好勢?
ちょっと短めです。ご容赦を。
「ビゼン、モードガンブレード」
『了解ー、コウ、早速使うんだね。』
「あぁ、今さら四の五の言ってられないしな。実践不足は否めないけど仕方ないさ。」
日本刀から直刃の刀身に変化し、持ち手部分にトリガーが付く。細かい仕組みは分からないが、トリガーを引く行為が俺にとって一番魔法を発動させるのにしっくり来るのでこれを選択した。ある意味これも一種のロマン武器だろうか。
「なんだいそれは? 初めて見る武器だね。全くキミと遊んでると本当に飽きないよ。」
「俺は遊んでるつもりはないんだけどな。」
魔素を取り込み、魔力に変換させる。ここからは魔素を取り込みながら剣を振るう必要があるので、更に集中しなくちゃいけない。
「再生するなら再生出来ないほどに消滅させるまでだ。」
意識を集中し、左手を後方に向け、ブースターを発動させる。
急速にフラッグに接近し、右に持ったガンブレードでフラッグを切り裂く。胴を真っ二つにするが、やはりすぐに再生してしまう。
「おっと、怖い怖い。今度は魔法も使えるんだね。うん、そうでなきゃ。」
「やっぱり斬るだけじゃダメか。」
ダメージも特にない様子だが、先程とは違う点もある。
先程腕を切り落とした時とは違い、胴は切り裂いた部分同士が接合し、元の状態に修復された。つまり四肢程度ならそのまま新しく生えてくるが、胴体に関してはそうではないようだ。
とすると、やはり頭や心臓、あるいは下半身か、基幹となる部分があるに違いない。
再度ブースターを発動し、今度は縦に一閃する。
「おっと。怖いなぁ。そう何度も斬られるわけにはいかないよ。ボクだってちょっぴり痛いんだからね。」
軽口を叩きながら、今度は攻撃をかわされる
「そうか、これは避けるんだな。」
となると弱点は頭か。確証はないが狙うなら頭だな。
「おや? 何か掴んだみたいだね。まあ隠す必要もないから教えておくけど、確かにボクは頭をやられるとなかなか修復出来ないんだ。だけどそう簡単にやられてあげるつもりはないし、斬ったとしても再生出来ない訳じゃないからね。」
「そりゃ親切なことだ。それに斬ってダメなら擂り潰す。潰してダメなら消し去ってやるさ。」
「ハハハ、全く物騒だねえ。」
笑ってろ。俺はお前を許すつもりはない。
ブースターを発動し続け、縦横無尽に斬撃を繰り出す。頭だけは守ろうとしているのか、防御する腕を切り飛ばし、そしてまた生えてくる腕を切り飛ばし、ひたすらに頭を狙い続ける。
が、やはり狙いが頭だとバレているので、未だに決定打に欠ける状態が続いている。このまま攻撃し続けたとしてもスタミナ切れで前回の二の舞になりかねない。だが今は斬撃が続くと意識させてしまえばそれでいい。
「ラピッド。」
防御を固めて亀状態になったフラッグから少し距離を取る。
「勇ましき炎の精霊よ。紅蓮の業火で世界を紅く染め上げろ。」
ビゼンという精霊と契約したことにより、俺の火属性と風属性の魔法は燃費、威力ともに向上した。そして鋼の精霊としての権能が先程から使用しているモードチェンジ。これは俺が想像した武器の形に備前を変化させることが出来る。
「フレイムピラー。」
フラッグの足元から炎の柱が立ち上る。今までの属性単体の魔法とは異なり、その威力はビゼンをしてお墨付きだ。
「疾き風の精霊よ。無限の螺旋で無幻へ誘え。」
それに今までと違ってビゼンを直接通していることもあり、魔法のイメージに関してもビゼンからサポートを受けられる。複数属性を行使するのは厳しいというデメリットもあるが、それでも十分お釣りの来る特典だ。
「インフィニティ・ツイスター。」
炎の柱を覆うように竜巻が巻き起こる。同時発動ではないが、発動後に魔法を合わせて複合魔法とする。
「消し飛ばせ!! インフィニティ・フレイムツイスター!!」
よく使うフレイムツイスターの強化版だ。ちなみにフレイムツイスター改と名付けたらビゼンに起こられた。名前はちゃんと付けろと。
だけどこれで終わるなんて思っちゃいない。相手は腐っても神だ。やり過ぎても足りないだろう。俺は右手でデザート・イーグルを抜いた。
「バアル・バースト。」
銃口から放出される滅びの魔力。俺の使える中で一番威力のある魔法だ。
ケイオス・ペンタグラムは正直厳しいものがある。闇属性魔力の扱いに慣れてないこともあるし、上手く発動出来るか確証がないからだ。
持ちうる中でも高威力の魔法を二つも連発したんだ。これなら少しは通用するはず。
「ハハハハハハハハハハハッ!! やっぱりキミは面白いよ!! 会う度に強くなる! 会う度に進化する!!」
炎の中から高笑いが聞こえてくる。やはり倒せてはなかったか。
「クソが。倒せてないにしてもまだ笑えるほどかよ。」
「いやいや、正直危ないと思ったよ。それこそハープに封じられ力を解放してなければやられてたくらいには、ね。」
いつまでもふざけたことを言ってくれる。だがこれで倒せないとなると、切れる札はもうほとんどない。
--ザシュッ!
「がっ!?」
思考している間に、いきなり腹部を切りつけられた。一体どこから……
「惜しい、外しちゃったかぁ。そうそう、言ってなかったけどボクも一応技を持ってるからね。こんな風に。」
--シュッ!
炎の中から真空の刃が飛んでくる。幸い炎のおかげでその形を捉えることが出来たので、ブースターを発動してそれをかわす。
「くっそ、ここに来てそんな技が使えるとか聞いてないっての!!」
「ハハハ! そりゃ言ってなかったからねえ!!」
ここに来て形勢逆転。近距離ばかりだと思っていたフラッグの攻撃に遠距離攻撃が入るとなると、魔法を詠唱する隙が減ったことになる。
畜生。あの野郎今まで遊んでやがったな。
このままじゃジリ貧だ。なんとか突破口を見つけないと……
俺は繰り出される真空刃をかわしながら、次の一手を考え続けた。
次が後編ですかねー。ネタはあるんですが文章がなかなか……




