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冒険者試験 前編

どうしても戦闘シーンとか書きたいところに入ると文字数が多くなってしまう……というわけで前後編です。

 ミリィにこってり絞られた後、久々に柔らかいベッドで眠ることが出来た。おかげで昨日魔法を使った疲れもほとんどなく、気持ち良く朝を迎えることが出来た。


「さて、冒険者ギルドはっと」


 記憶を頼りに目的地を目指す。何故かあの後ミリィとヴィエラが意気投合し、政治の話やらこれからのことを話し合っていたようだが、女性同士、上に立つ者同士気が合ったようで何よりだ。まぁ主に俺のことをボロクソに言ってた気がしないでもないが、それは置いておく。


 今日もヴィエラは城に残ってミリィと話をしているらしい。まぁ別にヴィエラは俺達と目標を同じく旅をしてるわけではなく、俺が一方的に巻き込んだような物だから好きにしてくれて構わないと伝えてある。


「あぁ、あったここだここ」


 考え事をしてる間に目的地である冒険者ギルドに到着する。むさ苦しい男二人でギルドの扉を開くと、更にむさ苦しい空間が広がっていた。雄成分半端ない。


 早速受付に向かい、登録を申請する。しかし何故受付にはあっちの世界でもそうだったが、女性が多いんだろう。やっぱり一番に目につく窓口だからか?


「すいません、男二人冒険者登録をお願いしたいんですけどー」

「はい、それでは身分証を見せていただけますか?」


 予想通りの展開である。が、しかし! 今日の朝なんと団長が昨日の礼だと言って俺達三人の身分証を発行してきてくれた。若干職権乱用な気がしないでもないが、ミリィも賛同してくれたらしく、すんなりと発行出来たらしい。


「どうぞ」


 俺とイガさん、二人分の身分証を提示する。免許証などのプラスチックや厚紙とは異なり、銅で作られたプレートに王都の印と名前が彫られてある。


「では確認させていただきます。コウ=キサラギ様とゴウ=イガラシ様ですね。今まで別の街で冒険者登録をしたことはありますか? もしあればご申告ください」

「いえ、二人とも初めてです」

「そうですか。では依頼の受注や冒険者ランクについての説明は必要でしょうか?」

「いえ、他の冒険者と旅をしていたことはあるので仕組みについては分かってます。

「畏まりました。それでは冒険者登録の申請を受理します。この後登録試験を行いますので、そちらにかけてお待ちいただけますか?」

「登録試験?」


 あれ? そんなのあったっけ?


「ご存知ありませんか? それでは説明させていただきます。二年前からの制度となりますが、冒険者登録については登録試験が、ランクを上げる際には各ランクの試験を受けてもらうことになります。特に難しいことはなく、各ギルドが用意した試験管と戦闘してもらって実力を測る試験です。特に最近魔物の襲撃頻度も上がっていますので、生半可な実力の方が王都から出るとタイミングによっては襲撃に巻き込まれて命を落とす事例もありましたので、必ず受けていただくこととなっています」

「もし落ちたら?」

「はい、残念ながら実力及ばず、試験に失格となった場合には最低三ヶ月間後から再試験を受けることが可能となります。但しその間に目に余る素行不良や賊行為を確認した際、資格剥奪もあり得ますのでご注意ください」

「分かった。じゃあそっちで待ってればいいんですね?」

「はい……あ、ちょうどいらっしゃったみたいですね」


 そういって受付嬢が目線を送る。そこには落ち着いた雰囲気の男がいた。


「紹介しますね。こちらは試験官を務めてらっしゃるヒースさんです。ヒースさん、このお二人が今回登録申請に来られたコウ=キサラギさんとゴウ=イガラシさんです」

「ヒースだ。よろしく頼む」

「キサラギです。よろしくお願いします」

「イガラシだ。アンタと戦って実力を見せればいいんだな?」


 最近出番がなかったからか好戦的なイガさん。どう見ても悪役にしか見えない。


「ああそうだ。やる気もあるようだし、時間もないから早速実力を見せてもらおうか。こっちに試験用の部屋があるからついてきてくれ」


 そう言って奥の部屋に通される。周りの値踏みするような視線が気になるが、どこの世界でも新人の実力は気になる物なのだろう。自分を脅かす可能性を危惧する者。自分より下を見て優越感に浸る者。将来自分のパーティに誘うべき人材か。など、その視線の意味は様々だ。


 基本的に試験の見学は出来ない。いざ同じ依頼を受けることもあれば実力を見る機会もあるだろうが、例えば剣術にしても人前では見せたくない秘伝もあれば、魔法にしてもオリジナルの魔法が盗まれないかなどの不安もある。


 しかしギルド相手に実力を隠してもそれほどのメリットはない。何故なら実力に応じてランクは付与される物であり、ランクが上がらないことには大した依頼を受けることも出来ないからだ。


「さて、二人同時というのも連携を見る上では必要だが、ここは一人ずつ行こうか。どちらから来る?」

「あ、じゃあ俺「オレが行くぜ」は後でいいです。はい」


 俺から行こうと思った矢先にイガさんが割り込んでくる。最近身体動かしてないからかよっぽどフラストレーションが溜まっていたらしい。


「キミはイガラシだったな。良いだろう。獲物は何を使う?」

「オレは刀しか使えねえ。いや、使う気はねえ」

「分かった。真剣では事故が怖いからな。すまないがこの木製の剣でお願いする」


 ヒースさんから木剣を受け取るイガさん。腰に下げた刀は邪魔になるかもしれないので俺が預かっておく。


「一応断っておくが私は獲物は槍だ。さぁ、いつでもかかってくるといい。何なら魔法を使っても構わないぞ」


 同じく木で作られた槍を構えるヒースさん。穂先は丸みがかっており、突かれても大怪我をしないように、との配慮のようだ。


「その余裕面がいつまで続くかな? 参る!!」

後編も同時投稿です。

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