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変な依頼

さて、今回も会話回です。

「なになに? ベヒモスの解体作業?」


 アイサさんから紹介された依頼とは、先の戦いで俺達が倒した巨大な魔物、ベヒモスの解体作業だという。


「そうなんです。あの魔物の巨大さは皆さんが知るところでしょうが、死体がそのまま残ってしまっています。早く片付けなくては他の魔物が死肉を求めて集まってきたり、王都に来る人々の不安の種にもなりかねません。なので地味な作業なようですが、早急に片付ける必要があります」


 なるほど、そういえば確かに放置したままだった。確か騎士団も片付けに参加していると聞いていたが、これは多分団長の差し金だろう。あのオッサン、どこまで人使いが荒いんだ。


「でもドラゴンとかもそうだけど、魔物の死体は防具の素材になったりするんじゃないんですか?」

「無理して敬語で話されなくても結構ですよ」

「いや、別に無理してってわけじゃないんですけど……」

「アイラとは普通に話すのに、私とは話せないということですか、そうですか……」


 え? なにこの流れ? いやだってなあ、アイサさんも基本的に礼儀正しいし、こうなんというか失礼があってはいけない人というか……


「いいんです。どうせ私はしがない受付ですから。べ、別にアイラが羨ましいとかではありませんとも」

「いや、そういうわけじゃ……分かったよアイサさん、これからは普通に話させてもらう」

「アイサです」

「はい?」

「ですから、敬称も必要ありません。別に年齢が上というわけではないですし」

「あれ? アイサさんって俺より年下なの?」

「これでも私はまだ十九です。アイサは十八ですから、一つ違いの姉妹ですね」

「俺も二十歳だから変わらないけどな……」

「とにかく! コウさんは年上なんですから私なんて呼び捨てで良いんです!」

「了解了解、分かったよアイサ、これでいい?」

「はい。よろしいです。で、素材の話でしたね。もちろん前例のない素材なので、加工については王都の鍛冶や、皮細工師などを集めて防具の開発という流れになるかと思います。さあ、この依頼は受けますか? 強制ではないそうなので、断られても構いませんよ」


 うーん、どうしよっかなー。ぶっちゃけ特にやることもないし。それにベヒモスの素材で作られる防具ってのもちょっと興味あるしな。


「受けるよ。ここにいるアイラもいいのかな?」

「ええ、パーティですから、アイラだけが受けられない。ということはありませんよ。いずれにしても人の手はまだ足りないようですので、上級以下、中級以上の冒険者も集められるかと思います」

「分かった。場所は死体のあった場所でいいのかな?」

「はい、先にも言いましたが、イガラシさんも受注されて向かってますし、団長もそこにいるかと思われます」


 やはり団長もいるか。つかなんか俺が行動する時って雄率高くない?


「じゃあこれから行ってみる。行こうかアイラ」

「うん。じゃあねお姉ちゃん」

「いってらっしゃい。何もないとは思いますがお気をつけて」


 言葉を交わしてベヒモスの死体がある王都の外に向かう。道中手持ち無沙汰なのでアイラと会話をすることにした。


「ところでアイラ」

「何? どうかしたの?」

「いや、ちょっと気になったんだが、アイラのヒーラーとしての腕はどれくらいなんだ?」

「うーん、私自身はまだ初級冒険者だし、回復魔法の方が得意だからヒーラーとしてパーティには参加してたから、新人よりはマシってところじゃないかなぁ?」

「ってことは使える魔法は?」

「えーっと、ヒールは当然使えるでしょ? それからミディヒールも使える。でもハイヒールはまだ使えないなぁ。あ、メディも使えるよ!」

「なるほど、それだけあれば中級冒険者のパーティでも活動出来そうだな。攻撃魔法は?」

「攻撃魔法は苦手で……風属性の魔力とはそこそこ相性がいいから、ボルト、ボールくらいは使えるんだけど……水属性はたまに失敗する。火と地は全くダメ……かな」

「となると攻撃は俺達に任せてもらって、回復に専念して貰ったほうが良さそうだな」


 ちなみに回復魔法は大きく分けて二種類に分類される。


 主に体力スタミナを回復させ、外傷も少し治せるヒールと、外傷を主に、麻痺や毒などの身体への異常を治癒させ、体力も少し回復させるメディの二種類だ。


 今となっては理解出来るが、恐らくどちらも光属性魔法であり、身体の治癒能力を活性化させることで回復させるんだろう。ヒールは筋肉や心肺機能を活性化させることに重きを置き、メディは血液中の自己治癒能力を促進させる。という風に体系化されてきたんだと思われる。無論推測だが。


 ちなみにボルト、ボールは初級魔法の名前である。火属性ならファイアボルト、水属性ならアクアボルト……といった風に、どの属性でも形は同じ物だ。中級になるとアロー、スフィア。上級になるとスピア、ウォールとなる。


 他にも種類はあるが、メジャーなのはその二種類だろうか。バーストなどは特にランク付けされておらず、あくまで魔力の意図的な暴発を魔法として利用しているだけなので、当人の魔力次第で左右される魔法となっている。


「コウはウィザードなんでしょ? どんな魔法が使えるの?」

「俺か? 俺はまぁ一応全属性のアロー、スフィアは使えるよ」

「それだけ? それくらいなら中級魔法師と変わらないよ?」

「あぁ、俺は中級魔法師だったから」

「でもただの中級魔法師があんな魔物を倒せるわけないでしょ!? それに私に使ったあの魔法も見たことないよ?」

「ベヒモスに使ったのは魔法は魔法なんだけど……なんというか、俺が作った魔法だから名前を言っても知ってる人なんていないし、説明し辛いんだ。アイラにかけたのは……ちょっとまだ言えない。ヒミツ」

「なんでよ!? ていうか魔法を作る? 確かにある程度応用して魔法を作る人はいるけど、大体が魔力の効率も悪くて、同じ魔力を使っても基本魔法よりも弱くなったりするんじゃないの?」

「確かに魔力効率は悪いと思う。ただ威力はそうでもなかったぞ」


 実際リアルに「焼き払え!」をやってしまったわけだしな。


「うーん、そうなのかぁ。ちょっとイメージ沸かないけど今度見せてね!」

「ああ、一緒に依頼を受けたり旅をしてれば機会もあるだろうし。見せる分は全然問題ないよ」

「旅、旅かぁ。コウは王都の生まれじゃないの? なんのために旅をしてるの?」

「生まれは王都じゃないよ。旅をする目的は……昔の仲間に会うため、かな」

「そっか、仲間とはぐれちゃったんだね。大丈夫! きっと見つかるよ!!」

「あぁ、見つけてみせるさ」


 何故かアイラに励まされる流れになってしまった。いやまぁベヒモスを倒したっていうプラス要素もあるんだろうが、いい子だな。危険な目には合わせないようにしないと。アイサさんも悲しむだろうし。


 話してる間に王都の門に辿り着いた。ちょうどいい時間潰しになったようだ。


「さてと、現場はどうなってるかなっと」


 俺達は二人揃って門を潜り、ベヒモスの死体のある場所へと向かった。







昨日のアクセス数が初2,000PV超えでした。やったね父ちゃん!!


アクセス数は気にするなってよく言うけどやっぱり気になりますねorz

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― 新着の感想 ―
[一言] アイアイ姉妹がごっつうざい。
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