第0話
設定・プロットなどを見直して再投稿です。よろしくお願いします。
ミスティカドール。
この世界において、災害級魔物と対峙するための手段として、前文明において開発された、鉄の巨人だ。
量産されているもので、全長はおおよそ15mほど。50m近い大きさのものが多い災害級魔物と比べれば小さいが、それでも十分に対抗する術を持つ。
胸部にコアとなる精神感応鉱石、”ミスティカ鉱石”がはめられ、パイロットは頭部のコックピットに乗り込む。
コックピット内部にあるバイザーをかぶり、精神をコアの”ミスティカ鉱石”と同調、制御することで、パイロットは鉄の巨人を自由自在に駆ることができる。
この時の操作感が、『まるで全身に結わい付けた糸で操るかのよう』と言われるため、”操り人形”の名を冠している……と、言われている。
過去にあった大厄災で、文明と共に多くのミスティカドールが失われ、また特殊機の製造法も焼け落ちてしまった。しかし、なんとか戦禍を免れ、五体満足で遺された量産型のミスティカドールを分解・解析したことで、完全とは言えないまでも、現代にもミスティカドールは製造され、利用されている。
そして現在、大陸の中心部近くにある”ネルニザント王国”においても、ミスティカドールは製造され、利用されている。
”ネルニザント王国”は、前文明の遺産が多く埋もれている。”ミスティカ鉱石”が大量に発掘される遺跡などの「正の遺産」だけでなく、暴走したミスティカドールや航宙艦船など、「負の遺産」も同時に。
それら「負の遺産」に対抗するため、”ネルニザント王国”では、国策としてミスティカドールのパイロットの育成を行っている。
国内で生まれ、10歳になる子供全員を対象に、ミスティカドールのパイロット適性を測っている。この結果、パイロット適性が”有り”と判断された子供は、2年後の12歳になる年に、王都ネルニザントにある”王立ネルニザント養育学園”に入学することになる。ここで4年間、ミスティカドールのパイロットとして育成され、卒業すればそれぞれ王国機動軍の部隊に配属される。
ミスティカドールのパイロットは、王国では憧れの職業とされている。
学園を卒業しただけで、”機動爵”という、一代限りの貴族爵を与えられ、本人とその家族に、毎月国から一定の金額が支給される。ミスティカドールのパイロットになるだけで、家族を含めて生活が保障され、一生安泰に暮らせるのだ。
その分危険は伴うものの、ここ数十年、大きな戦争もなければ災害級魔物の出現もなく、突発的な事故以外での死者も出ていないため、現在はただの名誉職としてみられている。
しかしこれらの常識は、とある一人の少女の出現によって、激動と共に崩れ去っていくこととなる。