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邂逅

さて、いつにしようかなーと思ってましたが、なんだかんだで40話。そろそろ良いんじゃないかと。

「さて、手入れを始めようか。俺は今回刀使ってないからいいとして、銀閃とイガさんの得物だな。」

「すまない、頼む。」

「頼んだぜ。」

「頼まれた。」


 二人から各々武器を受け取り、様子を見る。うーん、銀閃のシルバーソードは細かい刃こぼれが目立つなぁ。やっぱりベヒモスは相当固かったみたいだ。恐らく折れずに斬ることが出来たのは活性化の効果が剣にも伝わっていたからだろう。いいなぁあの魔法。


 続いてイガさんの刀を見る。うん、こりゃひどい。刃こぼれとかじゃなくて刀歪みまくってやがる。この脳筋肉め。


「銀閃の剣は思ったより歪みも曲がりもないから研ぐだけで大丈夫だと思う。でも前回もそうだけど、研げばいいってもんでもないから、そろそろ予備の剣は持っといた方がいいだろうな。元々銀の硬度は高くないから、ふとした時にポッキリいっちゃうかも。」

「そうなのか。てっきり鉄よりも高いから切れ味も強度も上だと思ってたんだが。」

「あー、切れ味については確かに銀の方がいいかもしれないけど、硬さで言えばやっぱり鉄が一番だよ。とは言ってもどれだけしっかり鍛鉄されてるかにもよるから一概には言えないけどね。」


 こっちで玉鋼って言って通じるのかが分からんし、修行の一環で何度か見せてもらったことはあるが、自分で玉鋼を製鉄したことがないのが悔やまれる。


「そうか、幸い先日の報酬もあって少し蓄えは出来たし、一度剣でも見に行くかな。」

「そうしなされ。さて次はイガさんの刀だけど。」

「おう、オレもこの刀を振るうのは初めてじゃないからな。多少歪みが出てるのは分かってるぜ。」

「だったらもうちょい自重してよ!? 流石に折れたらどうしようもないよ!!」

「大丈夫だ。そんときゃボウズに新しい刀を打ってもらう。お前も練習になるし願ったり叶ったりだろう?」

「簡単に言わないでよ……刀を打つこと事態は良いけど、今の俺じゃ父さんの打った刀には及ばないし、今折られても正直困るからね?」

「チッ、じゃあしばらくは全力で打たねえようにするか。」


 心底残念そうに舌打ちまでされる。これだから脳が筋肉で出来てる人は困る。


「さて、というわけで、二人の武器はメンテナンスが必要だからこの工房で預かるよ。明日には終わらせるつもりだけど、得物がないのもなんだからこれ持ってって。」


 そう言って二振りの刀を手にする。実は研ぎ師として活躍する傍らで、試しに刀を打ってみたのだ。とは言っても一人で、という状況もあり、とてもじゃないが良い出来とは思えない。


 一応物は切れるし、最低限使う分には問題ないだろう。うん、多分。


「片刃か……使うのは初めてだが、なんというか振りやすそうな感じだな。」


 そうか、両刃の剣は刀身が真っ直ぐだけど刀は少し反りがあるもんな。もしかしたら感覚も違うのかもしれない。


「使いづらいか?」

「いや、逆だ。感覚でしかないが、初動はこっちの方が早いかもしれない。」


 なるほどなるほど、そういう一面もあるのか。あんまり比較したことがなかったからちょっとした発見かな? とは言っても感覚なんて人によって違うから銀閃に限ったことかもしれないが。


「まぁ気に入って貰えたならよかった。」

「すまないな、確かに借り受ける。」

「気に入ったならしばらく貸しててもいいよ。別に売り物にするわけじゃないし、自分の分はちゃんとある。」

「そうか? なら少し貸してくれ。この刀という剣も試してみたい。」

「どうぞどうぞ。」


 なんか気に入ったらしい。まぁ気の済むまで使って貰って適当に感想でも聞かせてもらうか。


「じゃあオレも借りてくぜ。」

「ほいほい、父さんの打ったのに比べたらナマクラも同然だろうけど我慢して。」

「ちゃんと手入れして返ってくるんだろ? だったら文句は言わねえよ。それに人が作った物に文句が言えるほど偉くなったつもりもねえ。」


 やだ相変わらず男前ですこと。


「じゃあまた明日。作業見ていってもいいし、先に戻るなら戻ってて。」

「邪魔しちゃわりぃからオレは先に戻るぜ。銀の字、嬢ちゃん、また明日な。」

「俺はせっかくだから見させてもらおうかな。」

「私も見ていこうかな……それより私にも何か使えそうな武器があったら欲しいな。正直ナイフ程度だと心許なくて……」


 あら、アイラもか。うーん、どうしようかな。


「剣の心得は?」

「誰かに師事したこともないから、見よう見まねだけど……ゴブリン一匹くらいならなんとか。」

「つまりド素人ですね。わかります。」


 そうなると下手に刀を持たせてもかえって危ないかな? となるとアレか。


「ほい、じゃあこれあげる。二人にも言ったけど俺はまだ見習いだから大した出来じゃないからな。」


 そう言って俺は試し打ちした脇差しを差し出す。元々は魔物の解体にも使えるかな? と思って自分用に打った物だが、護身用くらいにはなるだろう。


「ありがとう!! 大事にするね!!」

「大事にしてやってくれ。くれぐれも振り回したりしないようにな。」

「うん!!」


 思った以上に喜んでくれたらしい。こういうのって作る側としてはとても嬉しくなる。


「で、アイラはもう戻るか?」

「うーん、ギルドに寄ってお姉ちゃんと話してから帰ろうかな。」


 もしかして自慢でもするつもりか? いや多分そうなんだろうな。


「わかった。アイサさんによろしく。」

「りょーかい、じゃあねー。」


 続いてアイラも去っていく。そしてこの場には銀閃と俺だけが残された。


「さて、じゃあ早速取りかかるかな。」

「俺はここにいて邪魔じゃないか?」

「大丈夫大丈夫。ただ唾が飛ぶと困るからあんま喋らないようにお願い。」

「わかった。それくらいの礼儀は弁えてるさ。」


 そう言って研ぎ道具を用意する。先にイガさんの刀からやってしまおう。なんてったって慣れてるし。


「ちょっとコウ!! 貴方また無茶苦茶な魔法使ったんですって!?」


 と、早速仕事に取りかかろうとした矢先に一人の女性が飛び込んでくる。


「げっ、ミリィ。」

「げっ、とは随分な挨拶ね。」

「気にするなよ。それより王女様がこんなところに来ていいのか。」

「いいのよ。王女だってたまには息抜きだって必要だわ。それに一応団長っていう護衛もつけてるしね。」


 また団長かよ。一日一回以上会ってる気がするんだが。


「まぁ団長が護衛だったら王都の中では危険もないか。それより何の用だ? 俺は今からイガさんと銀閃の武器の手入れをしなきゃならんのだが。」

「さっき言ったでしょ? 貴方また派手な魔法使ったんですって?」


 派手な魔法ってフレイムツイスターのことか? うーん、あれは俺としても出来るだけ周りに迷惑をかけないようにしたつもりだったんだがな。


「いやほら、死骸なんて残したら魔物が集まってくるかもしれないし、焼いても匂いとか凄そうだから細切れにして焼いて飛んでっちゃえーって感じでこう。」

「それにしたってもっとやりようもあったでしょう!? あんな炎の竜巻なんて出されたら流石に城からでも見えて何事かと思ったわよ。」


 あ、そうか高いところからだと見えちゃってたのか。それは考えてなかったな。


「それは想定してなかった。めんごめんご。」

「貴方絶対ケンカ売ってるでしょう!?」


 ミリィはすぐ怒るなぁ。こんな時アイツがいたらいつも仲裁役を買って出てくれたもんだが……


「落ち着け、それにここには銀閃もいるんだぞ?」

「えっ? あっ、ごめんなさい。私ったらはしたない。」


 むしろ気付いてなかったのか。それにしても銀閃の奴、随分静かだな。王女がいきなり飛び込んできたからびっくりしたのかな? そう思った時。


「ミリィ……?」


 銀閃の絞り出すような呟きが聞こえた。

本当はいくつか案があったんですが、作者が痺れを切らしてしまいましたorz


許して!!

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