誰もが認める普通の少年はどんなに無謀な恋でも諦めない
初の短編、皆さん存分に読んでいってください!!
のどかな春の朝に小鳥のさえずりが所かしこで聞こえてくる。
朝からにぎやかな住宅街があった。朝から元気なのは住人が明るいからなのだろうか。でも特に目立つのはやはりあの少年だろう。
大通りを全力で自転車をこいでいる少年だ。
……先ほど目立つとは言っていたが、普通道行く人は、いつも学生が急いで登校するのをよく見るためあまり気にはしない。
ここで気になる顔はどんなのかというと………やはり普通だった。
そんな誰もが普通だと認める少年はそこにいた。
いやいやいや、分かっていたよ。どうせ俺の顔なんてブスでもなければイケメンでもないあっさり顔なんだ。真っ先に顔を忘れらてしまうような顔だっていいたいんだろ!?自分でナレーションしながら自転車こぐのは割とすごい技能だからな(不審者)。褒めたたえよ(不審者)!
俺は高校生だ(今更)。
故に青春に明け暮れる権利がある!!
ふっふふ、知っているか?俺にだっても思いを寄せている人がいるのさ!今すぐにでも話したいけど、生憎そんな時間はこれっぽちもない。なんでか?みりゃ分かるだろ!遅刻するんだよ!!あと5分でHRが始まる。間に合うのか…?いや、この万年帰宅部で鍛え抜いた足(自転車で10分程度)なら更なる加速もできるはず(無茶)…
ふと思った。
俺は運動が平均ぐらいしか運動できなかったから帰宅部であるわけで、ここで全力出しても意味あるのか…?すぐに考えるのをやめた。
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「散々な目にあったよ」
「いやあれは結構面白かったよ。遅刻が確定してるのに教室にスライディングしたのは」
「うるさい、陽キャめ、消すぞ」
今話しているこの陽キャはなんだかんだ中学からの親友だ。名前?そんなもんは割愛してやるぜ
「でもさ、あの人の隣に立ちたいんだったら、そんな醜態さらしちゃダメだろ~」
「んぐっ、た、確かにそうだけどさ…」
親友は教室の奥のある女生徒を見ながら言った。
名を羽根宮 静香といい文武両道、誰にでも優しくとても優秀な生徒である。
学校の球技大会ではその才能をいかんなく発揮し、別名《勝利の女神》とも言われている。どの部活も彼女を引き込もうと毎日計画している。
いやそれやるなら部活の練習やれよと思う
おまけにスタイルもよく顔がとても整っているため、この学校の生徒はだれも手を出すことができない。高嶺の花、という言葉はこの人のために生まれてきたといっても過言ではないと思う。
現に月に10回は告白されている。
しかし、コミュニケーションが苦手なのかいつも一人ぼっちでいる。今は読書をしているが、その姿は騒ぐことを許さない神域と化す。
…実際10分休憩なのにみんな廊下でしゃべるのはそれのせいでもあったりする。
「ったく。あんなに有名で校内一ともてはやされる秋葉先輩でも駄目だったのに…お前は勝てるのか?」
「恋はイケメンだけが出来るもんじゃないだろ?誰にだって権利はあるはずだ」
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ある日の帰り道、その日は雨が降っていたため歩いて帰っていた。
いつもは自転車で来ていたのだが、生憎故障していた。自分が自転車の整備をしていたらと後悔しながら帰っていると
そんな中公園の前を通り過ぎた時、その人はいた。
段ボールの中に入れて捨ててあった猫を、自分が濡れることすら構わず傘を放り出し、慈愛に満ちた天使のような笑みで、持っていたタオルで包んであげて助けたのだ。
とてもきれいだ。これだけでも絵になるような美しさだ。
だが、心には温かい気持ちが満ちていた。それと同時にこの人はなんて心が美しいんだろうと感嘆の声を上げた。普段の学校では冷たい態度で話すが故に、人の心がない人だと決めつけている人にうんと見せてさしあげたいと思う。
…何様なんだと突っ込まないでほしい…
もっと羽根宮さんを知りたいと思った。
その瞬間、俺は鼓動が高まり、気づいてしまった。
ああ、そうかこれが恋に落ちた瞬間なんだ
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「おーい大丈夫か?また自分の世界に入り込んじゃってますよー」
「あ、悪い」
「でも厳しいと思うよ、成績普通、顔も普通、運動神経はそれなりにいいけど、目立った特徴もないし、しいて言えば少し優しいぐらいか?」
「そんなもの関係ない。俺の真の愛を見せつければいいだけだ!!」
「いや、メロスじゃないんだから…でも俺は応援しているよ」
「ありがとう、付き合えた時は焼肉でもおごってやるよ」
「いや、そんなものよりも学食のDXランチプレート追加トッピング全部がいい!」
「嘘だろ!?あんなの頼む奴いたのかよ!」
ちなみにDXランチプレートというのは、一つのさらに和・洋・中の三つの種類の料理が所狭しと並べられ、食べきれなかった場合大幅なペナルティを食らうあの成功者0人のモンスターをさらに追加トッピングするなんて…チャレンジャーすぎるだろ!?
「でも真面目に言わせてもらうとさ」
いつになく真剣な顔で言う。
「告白して傷つくぐらいならやめておいた方がいいぞ?」
驚いた。こいつからこんな言葉が出るなんて。てっきり当たって砕けちまえ、みたいな冗談でもいうのかと思ったぜ。
昔からそうだ。ふざけているように見えてこいつは人のためを思って動いている。
でもそれを知っているからこそ
「あきらめるわけがないよ。」
一拍
「どんなに俺が普通の少年で、それがどんなに無謀な恋だったとしてもあきらめるつもりは、微塵もないよ」
驚いた顔をした親友は、すぐに微笑んだ。
「そういうと思ったよ。親友」
「気持ち悪いなお前…」
「なんでだよ!?さっきまであんないい感じだったのに」
「一部の人が勘違いしちゃうだろ!」
「え、何で?」
「いや、なんでもない」
ほら、クラスの一部から腐の視線を感じるじゃん?
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放課後
ある男子生徒が、
「羽根宮さん、このあと少し話があるんだけどいいかな?」
「分かりました」
「ありがとう」
いつもの無表情でそういった
またか、きれいすぎるのも大変だなと思う。
今月だけで何回目だ?えっと確か20回は超えているような気が……
いや、やめよう。気にしたって無駄だ。帰宅部はササっと家に帰ってしまおう(現実逃避ともいう)
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校舎裏に羽根宮静香と男子生徒は体育館裏にいた。
この男子生徒は女子からの人気がとてもあり、サッカー部のキャプテンでもあった。
女子から人気の甘い笑顔で
「羽根宮さん、おおむね予想はできているんだろうけど僕の彼女にならないか?」
彼女はいつも通りの無表情で
「ごめんなさい。あなたに興味が全くないの。」
一蹴
若干顔は引きつったがすぐに整え、
「じゃ、さ。友達からでもいいからさ」
「結構です」
「そ、それなら連絡先だけでも…」
「結構です」
さすがに男子生徒は自分に興味がないことに苛立ちを覚え、彼女に詰め寄った。
「きゃっ」
「自分が美人だからって調子乗っているだろ!?」
激高した男はさらに詰め入り
「もう我慢できねえ、こいつだけは絶対に俺が犯す」
「や、やめて!!誰か助けてください!!」
他の人に助けを呼ぶも、部活中の生徒は人気のない体育館裏までは来ない。
「俺を見くびったこと後悔しやがれ」
「先生!!ここです、女子生徒を襲っているサッカー部は!!」
「な、くそっ。覚えてろよ」
男子生徒はすぐに逃げ、行方をくらました。
「大丈夫ですか?」
「え、ええ。本当にありがとう…どちら様で?」
その言葉を聞いた瞬間、心に多大なるダメージを負った主人公であった。
だが努めて平静を装い彼女の安全を確認する
「なんか、声が聞こえたから助けたんだけど…大丈夫だった?」
「はい、私が彼を突き放したために起こった事故ですのでお気になさらないでください」
明らかに震えていることがわかる。
「ちょっと待ってて」
「?」
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「どう落ち着いた?」
自販機まで羽根宮さんのためにカフェオレと、ついでにコーヒーを買ったところだ。
「おかげさまで」
さっきより幾分か落ち着いている気がする。
そして、自分の罪を独白するかのようにぽつりぽつりと話し出した。
「私は生まれてきてからほかの人よりも容姿が恵まれて生まれました。」
「そして、年を重ねるごとに体が成長していって少し不快な目を向けてくる人が多くなりました…ほかの友達だった子たちと距離が置かれるようになったんです。」
「私は望んでこうなったのではないのに知らない人から好意を持たれ、知っている人からは悪意を持たれ学校が嫌だと思うことがしばしばあります…」
「なのでだれもが近づくのをためらうほど、完璧であろうと努力をしましたが…逆効果だったのでしょうか。みなさんは私の外見だけを好意的にみるようにしました。本当は昔から変わっていない内面を見てくれている人はだれ一人としていませんでした。」
息を吸う。そして吐く。
「生きていることが憂鬱に感じ、誰からも距離を置くようにしたんです」
こちらの目をまっすぐにとらえ
「あなたもそうなんじゃないんですか?」
ひどく冷たい心を瞳に宿し…
だが
あえて言わせてもらおう。
「俺は羽根宮さんが好きだ。」
「ほらやっぱり…」
「でも違う。」
少し驚いたような表情をした。
「俺はあなたが自分のために努力をしたり、誰も助けないような猫を助けたりする本当の羽根宮さんを見て好きになったんだよ」
目線をそらしていた彼女が不思議そうに見つめる
「これを告白と受け取らなくて結構だよ」
「どうして…」
「僕は羽根宮さんを知っているけど、君は僕のことを知らない。告白するには自分の気持ちを知ってもらった後だと思うから」
深呼吸をして
「だから君をオトしてやるんだから覚悟してくださいね!」
…なんかいい感じにしようと思ったのにこの台詞は何だ?…
彼女は面白かったのか口元を覆い
「急なツンデレ発言は面白すぎます…」
ちょっと涙目になるぐらい笑ってた。
くすん。こっちは恥ずかしすぎて涙目になったよ…
「でも、覚悟するのはあなたもですよ」
「どういうこと…」
「さぁて、どういうことでしょう?」
あの日見た笑顔でほほ笑んだ彼女は普段見せる姿よりもきれいに見えた
お読みいただきありがとうございます!
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