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修行の成果

めっちゃ遅くなりました。次はなるべく早めに更新します。

 --やはりロッテはシャルだった。


「でも見た目変わり過ぎじゃないか? 確かこっちじゃ三年くらいしか経ってないって聞いたけど。」


 こっちに戻ってきてからの期間も考えると三年半から四年ほどのはずだ。


「うーん、その辺は私も分からないかな。ただ急に背が伸びた感じはするよ。」


 ぶっちゃけ20cmくらい伸びてるんじゃなかろうか。あとは話し方か。なんというか女性らしくなった気がする。


「もうボクって言わないのか?」

「そういえばいつの間にか私って言ってるね。いつからだったかは分からないけど。」


 今でこそ言葉は砕けているが、ジャックス達といた時はもっと固い感じだったからな。気付かなくても仕方ない。と、思う。


「まぁとりあえずその辺の話は後だな。早速で悪いがイガさんの治療を頼む。」

「うん。コウさんはやっぱり……?」


 心配そうな顔をされて少し申し訳なくも思ってしまうが、やるしかないだろう。


「ああ、ちょっとアイツぶっ飛ばしてくる。いい加減鬱陶しいし。」

「わかった。回復は任せて! それと……絶対に死なないでね。」

「約束する。俺はもう二度と死なないよ。」


 そう言って三度奴と対峙する。正直もうお腹いっぱいだから帰って欲しいくらいだ。


「あ、もういいのかい? 感動の再会みたいだったから見てたけど、また会えなくなるんだからもう少し待っててあげてもいいよ?」

「気を使わせてすまないが、この後ゆっくり話すからいいさ。」

「後があると思ってるのかい?」

「思わない理由に心当たりがない。別に聞こうとも思わないけどな。」

「そっか、じゃあ言葉じゃなくて身体で思い知ってもらうとするよ。さあ、今度こそ殺してあげるよ!!」


 奴の身体から殺気が滲み出る。流石に前のように余裕ぶっこいて攻撃を食らってくれるつもりはないようだな。


「ほら、それじゃあサヨナラだよ、コウクン。」


 いつもの手刀が繰り出される。もはや見飽きた光景だが、それでもあの手刀の威力はよく知っている。


 ビゼンを抜き放ち、返す刀で受ける。


 --ギィンッ!!


 ぶつかり合う金属音が鳴り響き、衝撃で僅かに後退してしまう。だがそれだけ、特にダメージはない。


「やはりビゼン、キミを破壊するのには骨が折れるようだね。全く、持ち主とも相まって忌々しいの一言だよ。」

『忌々しいのはこっちのセリフだよフラッグ。それに油断しすぎかな。』


 ビゼンの言う通りだ。攻撃したら普通は反撃に備えるもんだろう?


 あえて振り抜かれた腕を狙って斬りかかる。フラッグも腕で攻撃を受けるが、誰も一撃で終わらせるなんて言ってない。


 二振り(・・・)のビゼンを手に、執拗に腕を狙う。いつまで受け続けられるかな?


「くっ! この!!」


 俺の攻撃を鬱陶しく感じたのか、もう片方の腕で手刀を放ってくる。そりゃそうするよな。でもそんな体勢じゃ狙いもままならないだろ?


 フラッグの手刀を紙一重でかわし、下から刀を救い上げるように斬りかかる。今までの攻撃は防御させるための囮、本命はこの一撃だ。


「ディゾルブソード。」


 恐らくはビゼンでしか使えない武器への付与魔法。発想はエルーション同様、相手の防御を貫くための弱体魔法。


 ーーズッ。


「は?」


 何が起こったのか理解出来ていないだろう。なんせ効かないと思っていた攻撃が自分の腕を切り落としたのだから。


「ああああああアアアァァッ!?」


 驚愕、そして苦悶に歪む様相を見て確信する。コイツは確かに異常なほどの力を持っている。だがそれ故に相手に傷つけられるなんてことを想定しちゃいない。だから攻撃も単調だし、防御もただ受けるだけだ。


「見苦しいな。堕神。」

「キサマ! キサマァアアアアア!!」


 あえて挑発する。怒れば怒るほど攻撃に殺気が乗って読みやすくなる。


「人間の分際で神を殺せると思ってるのカアアアア!!」

「思う思わないは後で考えるさ。」


 死なないなら何度でも殺してやる。お前は二度もシャルに手をかけた。いい加減こっちも腹に据えかねてるんだよ。


 予想を裏切らず、残った片手で大振りの攻撃を放ってくる。いつもう片方の腕が再生するかは分からないが、ディゾルブソードは闇属性の魔法を付与してあるし、再生能力も減衰しているだろう。すぐには回復しないはずだ。


 わざわざ刀で受ける必要もない。攻撃をかわし続けていく。威力はともかく、レイン爺さんの攻撃に比べたらそれこそハエが止まるような攻撃だ。


「ビゼン、モード大太刀だ。」

『了解、いくよー。』


 ビゼンに命令を出し、二振りの刀を合わせ、その形を自分の背丈ほどもある大太刀に変える。これでトドメだ。


「さようならだ、フラッグ。」

「ほざくなぁああアア!!」


 テレフォンパンチと言っても差し支えのない大降りの一撃を体捌きだけでかわし、横凪ぎの一閃を放つ。


 --ズバァッ!!


 肉を絶つ嫌な感触とともに、フラッグの身体を腹部から真っ二つに切り裂く。そしてそのまま身体は地に落ちた。


「こんな、コンナ……ニンゲンなんかにこのボクが、アアァァァァ……」


 そしてそのまま動かなくなった。


「終わった、のか?」


 また動き出すんじゃないかと思い、警戒は解かない。だが数分経ってもピクリとも動かない様子を見て、ようやく警戒を解いた。


「コウさん!!」


 イガさんの治療も終わったんだろう。シャルがこちらに駆け寄ってくる。


「シャル、ようやく終わったよ。」

「うん、うん!! 見てたよ!!」


 ようやく終わった。前世からの因縁も、父さんや師範、レイン爺さん達から続く400年の因縁も全て。


「さあ、みんなのところに行こう。もうアランやミリィとも会ったんだろ? アイツらはロッテがシャルだったって知ってるのか?」

「うん、もう話してあるよ。」


 そうか、もうみんな知ってるのか。ならまたみんなで酒場にでも行ってゆっくり話すとするか。全員揃ったんだし。


「ボウズ、助かったぜ。嬢ちゃんもサンキューな。」

「イガさん。無事で良かった。」


 どうやらイガさんも無事なようだ。本当に良かった。


「アラン達は静かだけどどうかしたのか……なっ!?」


 嘘だろう? 確かにフラッグの死体は目の前にある。だというのに。


「あれれ? どうかしたのかい? そんなお化けでも見るような顔をして、ボクの顔に何かついてるかな?」

「なんで……何故お前がそこにいる!!」


 アランも、ミリィも、団長も。主だった戦闘メンバーが軒並み倒れ伏し、その頭上で笑いながら悠々と話しかけてくる存在。


 --堕ちた神が、そこにいた。


「やっぱりビゼンを使いこなし始めたんだね。本当に忌々しい存在になったもんだよ。キミは。」

「ふざけるな! さっきのお前は偽物か!! それにアラン達をどうした!!」


 つまり俺が偽物を相手にしている間にアラン達がやられてしまったことになる。くそっ、そこまで可能性を考えてなかった。


「ああ、別に殺しちゃいないよ。邪魔するからちょっと眠ってもらってるだけ。安心したかい?」

「クソが。シャル、俺がアイツの相手をする。アラン達の治療を頼んでもいいか?」

「もちろん。コウさん。気を付けてね。」

「ああ、油断はしない。イガさん、悪いけどシャルを守って貰っていい? イガさんなら俺も安心して戦える。」

「任せろ。悔しいが今のオレじゃアイツにはかなわねえ。頼んだぜボウズ。」


「ビゼン、モードを二刀流に戻す。」

『了解、コウ。多分フラッグはハープを破壊してるよ。しばらく時間が経てば力の解放のために引き下がるだろうけど、そうなったらまたフラッグは強くなる。ここで倒そう。』

「ああ、元々逃がすつもりなんてないさ。」


 奴と対峙するのはこれで四度目か。一体何度戦えばいいのやら。


「それにしても偽物とは言え、アレは結構自信作だったんだよ? それを簡単に殺しちゃうなんて、本当に強くなったねえ。」

「お前に誉められても嬉しくない。偽物とか本物も関係なく、お前は殺し尽くす。」


 言葉は苛烈に、だが頭と身体は冷静さを保つ。決して攻撃に殺気を乗せてはいけないとレイン爺さんから嫌と言うほど教わったからな。


「さあ始めようか。ボクもあまり時間がないからね。」

「お前の都合は知らない。時間をかけたくないのは同感だ。」


 二振りの刀を手に、フラッグに迫る。このモードの時にはブースターなどの魔法は使えないが、まだ必要ないだろう。


「フッ。」


 様子見の一撃で相手の動きを見る。左に動けば左から、右に動けば右から、相手の動いた初動を見極めて、そこに刀での攻撃を加える。攻撃が当たるか、あるいは体勢を崩して一撃を加えるか、どちらでもいい。必要以上の力は乗せずに攻撃を重ねていく。


「うーん、さっきも見てて思ったけど鬱陶しい攻撃だね。こっちが動こうとした方向から攻撃が飛んでくるとやりづらいったらないよ。」


 狙いは読まれているようだが、別にそれは問題じゃない。


「でもそれじゃボクには通用しないかな。」


 回避を止め、攻撃に切り替えたのだろう。手刀を構えてこちらに迫ってくる。


「ディゾルブソード。」


 再び闇属性の魔力を刀に乗せ、手刀を迎え打つ。


 --ズッ。


 結果は先程と同じ、フラッグの腕を切り落とすことに成功する。だが奴はそれに気を留めることなく、もう片方の腕で切りかかってくる。が、既に二振りともにディゾルブソードは発動しているので、もう片方の腕も同じく切り落とす。これで攻撃出来ないだろう。次はどう動く? 右か? 左か?


「さっきと同じだと思わないで欲しいな。」

「なっ!?」


 俺の予想に反して、また手刀が飛んでくる。おかしい。腕は二本とも切り落としたはずだ。なのに何故また腕で攻撃されているんだ。


 想定外の事態に驚きながらも、後ろに回避する。追撃は、ない。


「うん、やっぱりハープに封じられてたのはボクの再生能力か。」

「化け物め。切り落とした腕がそこに落ちてるってことは一瞬で生えてきたってことか。」


 確かに切り落としたはずの腕は消滅するでもなく、地に落ちていることが確認できた。だがフラッグを見やれば、何もなかったかのように両腕が確かについている。


「元々神に肉体の欠損なんてのはないからね。そもそもボク達の存在は概念で構成されてるわけだし、肉体なんて地上に顕現する上での仮初めの姿でしかないよ。」

「ならその存在ごと消滅させればいいんだな。」

「やってみなよ。たかだか人間に……いや、それでもキミなら分からないね。化け物。」


 どうやら以前までのような油断はないようだ。が、それでも可能性があるならやるしかない。


「ビゼン、次のモードだ。」

『了解、なんにする?』


 俺だってこの半年間遊んでいたわけじゃない。最悪刺し違えてでも奴は殺す。


 俺はビゼンを持ち、次のイメージを開始した。

年末が過ぎれば……

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