすれば。すっかりアホっ娘の地位を確立したアイラと、残念お姉さんのアイサの姉妹がやってきたようだ。ただしどちらもギルドでの人気は高い。
実際アイラはあのキャラで結構な腕前のヒーラーだし、アイサは元々ギルドの受付嬢。更に最近は愛想が良くなったとのことで人気度がアップしたそうな。あとは極端な胸のサイズもあってアイラ派とアイサ派で敵対してるらしい。すごくどうでもいいな。
「ちょうどさっき終わったところだよ。もうイガさん達も来たけど、アイサとアイラも風呂に?」
「ええ、実際この前入って気持ちよかったものですから。それに肌にも良いと聞いてるので、出来ることならなるべく入りに来ようかと……」
「私も同じー。それにまだ一回しか入ってないしねっ!!」
ごめんなさいそれは私のせいです。
「そうか、なら是非入っていってくれ。色々驚くと思うから感想聞かせてくれな。」
「コウさん、また何かしたんですね……」
「あははは、面白そうだしいいじゃない。お姉ちゃんいこいこ!!」
「もう、アイラったら。それじゃコウさん、また後で。」
うーん、この分なら次は……
「ガッハッハ! どうした小僧! もう修理は終わったのか?」
「ですよねー。」
そうですね。流れ的には貴方ですよね。
「キサラギ君。今日は私もお邪魔しているよ。」
「あ、ヒースさん。こんにちは。」
おっと、ヒースさんも来ていたか。そういやこの前は急だったから呼べなかったもんな。
「で、団長に聞かれた通り修理は終わってますよ。もう既に何人か入りに来てるくらいだし。」
「そうか、ならワシらも入らせてもらって良いか?」
「もちろん、ヒースさんなら歓迎ですよ。」
「聞いたのはワシだぞ!?」
全く騒がしいオッサンだなもう。
「冗談だよ。団長も入ってってよ。前とは色々変わってるところもあるから楽しめると思うよ。」
「小僧、貴様また……いや良い。」
「ふふ、キサラギ君はいつも何をしでかすか分かりませんからね。是非楽しみにさせてもらいますよ。」
さて、俺の予想では次は……
「コウさーん。」
「お、来たか。」
予想通りシャル達だ。お、今日はルルとロロもいるな。
「お兄さん、こんにちは。」
「お兄さん久しぶりー。」
「よう、相変わらず元気そうだな。」
「コウ、ご苦労様だね。私のことも忘れないでくれよ?」
「ジャックスか。別に忘れちゃいないさ。」
しかしさっきから仲間達ばかりだな。むしろ全員勢揃いじゃないか。
「コウさん。もう修理は終わったの?」
「ああ、もういつでも入れるぞ。というか既に皆入っていった。」
「私達が最後だったか。確かに風呂はいいからな。出来れば毎日入りたいくらいだ。」
「私たちは初めてだからね。楽しみー。」
「僕も楽しみです。」
「そうか、色々楽しめるようにしてあるからな。ゆっくりしていってくれ。」
もはやいちいち突っ込まれるのも面倒なので軽く言うだけにしておく。
「コウさんは入らないの?」
「俺も入るよ。ただちょっと軽く用を済ませてからかな。」
「そっか。じゃあ私達は先に行ってるね。」
「ああ、ごゆっくり。」
さて、あと一人来てない人がいるが、ちょうど話したいこともあったし、修理完了の報告を兼ねて俺から向かうかな。
現場を管理していた棟梁に声をかけてその場を離れる。そして向かうは王城だ。
「コウ=キサラギだ。湯殿の修理完了の報告をしに来た。王様に取り次いで貰えないか?」
「はっ! キサラギ様ですね。陛下より通すように仰せつかっております。どうぞお通りください。」
準備いいなぁもう。これでもうちょっと性格がまともなら……
つまらないことを考えながら、謁見の間へと通される。王都に来たばかりの時は不審人物扱いされて牢屋に入れられたもんだが、今ではすっかり顔パスのようなものだ。
「おお、コウ、来てくれたか。湯殿の修理は終わったんじゃな?」
「ああ、ちょうどさっき終わったところだよ。皆どこから聞き付けたのか知らないけど修理が終わると同時に来たくらいだよ。」
「お主から進捗は聞いておったからな。そろそろ終わるのではないかとはミリィに伝えておったが……よほど気に入ったようだな。ハッハッハ!!」
「まあいい湯だったからなぁ。オルデン君も後で入るだろ?」
「うむ、流石に真っ昼間からワシが民衆の集まる場所に顔を出すわけにはいかんからのう。日が落ちてから行くとしよう。」
「今更な気もするけどな……多分王様だってバレてると思うぞ。」
「それならそれで結構。王とて冠を脱げばただの人じゃよ。それで、わざわざ来たのには何かあるんじゃろう? 言ってみよ。」
流石察しがいいな。
「この城に折れた聖剣が保管されてるとミリィから聞いた。てっきり教会に返したのかと思ったけど、まだ城にあるのか聞きたい。」
「我が娘ながらお喋りなことじゃのう。確かにかの聖剣はワシが管理しておる。教会はどうやら折れた聖剣には興味がないらしくての。返しに行ったがいらんと言われてしもうたわい。」
「そっか。なら好都合だ。単刀直入に言うが、折れた聖剣と折れた聖杖くれ。」
「単刀直入にも程があるじゃろう……まあ使い道もないから構わんが、その辺りの事情は聞かせてくれるんじゃろうな?」
「ああ、オルデン君は知っておいた方がいいだろうな。あの堕ちた神のことも。」
--俺は今までのこと、フラッグのこと。そしてその封印のことを説明した。
「なんと、この王城に代々伝わっていた聖杖がお主の母の物とな? いや、今更お主のことを疑うつもりはないが。なるほど、確かにつじつまは合っておる。聖剣が折られ、聖杖が折られ、次はお主らの連れが狙われておることもな。」
「もちろん王都を巻き込むつもりはないから、しばらくしたら王都を離れるつもりだ。迷惑はかけない。」
「迷惑などと言うでない。コウ、お主はこの王都の恩人であるとともに、ワシの大事な友人でもある。ワシに出来ることなら協力しようではないか。」
「オルデン君……」
いいオッサンだな。王様にしておくにはもったいない。
「で、その話と折れた聖剣、聖杖が欲しいというのはどう関係するんじゃ? もはや封印としての役目は果たしておらぬであろう?」
「ああ、そっち方面については今更どうしようもない。ただ仮にも聖剣と呼ばれてたくらいだ。直せばきっと役に立つ。」
「なんと!? 直せるのか!?」
オルデン君が驚いている。いや、そりゃ折れちゃっても直そうと思ったら直せるだろう。
「逆になんで今まで直そうとしなかったんだ?」
「いやいや、直そうとはしたんじゃ。だが腕のいい職人に預けても槌の方が負けてしまうと言って打ち直せる者がおらんかったんじゃよ……」
なるほど、材質が何で出来てるのかは分からないが、下手な工具じゃ材質に負けてしまうってことか。
「それなら心配ないかな。俺にはビゼンがあるし。」
「先程話していた精霊か。なるほど、確かにそれならいけるやもしれんの。」
『というかテンペストもハープも実際クラウドが僕を使って打ち直してるからね。僕の弟みたいなものだよ。』
「それはもっと早く言えよ!?」
いや、聞かなかったし言わなかったから無理もないか。だけどそれなら現実的に可能ってことだ。
「あとは腕のいい鍛冶屋か……一応招集はかけてみるが。」
「え? ああそうか、それは俺がやるよ。仮にも刀工としての修行は積んでたしな。」
「おお、鍛冶の覚えがあるのか。なら招集は必要なさそうじゃな。」
「あとは場所さえ貸して貰えれば……いや、場所はあるか。」
レイン爺さんのいるイシュタの町。あそこなら父さんの工房がある。修行中に少し見てきたけど掃除すればまだ使えそうだったしな。もしかしたら何か発見もあるかもしれない。
「そうと決まれば明日には渡せるように準備をしておこう。--コウよ。」
「どうした? 改まって。」
「お主にばかり負担を強いてしまって本当に申し訳なく思っておる。王とは言え、今は王都を復興することで精一杯じゃ。だがワシには他に頼れる者もおらぬ。どうか王都を、世界を守ってくれ。」
「任された。それに俺が守るのは王都でも世界でもない。俺の大事な人を、友人を守るためだから頑張るんだ。なぁオルデン君、さっき自分で言ってたじゃないか。俺と貴方は友人だって。なら俺はオルデン君も守る。そのために戦うよ。」
「礼を言う。この歳になってワシは本当に良き友人を得た。」
ちょっとカッコつけすぎたかな? だけどこの言葉は嘘じゃない。それに俺だけが戦うわけじゃない。
「それに俺はあくまで魔法師、脇役だ。きっとこの戦いを決めるのは勇者と呼ばれる存在なんだと思ってる。運の良いことに俺には勇者が二人もついてるからな。負ける理由なんてないさ。」
俺の幼馴染みにして、聖剣テンペストに選ばれた勇者アラン。
勇者ストームの血を引き、フラッグを苦しめた剣士、ムラクモの技を継ぐイガさん。
恐らく最後に決めるのはこの二人だろう。あの時のベヒモスのように。
俺は何故かそう信じずにはいられなかった。
「よしじゃあオルデン君。話も終わったしそろそろ風呂行こうぜ風呂。事前に話しといたように色々追加しといたから楽しんで貰えると思う。」
「ハッハッハ! もう壁を壊すのは無しじゃからな。待っておれ。すぐに用意しよう。」
だから今しばらくはこれでいい。束の間の平和だとしても、この平和を守るために戦うんだと。
その思いを胸に秘め、俺達は『スーパー銭湯キサラギ』へ向かうのだった。
ユニーク20,000PV達成しました!!
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