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狂戦士

いっつも書きたい書きたいとは思って続きを考えるものの、まとまらなくてなかなか投稿出来ませんでした。気が付いたら前の話から1年なんですね……

今回は短いですがリハビリがてらに……

眼前に映るのは余りにも巨大なドラゴン。


その大きさに比べれば、なんと自分の矮小なことか。

だが、それでも後ろに守るべきものがある以上、引くわけにはいかない。


「アイラ、少し離れていろ」

「え? あ、うん」


アイラは最後の決戦に挑んでいる小僧の留守を任されていたはずだ。

にもかかわらず、彼女は駆け付けてくれた。王都の危機に、そして自分の危機に。


--ならその意気に応えずして、何が騎士団長か!!


「さあて、暴れさせてもらおうか」


静かに目を閉じ、精神を集中させる。

もう幾年も騎士団長という肩書の元に、冷静でいなければならないという理性を、今この時。


--ブチ殺す。


ドクン、と身体全体が鼓動する。


鼓動に合わせて心が高揚する。


やっとか、やっと解放出来るのかと、身体が、心が、ダンカンという個が喜びの声を上げる。


「オオオオオオオッ!!」


抑えきれない歓喜によって咆哮する。

目を見開き、破壊すべき相手をひたすらに凝視する。


--アイツをぶっ壊す!!


「だ、だんちょー……?」


後ろからアイラの声がする。

残り少ない理性を振り絞り、なんとか一言だけ返事をする。


「下がってろ」


言うが早いか、身体は既に走り出していた。


アースドラゴンは確かに巨大だ。普通にやっても急所である首や腹には斧は届かない。

目の前にある足は金属よりも硬い鱗に守られている。


--だったらその自慢の鱗を破壊する!!


「オオオオオルァアアアア!!」


愛用の斧を振りかざし、その巨大な足を打つ。

一度でダメなら二度、二度でダメなら三度、四度……呼吸も忘れてただひたすらに打ち続ける。


俺の存在を煩わしく思ったのか、アースドラゴンはその足を上げ、俺を踏み潰そうとする。


--躱さなければ潰される?


違う。潰されるんじゃない。


「テメェが潰れろォオオオオオ!!」


斧を握る手に更に力を籠め、渾身の力で振り上げる。


--ぶっ壊す!!


アースドラゴンが足を踏み下ろす速度を利用して、更に破壊力を上げる。

その足をぶち壊せなければ俺の負け、ぶち壊せれば俺の勝ち。シンプルでいい。


--ドゴオオォッ!!


振り上げられた斧と、踏み下ろされた足がぶつかり、地を揺らす。

俺の足元の地面がピシッという音を立てて亀裂を作った。


「アアアアアアアアァァァァッ!!」


まだだ、まだ足りない。もっと力を、もっとだ!!


力を込めた腕の血管から血が噴き出す。限界? そんなもん今この時に超えてやる!!


「砕けやがれえエエェェ!!」


斧からミシリ、という音が聞こえてくる。もう長くはもたないだろう。


「くそがアアアアア!!」


僅かに肉に食い込む感触を得たが、どんどん腕の感覚がなくなっていく。


--もう少し、もう少しでいいから俺に力を!!


「ハイヒール!!」


声が聞こえたと同時に、少し身体が軽くなる。


これは回復魔法?


「だんちょー!! もう少しだよ! 頑張って!!」


--まったく、下がってろと言ったはずなんだがな。


身体が回復したおかげか、少し思考に余裕が出来る。


--だがそのもう少しが足りないッ……!!


「ぐっ……!!」


今俺が潰されてしまったら後ろにいるアイラも潰されてしまうだろう。

しかしこのままでは……


と、その時背中に小さな手が触れたのを感じた。


「教わったばかりだけどいちかばちか!! ライトニング……」


ダメだ、アイラの力を増幅させた程度ではとても……


「ディストリビュート!!」


背中から熱い何かが伝わってくる。

身体に力が戻って、いや、それよりも更に……これなら。


--いけるっ!!


「オオオオオオ!!」

「だんちょー!! やっちゃえー!!」


少女は自分を信じてくれた。ならそれに応えなくては団長の名が泣く。


感覚の戻った腕に力を籠め直し、アースドラゴンの足に斧を食い込ませていく。

少しずつ、少しずつだが、斧は足を切り裂き始め。


「死ねえええええええ!!」

「いっけー!!」


--ズズウウウゥ……ン!!


斧から伝わる肉の感触がなくなると共に、巨大な地響きが地を揺らす。

意識はハッキリしている。身体も潰れてはいない。


「イギャアアアアアアォォォ!!」


アースドラゴンが悲鳴にも似た咆哮を上げる。


どうやら足を切断することに成功したようだ。

足の半分ほどがなくなったアースドラゴンがバランスを崩し、倒れていく。


--バキンッ!


それと同時に、大きな音を立てて手の中の斧が砕け散った。


「よく……もってくれた……」


愛用の斧に感謝を告げ、アースドラゴンに向き直る。


「さあ、蹂躙の時間だデカブツ。覚悟はいいか」


時間が空くと文章の書き方とか忘れて違う色になりそうでこわい。

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