第5章
ミサキとジェダは、突如現れた上位種のスライム、
『スラムー』との戦いを繰り広げていた。
しかし、スラムーの圧倒的な力により、苦戦を強いられていた。
「ははははは!!愉快愉快!逃げ惑え、魔王とその家臣よ!どうだ?恐ろしいか!?これがスラムーの、我が眷属の力だ!」
「くっそー。あいつを倒すどころか、近づくことすら出来ねぇじゃねぇか…!」
「なにか作戦をたてないと…。」
「おいおい、そんなことよりもアイちゃんの保護が最優先だろ?」
「それなら心配ない!既に私が回収している!」
「あ!勇者に取られてるじゃねぇか!」
「何やってんの!ジェダ!」
「いや、お前が守れよ!」
2人は、また喧嘩を始めてしまった。
「むー!」
スラムーは拳を地面に叩きつける。すると、およそ
100メートルほど、地面が割れた。
「おい、ここ町中だぞ!何考えてんだ!」
「あぁそうだったな。ならば一度町の外に出ようじゃないか。」
「そういえば人を見かけないけど…。」
「私が避難させておいた。心配はいらない。」
「あぁそうなんだ。なら心配いらないね。」
「いいから、早く町から出ようぜ。住人たちも、困ってるだろうからな。」
「そうだね。」
3人(と一匹)は、町の外にある平原に出た。
「おいミサキ、なんかあいつの倒し方考えろ!お前スライムには詳しいだろ!」
「えぇ…?そんな無茶な…。」
「いいから!早く!じゃないとやられちまう!」
「分かったよ…。」
(あいつはスライムだ。物理攻撃は効きづらい。でも、魔法ならどうだ?もし効くとしたら、液体に強い氷魔法なんだけど…。)
「スラムー、早くやってしまえ!」
「むーむー!」
今度は、直接ミサキに殴りかかってきた。
「どわぁ!?あぶなっ!?」
「おい、大丈夫か!?何とか避けられたみたいだが…。」
「うん。でも次は無いだろうけど…。」
(速くて、威力も高い。スライムなのにこれだけ力が強いということは、多分魔法を使っているな…。身体能力の強化…?それとも…)
「気を抜くな、ミサキ!またくるぞ!」
「わかった!でも多分当たる!」
「はぁ!?お前…!」
スラムーの拳が、ミサキの顔面を捉える。しかし、ミサキは、またもや奇跡的な回避を見せた。
「どわぁぁぁ!?」
「おい!無理って言ったじゃねぇか!?」
「だって、喰らったら死ぬでしょこれ!」
「だとしても、普通は躱せねぇよ!?」
「むー!」
ドゴオオン!!
「どわあああ!?」
(クソッ、このままじゃあ俺もミサキもやられる…!こうなったら使うべきか?アレを…。)
「ジェダ!危ない!」
「え―――
ジェダは、目の前から迫る拳に反応出来なかった。
そして、ミサキが、ジェダを庇って攻撃を受けた。
「おいミサキ…?おい、おい!」
しかしミサキからの返事は無い。
「しっかりしろ!あいつはまだ生きてるぞ!」
しかし、やはり返事は返ってこない。
「おい、まだ…まだ…死んだら駄目だ…!お前が死んだら…!今までの努力が…!全部…!」
「う………ジェダ…」
「ミサキ!?大丈夫か!?」
「う…いや、ちょっとヤバいかも…」
「ヤバいって、何がだ!?怪我か!?それとも…何か他にあるのか!?」
「怪我が…。これは僕の魔法でもどうにもならないかも…」
「クソッ!何で俺なんかを…!」
「だって、ジェダは…僕の…唯一の友達だから…
「おい、ミサキ?おい、おいって!しっかりしろよ!」
「おい、話は終わったかい?そろそろスラムーも、我慢の限界だぞ?」
「あぁそうか。そうだな。俺も、もう我慢の限界だ…!今すぐぶっ殺してやるよ…!」
「死ね!」
ジェダが出した魔法の炎が、スラムーに直撃する。
「ははっ!魔法か!しかもかなり強力な炎の…!だがなぁ、私には魔法は効かないし、スラムーも液体だから炎に体勢がある。つまり、意味など無いのだよ。」
「知ってるよ。だが、これならどうだ?」
「むー!?」
「スラムーの体に、電撃が走る。」
「ははっ!なんだそれは?お前の魔法は炎じゃないのか!?」
「はっ!やはり電気は効くのか。だったら俺の敵じゃねぇな。」
(問題はミサキだな。あいつをどう守るべきか…。)
「だから何だ!スラムー、潰してしまえ!」
「む、むー…」
「なんだ。まだ電気の影響が…。なら私がやろう。」
「お前が戦うのか。いいぜ、ぶっ殺してやるよ…!」
~『正義と混沌の剣!』~
「どわっ!いきなり斬りかかるなよ!喰らうところだったぞ!?」
「すまない。つい本気を出してしまったよ。つまらない戦いは嫌いなんだ。」
「はっ、そうだな。なら俺も、3分で、お前をぶっ倒してやるよ。」
(多分それが、ミサキの限界だ。これ以上時間をかけちまったら、おそらくあいつは死ぬ。)
「来い!魔物よ!」
「俺はジェダだ。魔物なんて名前じゃねぇ。」
「そうか!すまなかったな!」
「そなことはどうでもいいけどなぁ!喰らえ!」
ジェダは勇者に殴りかかる。
「お前が先だろう!ジェダ!」
勇者はジェダの拳を、いとも簡単に払いのける。
「は!?お前力強すぎんだろ!俺130キロあるんだぞ!?」
「ははっ、重いな!だが私には関係ない!」
(クソッ、完全にナメられてるな…。だが俺の攻撃も効かねぇし…こうなったら逃げるか…?)
「私のターンだ!喰らえ、普通の攻撃!」
勇者が時速80キロぐらいで突っ込んできた。
「早すぎんだろ!?お前本当に人間か!?」
「えー?私は見ての通りの人間だが?」
「そうかよ!だったら…」
「だったら、なんだ?」
「逃げる!じゃあな!」
そう言うとジェダは、翼を広げ、空に飛んでいった。
「あ、おい待て!」
しかし、もうジェダの姿は見えなくなっていた。
「逃げられてしまったか…。まぁいい。お嬢さんは私が預かっているからな。魔王は連れていかれてしまったが…。というか悪役のこういうセリフって何なんだ?独り言?」
「はぁはぁ、クソッ!あんなヤツ相手に、逃げるしか出来ないなんて…!しかも、俺の魔法の情報を与えてしまった…!炎以外の魔法なんて、使うんじゃなかった…。」
「う…ゲホッ!」
「大丈夫か、ミサキ?今からメビルさんのとこに連れてってやるからな。」
(あいつだけは許さねぇ…絶対にぶっ潰してやる…!)
続く




