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第19話 軍人の家族

様々な毒素や妨害に敷き詰められたマザー地表で活動するため、エーテルボディが開発された。様々な改良が加えられ、エーテルボディの第四世代は、非常に安定した継戦能力と、ボディそのものの生産性から、一気にマザー地表での行動範囲を広げることに成功した。


そしていよいよ大災厄の根源と思われる場所に近づいた時、怪物たちが牙を向いて待ち構えていた。第四世代が複数でも適わないほど強力な蛇の怪物ナーガもおり、地上探索は再び停滞する事になる。地上探索部隊からの要望を受け、戦闘能力を高めた第5世代のボディが完成した今、大掛かりな探索作戦も計画されているともっぱらの噂だった。



マザー地表での捜索にあたって大きな壁となっている怪物ナーガに対抗するため、第5世代のボディとの適合度がどこまで高められるか、それが重要なポイントとなる。エーテルボディの超人的な能力を引き出すには、そのボディを理解した上で、魂とボディを同調させなければならない。その度合を客観的に評価する指標として、軍では適合度という数値でわかりやすく表している。当然同じボディでも適合度が高ければそれだけ強くなる。ミガディさんは第五世代のエーテルボディとの適合度は77%という事だが、それでもナーガに力負けしていると言っていた。90%以上でようやく互角だろうとも。


また第5世代は第4世代のボディを進化させたものとなっているため、第4と同じ系統のボディを使う形となり、第4世代に適合する魂ならば、第五世代にも高い確度で適合する。とはいえ新しい体なので、第5にすぐに馴染むとは限らない。パソコンのOSがバージョンアップするようなものだろうか。だから僕やアイトさんも、探索を了承してから適合度を少しでも高めるために、すぐに第5世代のボディに魂を移すことになった。


魂がエーテルボディに入っている間、人間の身体は氷晶保存という特殊な保管が施される。次元空間技術を応用したものらしく、その氷晶の中のものは、時間の経過が何百倍も遅くなるらしい。ただ装置自体が大掛かりになるため、家庭に一台といったレベルの普及はなく、軍と研究の関連施設に数台しかないのだとか。


あとエーテルボディになると、機密保持や安全面といった理由から基本的にマヌエアリーフ内で出歩ける場所はものすごく限定される。またリーフ内にはエーテルボディの出力を制限するセキュリティが頑強に掛けられており、ボディを悪用しようと発覚すれば強制的に行動不能にされるんだとか。そういうセキュリティゲノム(遺伝子)がエーテル人工細胞に組み込まれているらしい。



エーテルボディに入れば、外部からほぼシャットダウンされる。ミガディさんも再びエーテルボディの体になり、家族と直接は会えない生活が始まった。


ただ最後に会ったフェニーちゃんが「パパ頑張ってね。アイトお姉ちゃんもサノおじちゃもまたね」と、涙を浮かべながらもワガママを言わずに応援してくれた事が、あまりに印象的だった。以前、どこかでスレンさんも軍人だったと聞いたことがある。きっとスレンさんがフェニーちゃんに、軍人である父親の仕事がどんなものであるのか、そして軍人の家族としての心構えを教え込んでいるのだろう。

僕やアイトさんも、フェニーちゃんにもう一度人間の姿で会いたい、そう願わずには居られなかった。



鬼神と天狐のボディになる当日、まずは機能や適合度のチェックを兼ねて、僕たちは軍部の特殊訓練場の住民になっていた。惑星ミヌエトでは、面倒くさがりのサギ女神が説明書を勝手に見て覚えろという杜撰な研修だったけど、ここではとても丁寧にエーテルボディの事を教えてくれる。


基本的に鬼人と鬼神の内臓武装や体内機能には大きな差はない。違うのはポテンシャルと感知能力だった。まだ地表には降りていないけど、マザーにはありとあらゆる妨害や障害となるパウダーが蔓延しており、まるで煙や霧の中にいるように肉眼はほとんど役に立たないのだとか。そのためエーテルボディの眼球にあたる部位には、いろんな情報を読み取って周囲の状況を感知できる機能が備わっているらしい。アイトさんの天狐は、体毛にもさらに周辺を感知できるために見通しが最悪な地表でも有効だという。今回、アイトさんは索敵担当としてかなり重要な役割となる。



適合度が高いほど、ボディの持つ能力を活かせるわけなので、今回の第5世代に選ばれたのは、第4世代で高い適合度をもっている人たちだ。第4世代までの適合度では僕の92%が最高で、次点がヘリオスチームのリーダであるアーネイが90%。過去に90%を越えているのは2人だけらしい。


80%を越えている人も今の所10人に満たない。そもそも、この次元の人たちは余りエーテルボディと適合度が上がりにくい傾向にあるらしい。割合でいうと、適合度70%越えは100人に1人程度で、80%を越えるのは5000人に1人と相当に低くなる。となるとあのポータルで、サギ女神が他次元から人間を誘拐してきたのも分かる気がする。実際、事前調査で適正があると判断された地球人の場合、そのほとんどが最初から適合度70%を越えるという事だった。


そういえば以前、アイトさんになぜ最初から僕はエーテルボディと適合度が高かったのか聞かれたことが有る。僕は何となくだけど、エーテルボディを好きになる事と、その体を素直に受け入れる事かなぁと答えた。


今思うと、本当にそれが秘訣だったかも知れない。他の人はともかく、僕は最初からあの鬼人ボディを気に入ってたし、鬼人ボディの中に匿われていた魂からいろいろ教えてもらって、正直楽しかったのだ。だから適合度も増えたのかなと考えている。決して僕は奇人だからではない、ないはずだ。

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