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-お正月編-キサラギの野望

明けましておめでとうございます!

年末までに本編が一区切りつけられたので、お正月編です。

 フラッグが逃げたその後、俺達はいつもの酒場へと向かった。ようやく王都も復興してきて、最近営業を再開したんだとか。ありがたい話だ。


 店に入ると、以前とは違って少し小綺麗になっている。逆に言えばそれだけ損傷が激しかったってことか。


 ちょうど新年祭の時期ということもあって店は賑わっているようだ。俺達は以前よく座っていた奥の席へと向かう。


「ああ、キサラギさん。オルデンさん。お久しぶりです。お待ちしてましたよ。おや、今日はイガラシさんもご一緒なんですね? まだちょっと傷みが残ってる場所もあるんで気を付けてくださいね。」

「マスター、無事だったんですね。また世話になるよ。いつもの場所借りていい?」

「ええ、なんせお得意様ですから。そろそろ来るんじゃないかと思って空けておきましたよ。」

「ありがとう。助かるよ。」


 マスターの好意がとてもありがたい。


「さて、あらかた話は分かってるかな?」


 アラン、ミリィ、シャル、俺の四人は以前フラッグと戦ったことがあるから奴が何者なのかは知っている。


 けれど地球から来たイガさんや、俺が戻ってきてから仲間となったアイサ、アイラ姉妹。それから団長やヒースさんもその存在を知らない。王様はミリィから報告を受けて知ってはいただろうが、まさか自らが王都に来るなんてことは予想していなかっただろう。ハープについても受け継がれている。というのみだったようだしな。


「つまりフラッグは自分の力が封じられているかつての勇者達の武器を探してるのね? そしてそれを破壊し、少しずつ力を解放している。と。」

「流石ミリィ、話が早いな。」


 我等が軍師様は頭の回転が早い。とは言ってもそこは道すがらに説明したから全員分かっていて欲しいところなんだが。


「で、結局残りの武器の場所はわかってるのか?」

「いや、今俺が持ってるビゼン以外、持ち主は知ってるが場所は知らないんだ。」


 ヴィエラの持つアクオスとレイン爺さんの持つサニー。本人達が持っていることは知っているが、どこにあるのか、またそれがどういう形状をしているのかも知らない。


 気になってチラリとヴィエラの方を見るが、相変わらず全身真っ黒で何を考えているか分からない。


「それにしても、王都もようやく復興の目処が立ってきたという時にフラッグの侵攻。ギルドとしてももう少し人材の育成に励まないといけないね。」

「あ、ヒースさん。ギルド長になったそうで、おめでとうございます。」

「よしてくれ、どさくさ紛れの成り行きだよ。もちろん就任したからには努力するつもりだけど、まだ長と呼ばれるには程遠いよ。」


 謙遜しているが、事実ヒースさんが冒険者ギルドを取り仕切っていたのはアイサの話を聞いていて知っている。それにヒースさんの心配も分かるが、多分王都は大丈夫だろう。


「俺の予想ですけど、しばらく王都を狙ってくることはないと思いますよ。」

「コウさん、何か知ってらっしゃるんですか?」

「いや、知ってるってほどじゃないけど、ビゼンが言うには、アイツが次に活動を始めるまでに半年はかかるだろうって見込みだし、王都にはもうアイツの言う楔もないからね。襲ってくる意味はないと思う。」

「え? でもヴィエラさんが……」


 うんまぁそうだよな。この場にヴィエラもいるし、さっきの話をちゃんと聞いてたら当然の疑問だろう。


「それは当然の疑問だと思う。だけど俺達はずっと王都にいるわけにもいかないしな。折を見て俺達は王都を出るよ。」

「そうね。元々私たちは新魔王を討伐する命令を受けている身ですもの、いつまでも王都に留まっているわけにはいかないわ。」

「とりあえずは身体を休めることも必要だし、しばらくは王都の復興を手伝うよ。その間にやりたいこともあるし。」

「やりたいこと?」


 うむ、今の今までバタバタしてて忘れていたが、俺には実行しなければならないことがある。


「オルデン君。王都の近くに穴掘っていい?」

「小僧!? 貴様いくらなんでも言って良いことと悪いことが!!」

「おっけーい。」

「お父様!?」

「陛下!?」

「なんだよ二人とも、俺何かおかしいこと言ったか?」

「そうじゃぞ二人とも。一体どうしたというのだ。」


 俺とオルデン君は二人揃って首を傾げる。何か変なこと言っただろうか。


「あ、穴掘るってのが悪かったのか? いやでもオルデン君オッケーって言ってくれたしな……」

「コウよ、気にせず掘るが良い。責任はワシが取る。なに、マブダチの為なら一肌でも二肌でも脱ごうではないか。」

「オルデン君……きっと良いモノを見せてやると約束するぜ。」

「待っておるぞ。王都の名物になるくらい大きな穴を掘るが良い。」


 オルデン君とガッチリ握手を交わす。俺達の間にもう言葉は必要ない。


「えっと、コウさん? 私全く展開についていけないんだけど、どういうことなのかな?」

「ボウズ、穴を掘るってこたぁまさか……」

「ああそうだよイガさん。ついにアレを実行する時が来たんだ。」

「いやだからコウさん? 穴を掘ってどうするの?」

「そうか……ならオレからは一言だけだ。ボウズ、掘ってくれ。」

「分かったよイガさん。俺に任せて。」


 イガさんとも固い握手を交わす。俺達三人はもはやソウルフレンドだ。


「無視するなああああああああ!!」


 --ドゴォッ!


「ふぐっ!?」

「もう! コウさん無視しないでよ!!」

「すいまえんでした……」


 結局またリバーをブローされてしまった。オルデン君とイガさんは知らん顔で酒を飲んでやがる。畜生、裏切ったな。


 --お前ら目にモノ見せてやるからな!!

分かる人は分かると思いますが、ついにあの伏線を回収する時が……!!


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