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第14話 恋の借り物競争

体育祭まであと1ヶ月。太郎と花子は放課後、図書室で借り物競走の内容を考えていた。


「よし、じゃあ借り物競走の項目を決めよう」


太郎が真剣な表情で言う。


「うん!面白いの考えなきゃね」


花子が元気よく頷く。


その時、図書室のドアがそっと開いた。


「あの、お邪魔していいですか?」


顔を覗かせたのは美咲だった。


「神崎!」


太郎が驚いて声を上げる。


「どうしたの?」


花子も不思議そうに尋ねる。


「実は...」


美咲が少し恥ずかしそうに言う。


「私も何かお手伝いできることないかなって」


「おー!ちょうどいいところに来てくれたね」


花子が嬉しそうに手を叩く。


「今、借り物競走の項目を考えてたんだ。美咲も一緒に考えてくれない?」


「うん、いいよ」


美咲が微笑みながら二人の隣に座る。


「じゃあ、みんなでアイデア出し合おう!」


花子が張り切って言う。


「まずは...そうだな、『赤い物』とか?」


太郎が言う。


「うーん、ちょっと簡単すぎない?」


花子が首をかしげる。


「じゃあ...『昨日の日付が書いてある物』はどう?」


美咲が提案する。


「おー!それいいね」


太郎が感心したように頷く。


「じゃあ次は...」


花子が考え込む。


「あ!『好きな人』っていうのはどう?」


「えっ!?」


太郎と美咲が同時に声を上げる。


「そ、それは...ちょっと...」


太郎が顔を赤らめながら言う。


「えー、でも面白いと思うんだけどなぁ」


花子が少し残念そうに言う。


「でも、確かに難しいかも...」


美咲が小さな声で言う。彼女の頬も少し赤くなっている。


「じゃあ、『気になってる人』ならどう?」


花子が再び提案する。


「それなら...まあ...」


太郎が渋々頷く。


「いいんじゃない?」


美咲も小さく頷く。


「やった!」


花子が喜び勇んで紙に書き込む。


「他には...『教科書』とか?」


太郎が言う。


「おー!それいいね!」


花子が目を輝かせる。


「あとは...『借り物競走中の写真』はどうかな」


美咲が提案する。


「それもいいね!」


太郎が笑顔で答える。


こうして、三人で楽しく借り物競走の項目を考えていく。しかし、その中で微妙な空気も漂っていた。


「好きな人」「気になってる人」という項目を見るたびに、三人はそれぞれ複雑な表情を浮かべる。


(太郎なら誰を連れてくるんだろう...)


花子と美咲の頭に、同じ疑問が浮かぶ。


一方、太郎も心の中で葛藤していた。


(俺は...一体誰を...)


夕暮れが迫る図書室。三人の心の中で、それぞれの想いが交錯していく。


「ね、ねえ」


花子が突然言い出す。


「もし...その、『好きな人』とか『気になってる人』の項目が来たら...みんなどうするの?」


一瞬、重苦しい空気が流れる。


「そ、それは...その時になってみないとわからないよ」


太郎が曖昧に答える。


「うん...そうだね」


美咲も小さく頷く。


三人とも、互いの顔を見ることができない。


体育祭はまだ先。でも、この借り物競走が三人の関係に何かの変化をもたらすかもしれない。


そんな予感が、静かに三人の心に忍び寄っていくのだった。

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