表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

ep.1 わるだくみ

 転生した先はどこか知らない白い大きな邸宅だった。


 僕とサキは一緒にいて、庭先の豪奢の二つの椅子の上に向い合せで座って、広い春の僕の家の庭を眺めていた。


 ちちち、と鳥が鳴いて、そこで、ようやく僕らは転生したことに気づいたんだ。


 転生した先で見る、リアルのサキは一段と小顔で、かわいくて、唇がぷるるんとして、ピンク色で、なんだか、トップアイドルといる自分を自覚して少しドキドキした。


 そんなサキは、きょろきょろと回りを観て、僕の顔を見て、一瞬驚いた顔をして、それから、思いついたように、安心したように少し微笑んだ。


 かわいい笑顔だ。さすがトップアイドル。笑顔がすごい。


「転生したわね」


「確かにこれは転生だね。神の言ってたこと間違いない」



 そこから、僕らは、少し、これからのことを話し合った。


 サキはきれいな唇に指を添えて言う。


「ここは、m~。君をみつめて。の世界で、4つの大陸が存在していて、その大陸のひとつ、ラーマシーナなのよね?」


「そうだよ。それで、ゲームの舞台は、王都学園が、舞台の恋愛シュミレーションゲームなんだ」


「ふうん。主人公は、女の子で、15歳の黒髪の日本人転生者で、異世界自由転校券というフリーパスをもらって、このラーマシーナの王都学園、シェルフィード学園にやって来るのよね?」


「そうらしいな。そこで、入学式のときに、倒れた病弱の王太子を助けたことで、一躍注目を得て、そこから、王太子と恋愛関係を育てながら、逆ハーレムを作って行くというのが、このゲームの本来ある物語だよ」


 一応、ゲーム内のことを二人で確認していると、気づいたように、サキが言った。


「ところで、あなた、身長高くなったわね。それにすごい美形っ」


「そうか? 自分では気づかないけど」


「私は前のあなたが気に入ってたから、ちょっと残念」


「そうか?」


「でも、悪業くんは悪業くんで変わらないよね? だから、姿が分かっても、私はあなたのことが好きだよッ」


 サキは照れ臭いことを言う。


 ほんとに僕のことが好きなのかな?


 よくわからない。


 まあ、いいや。設定の確認だ。


「ふふふ。僕は身長190センチの足のすらりと長い、赤髪の少し影のある美形キャラで、植物を育てる研究を学園でしながら、ヒロインと出会い打ち解けていくキャラなんだよな?」


「そうね。それでも、そのうちに、自分が魔王であるという事実に気づき、苦悩して自殺も考えたりするんだけど、ヒロインに助けられて、最後はヒロインとハッピーエンド。BADルートでは、魔王として目覚めて、学園を火の海に変えて、そのうちに世界を闇で支配する魔王になって終るのよね?」


「うん。そうだ」


 そのとき、サキがきょとんとして言った。


「なんで私たち、ゲームしたことないのに、こんな情報わかるのかしら?」


「わからんけど。たぶん、神様が情報を入れてるんだと思うけど」


「このまま、ゲーム通りに、ヒロインに告白されたりするわけ」


「うーーーん」


 サキが言った。


「そんなのつまらないわ」


 カノジョはなぜか、本来、ゲームの中で存在しない櫻扇大乱48のトップアイドルという、転生する前のそのままのカノジョで、そんなカノジョがゲームに不満だという。


「つまらないって、それじゃあ、サキ、どんなことしたら楽しいの?」


「そりゃ、悪の限りよっ。徹底して悪いことをして、徹底して楽しみまくるのよっ」


 ハハハっ。サキは相変わらずだな。でも、僕もそう思うよ。恋愛シュミレーションなんてつまんないっ。徹底して、恋愛シュミレーションの中で悪さしてやれっ!!!!


「ふふふっ。悪業くん。ノリノリねっ。やっぱり、私の共犯者ね」


「当然だろ?」


「学園は明日からなのよね?」


「そうみたいだ。今日は3月31日。明日が入学式の4月1日だな」


「そこで動きましょう」


「最初何をやろう?」


 そこで、僕と、サキは、ヒロインをかどかわして、恋愛シュミレーションをぶちこわし、悪の道に勧めるための計画を建てたんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ