第11話感想
初っ端から”絶望”に打ちひしがれた表情を見せるくらげ。
前回の引きから容易く想像できるように、
”成績優秀”のミメイがくらげをレクチャーする「お勉強回」であることは間違いない。
ミメイがくらげのボケをいつものように拾うと、
「今はふざけず勉強を教えろ」と言わんばかりに野田と村上に睨まれてしまう。
冒頭からクスリと笑わせてくる”小話”を挟んでくるのは見事だ。
さて、またひとつ「学力」というくらげのパーソナルデータが開示されたわけだが、
ミメイによると「別に成績悪くない」とのことで、俺の見立てほど低くはないらしい。
そりゃ普段から彼女が”捻ったネタ”を連発しているのを見ていれば、
その”知能指数”は高く、”雑学”には知悉しているのだろうということは分かるが、
あの調子で学校の勉強を真面目にやっているようにはとても見えないので、
テストの点数は悪いものだと思い込んでいた。
村上によると、くらげはどうやら「数学」だけができないらしい。
その話を聞いた瞬間、俺の脳裏に”ある一人の男”がよぎった・・・
くらげは「アイツ」と”逆”じゃねえか!!!
熱心なジャンプ読者なら当然、今この瞬間に俺と”同じ顔”を思い浮かべているだろう。
どの教科も苦手・・・だけど数学だけは「学年7位」を叩き出したことがある──
『さいくるびより』の主人公・須谷ねむるだ!!!
俺はあの漫画に関して、小林おむすけの”志向”自体は嫌いじゃなかった。
「何気ない日常」・・・良いじゃないか。
この世で”一番尊いもの”を重きを置く姿勢は、甲府盆地の描写の”緻密さ”から伝わってくる。
その”作家性”はこれからも貫き続けていくべきだろう。
俺は全17話の中だと第10話の「テニス回」を最も高く評価している。
あの回では、キャラクターの個々の能力に光を当てつつ、
複数の試合をテンポ良く消化していて感心させられたものだ。
「懐かしい」となりつつある記憶に、俺は思いがけず一人で盛りあがってしまった。
まあ、これはヤマノエイのまったく意図していない部分だろうが・・・
ミメイとの放課後の勉強会でくらげは当初、
案の定ふざけた様子を見せ、まともに勉強に取り組もうとしない。
野田と村上が部活でその場を離れると、それをいいことに2人でラジオを聴こうと言い出す始末。
このときの、何とも”憎たらしい表情”がたまらない。
しかし、ミメイの使い古された参考書を目にした瞬間、空気が変わる。
「誰かの期待に応えたい」という、彼の”ひたむきな性分”。
俺たち読者同様、その”誠実さ”に心奪われたくらげは、ついにノートへ向かうのだった。
正直、小テストの前のわずかな時間で対策に努めるのは、”付け焼き刃感”が否めない。
しかしそれでも、くらげは68点という”まずまずの点数”を叩き出す。
その”要領の良さ”にはあのミメイでさえ「天才」と”驚嘆”するほどだ。
のちほど、村上と野田にも褒められることになるが、
その時の”もちもち”したくらげは、俺も思わず”甘やかしたくなる”ぜ。
毎回毎回、目先を変えてどんどん彼女の「可愛いショット」が追加され続けていく。
水尾くらげが週刊少年ジャンプの”ニュースター候補”であることは間違いない。
今回も、彼女を売り出していくために、その魅力を最大限に引き出す展開が用意されている。
小テストの際、くらげがミメイのシャーペンを間違って持って行ってしまったらしいのだが、
彼女は彼の頑張りがこもったペンだったからうまくいったのかもしれないと発言。
それを受けて舞い上がりすぎた相変わらず女慣れしていないミメイは、
思わず「あげようか?」などという”謎発言”を繰り出してしまう。
即座に自分のテンションの”異常さ”に気付き、慌てて撤回しようとするミメイ。
だがそれを遮るように「返さない」と”不敵”に笑うくらげには、
”格好のチャンス”には決して逃さず噛み付く、ミメイに対する”がっつき”が見えた。
前もって約束していた通りに、
二人で月ミドを聴くことになり、ミメイからイヤホンを渡されるくらげ。
図書室でラジオを聴くことを気にするミメイに対し、
くらげは他人から見えない窓側の耳に付け直そうと提案する。
傘を差さずに雨の中を走った時以来の「共犯関係」の成立だ。
彼女はさらりと言ってのけるが、自分たちが一度付けたイヤホンを交換しようとするあたり、
今回はいつも以上にミメイに対して”積極的”だな。
触れておきたいのが、このコマで、自分の耳を指さすくらげの描き方だ。
普通なら正面の構図で描いてしまいそうなところを、
窓に映る姿越しに表現するという”センス”に、俺は思わず唸った。
直後の見開きページでも顕著だが、
ヤマノエイは「画面作り」において、”一枚絵的”な表現を演出として”重用”している。
”抒情的”な空気で包み込まれた「何気ない日常」が、俺たち読者の胸にじわりと響くのだ。
そのための工夫は作画面だけでなく、会話劇においても、
「ラジオのCMを飛ばすかどうか」という、些末ながらもキャラクター設定に則ったやり取りが、
”リアリティ”としてシーンに”厚み”を加える補助的な役割を果たしている。
数ページにわたって、くらげとミメイの”不可侵の空間”を堪能したあとは、
ミメイの「大喜利投稿者」としての胸中へと迫る内容へ移っていく。
放送が続く中、なんと「うなぎポテト」の名前が読み上げられた。
本人曰く、「熱が出るまえにちょっと送ってたやつ」とのこと。
雨に濡れた日だというのに、そんなことしてるから風邪を引くんだぞお前。
ただ、ミメイにはその事に関して追及している余裕など無く、
自分が今期のリスナー甲子園に出場するのは”難しい”と痛感してしまう。
ここで”悔しさ”を噛みしめる彼の表情を見ると、
やはり彼が今、”くらげに向けている感情”の中で最も大きいのは、
「ライバル」としての想いなのだと強く感じさせられた。
この直後に、投稿が採用されなかったミメイを勇気づけるために、
くらげが自分のペンを手渡し、結果として二人はペンを交換する形になるわけだが、
この「カップル」じみた行為にも、ミメイが浮かれる素振りをまったく見せずに、
うなぎポテトの縁起を担いで、帰宅後ネタ作りに励んているのが、その事実を物語っている。
森にふくろうを応援させてもらうために、俺からもアンケート1位を”プレゼント”だ。




