表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/105

魔法についての復習 ※改訂済み

ついに子供が妖怪ウォッチにハマり始めた……ッ


※2015/12/2 改訂

「コウくんプリン食べるー?」

「食べるー!」

「じゃあプリンの前に問題、コウ君はいくつかなー?」

「さんさいー」

「はーい、よく出来ましたー。それじゃ食べていいよー」

「やったー!!」


 どうも、コウ=キサラギ改め如月巧です。もぐもぐ。


 今日も美味しくプッ○ンプリンを食べています。もぐもぐもぐ。なにこの美味しいの。もぐもぐもぐもぐ。


 奇しくも前世と同じ名前を名付けられた。多分これは何か意図された物に違いないもぐもぐごっくん。

 

 アクリスで暮らしてた時には、こんな美味い物なんて食べたことなかった。


 今俺が暮らしている家は、こちらでは恐らくごくごく一般的な家庭だと思う。にもかかわらず、毎日食べられるんだから信じられない。


 それから言っておくが、別に俺は幼児退行しているわけではない。


 周りの子供や、テレビを見ても、俺くらいの年齢の子供はこういう反応が当たり前だし、親としても自分の子供がいきなりオッサン臭いことを喋ったら異常だと思って不安がるし、何より悲しむだろう。


 だからこれは周りに配慮しての必要不可欠な演技なのだ。プリンうめえ!!


 気が付けば三年の月日が流れたか。俺もまだ舌足らずながらも、こちらの言葉も理解し始めることが出来てきた。簡単な会話くらいなら問題もない。


 産まれたあの時から考えれば、信じられないくらいに身体も自由に動かせるようになってきた。


 まあ大人だった頃と同じようにはまだ動かせないが、体力だけならある意味今の方があるんじゃなかろうか。子供ってすごい。


 ただ、残念なことに、今まで魔法は使えていない。


 いや、正確には魔力を感じることは出来る。


 だけどこの世界は魔素の存在が希薄過ぎて、魔力に変換するために、魔素を体内に取り込んでも、魔法という形を作って放出することが出来ない。


 一応魔法を放出している感覚はあるし、何度もやればやるほど、体内の魔力器官に疲労感もあるので、言ってしまえば『魔法は使っているが、効果が発揮出来ない』が正しいのかもしれない。


 ただ実際に魔法を使っている人はこの世界で見たことがないので、その答えの正否は不明だ。


 それでもこの世界にも魔法という概念は浸透しているし、似たようなものでは超能力、という概念もある。


 もしかしたら昔には使える人がいたのかもしれないが、今のところ謎である。


 母さんと見たアニメなんかでは、特殊はコスチュームを身に纏った女の子がバンバン魔法を使っていたり、親父に買ってもらったゲームでも、MPという魔力数値の概念があるようだ。


 俺のいたアクリスでは魔力を数値に置き換える概念はない。恐らくこの世界で広く魔法として認識されている形として、自分の魔力量を魔法に変換、イメージを固有名詞に割り当てた上で、必要な呪文を唱えて放出する。という法則性のようなものがあるんだろう。


 俺が前世で使っていた魔法とそれほど大きく異なるわけではないが、いわゆるMPに該当する魔力量という概念とは若干異なる。というか数値化しようと思ったことはないし、そうそう出来るものでもなさそうだ。


 魔法に対するおさらいとして、必要なプロセスとしては、大きく分けて5つの工程に分類されていたはずだ。


 1.大気中の魔素を体内に取り込む。

 2.取り込んだ魔素を使用する魔法の属性魔力に変換する。

 3.変換した属性魔力をどのように放つかイメージする。

 4.イメージした形をより強く意識するためのキーワードを唱え、媒体に属性魔力を収束させる。

 5.放出する。


 基本はこうだ。あとは属性魔力を放出するのか。あるいは維持するのか。素質によって得意分野は異なるが、俺は放出が得意だったから、特に維持することには長けていない。まあちゃんと練習していれば複数属性の魔力を維持しつつ、上手く複属性の魔法が使えたのかもしれないが、今さら言っても仕方ない。


 それに実戦を想定した観点で言えば、1で魔素をどれだけ早く、どれだけ多く体内に取り込むことが出来るかが重要になる。が、2の工程で属性魔力に変換する際、慌てて変換が雑だったりすると、せっかく取り込んだ魔素が属性魔力に変換されないまま、魔素のカスが体内に蓄積していく。


 結果として使用できる属性魔力の総量は減少するし、その後に取り込める魔素の量にも影響してしまう。


 何より使用する魔法の規模に影響するから、と言ってじっくり綿密に変換するにしても戦闘中にチンタラしているわけでもないので、ある程度のロスは覚悟で速度を優先する場合が多い。


 3については、使い慣れた魔法を使用する場合、あまり意識する必要がない。


 例えば俺がスクエア・ロンドに使用したファイアスフィアなんかは、既に体外に放出することを定義・ ・しているのだから、いちいちイメージする必要がない。どちらかというと初めて使う、あるいは慣れていない魔法にこそ重要になると思われる。


 4については一般的に、自分の腕から手の平に収束させる。あるいは杖や剣などの媒介を使う。


 杖なら魔力が通りやすい材質であれば全体に、あるいは先端に取り付けた魔石に収束させるなど様々だ。剣なら刀身全体や先端部分に、などが挙げられる。

 連想のためのトリガー、いわゆる呪文に関しては、使い慣れた魔法なら必要ないこともあるが、言霊と呼ばれるほど、自分が使用する魔法を強くイメージすることが出来るので、呪文もバカには出来ない。


 実際俺もある程度詠唱を短縮していたが、最大限の威力が必要な際には必ず詠唱していた。杖や剣を、と言ったが俺は先の通り維持が苦手で杖も剣もしっくり来なかったから、ずっと手から放出していた。


 アランも放出系は主に手からだったが、今にして思えば、光刃も聖剣を媒介にした魔法の一種になるんじゃないだろうか。


 5についてだが、言うは易し、行うは難しで、4までの工程が上手く噛み合えば、自分の想像した、あるいは想像以上の魔法が放てることがある。


 が、逆もまた然りで、1で取り込んだ魔素が少なければ、2で属性魔力に変換出来る量も減る。更に2も雑になってしまえば3で放出しようと決めた魔法に対して、4で使える魔力がほとんどないため、5で放出した魔法がファイアボールなんかだった場合、ガスコンロの火よりも小さい。なんてこともあるくらいだ。


 長くなってしまったが、結局この世界で言うMPに近しい概念としては、1で取り込める魔素の量と、2で変換した属性魔力の量。ということになると思う。


 ではMP切れがなくて魔法が無限に打てるのでは? とも思えるがそうもいかない。


 実際には魔法を使えば使うほど、体内の魔力器官に魔素の搾りカスのようなものが溜まっていき、どんどん魔素が取り込めなくなっていくからだ。


 イメージとしては身体という器があって、魔法を使う度に器の底にどんどんカス(砂とも言う)が落ちて溜まっていき、最終的には器のフチまで砂が溜まってしまう。


 そうなってしまうと、魔素を取り入れる器がなくなってしまうので、最終的には魔法は使えなくなる。この状態がMP切れとイコールなのではないだろうか。


 砂という表現は言い得て妙で、砂が溜まれば溜まるほど身体が重くなり、最終的には歩くことも億劫になってしまう。


 恐らく身体には無意識の内に魔力が流れていて、行動するのにも微量ながら魔力を使っているんだと思う。この世界でも身体能力の優劣があるのは、魔素を取り込むに適した身体を持った人間が、本来の身体能力以上のスペックを発揮しているんじゃないかと思っている。


 もちろん、ベースとなる筋力を鍛えることとイコールではないので、その身体能力を発揮するべき努力あってこそだとは思うが。


 さて、この魔素を取り込む能力についてだが、アクリスでは魔法を使えば使うほど能力が向上していくと言われていた。実際俺も体感したことがあるが、一度に取り込める魔素が増えていく。


 これは魔法を使ったことにより、溜まりに溜まった砂が、休息と共に魔力器官から排出される時に、器を削って広げて行くからだと言われている。


 器を広げるだけのキャパシティのことを通称『岩』と呼んでいたりもするが、由来は流れる砂が岩を徐々に削っていくからだと言われている。無論これは比喩的表現だとは思うが、事実広く教えられていることだし、そういうものだと思っていればいい。


 俺自身も、身体が動かせるようになってきた1歳頃から、毎日魔法を使おうと試行錯誤しているが、今の俺の身体はどの程度の器なのかが分からない。もしかしたら器の容量は無いに等しいことも考えられる。


 加えて、元々の器が小さくても岩を削れば器は広がって行くはずだが。そもそもそれすら分からない。何故なら結果として一度も魔法の放出に成功していないからだ。


 なので出来ないことは出来ないで諦め、まずは身体を鍛えようと思う。アクリスに戻れるかどうかなんて分からないし、仮に戻れるとして、それが十数年先の世界だったとしても。


 シャルにも言った。俺は諦めてやらない。絶対にだ。


 その日を想像し、親父に買ってもらった愛刀を振るう。


 愛刀はプラスチックで出来た、刀身はスポンジ製の『忍者ソード』 お手ごろ価格の399円(税込)である。


 --待ってろみんな……!! 俺は必ず帰ってやる。


「コウくーん、今日の晩御飯はハンバーグよー。遊んだら手を洗ってらっしゃーい」

「ママのハンバーグー!!」


 --あ……諦めてやらない。絶対にd


「今日のハンバーグはケチャップで○バニャ○の顔書いたからねー。楽しみにしてなさい」

「ジ○○ャン!!」


 ふう、今日も頑張った。まずは手を洗ってこよう。何事もそれからだ。


 --母さんの作ったハンバーグはとても美味しかったです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ