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第17話 再びのエーテルボディ

「現在、マザー地表調査に第5世代の新しいエーテルボディが投入され始めた。しかし第5世代はまだ数が少ない上、適合する人員が非常に少ない。適合度が低いボディはナーガに力負けの状態だ。君たち二人を地球から呼んだのは、第5世代エーテルボディとなってその探索メンバーに参加して欲しいからだ。もちろん強制ではない。私たちが一方的に呼びつけてしまっただけで、断られても当然だと考えている。昨日の今日で申し訳ないんだけど、サノくんとアイトくんは、探索に参加してもらえるのだろうか?それともダメだろうか?」


昨日、いろいろと説明を受けた部屋に入り、ミガディさんから決意を問われた。なぜ地球から再びこの次元に連れてこられたのか、理由は予想通りだった。


「あの宇宙船探索と同じ様に、マザー探索では死ぬことはなく、脱出ゲートでいつでも脱出できる。という条件ですよね?」


「ああ、エーテルボディはマザー地表で活動できる唯一の手段で、行動不能になった場合でもゲートを作動させればリーフまで一瞬に転移できる。報酬ももちろん用意してある。すでに今現在、地表ではおよそ500人の軍用エーテルボディの人間が調査を行っているが、ここに一気に250人の人員を新規に追加している。その中には最新鋭の第5世代のボディも含まれていて、私もその一人であり君たちも候補になっている。今回の大規模投入の目標は、マザー地表で未だに止まることなく活動しているパウダー発生源の場所を把握する事だ。もし実際に探索に参加してみて、無理だと思ったのならば、その時点で契約を解除して地球に戻る事もできる。いかがだろうか」


前回の宇宙船探索は、サギ女神にほぼ強制されたものだった。でもエーテルボディの体も、宇宙船探索も、僕個人としては正直あまり苦痛ではなかった。なんでだろう。


一方で今回のマザー探索は、強制でもなく断ることも容易だ。宇宙船探索よりはるかに厳しいミッションになるのは間違いないだろう。正直、アイトさんは断って地球に戻った方が良いと思う。でも僕は……


「質問です。宇宙船探索では20人くらいの地球人がいましたが、今回は僕とアイトさん以外に何人の地球人がいるんでしょうか?」


「答えは君たち2人だ。理由はエーテルボディとの親和性が85%を超えた地球人が君たち2人だけだからだ。戦闘に優れた上で、ボディとの適合度が高い人間が一人でも多く必要としている。そしてもう一つの理由は、マザー探索は本来私たちこの次元に住む人間が解決しなければならない問題だ。しかし私は君達2人、いや正直に言おう。サノくん、君が私にとって宇宙船の時と同様に救世主になると考えている。だから特例的に君をメンバー候補に呼んだんだ」


宇宙船探索が終わった後のポータルで、ミガディさんに手伝ってもらいたいと依頼されていた。その時はそこまで真剣な話ではないと考えていた。でも違った。ミガディさんは本気で僕を必要としている。うーん、こりゃ断れないなぁ。それに……もう少しこの次元で活劇してみたいという気持ちもある。あと……なんだろう、うまく説明できないけど、漠然とだけどやらなければならない何かがある。


「わかりました。引き受けます。どこまで手伝えるか分かりませんが……」


それまで隣りに座って僕のことをじっと見ていたアイトさんがため息をつく。


「私も受けます。サノさん、良いですよね!ミガディさん、よろしくおねがいします」


「……いいの?地球に戻った方が……」


「いいんです!私が地球に戻るときは、サノさんも一緒に戻るときです!」


そんなやりとりを見ていたミガディさんが、安心したような表情を見せる。うーん、なんでミガディさんはそんなに僕を評価しているんだろう。悪い気はしないけど……


「今ので契約は成立した。では二人とも、客員という形で一時的に軍に所属となる。といっても上官は私なので安心してくれ。それでは早速で申し訳ないけど、昼食までの間に、研修を受けて欲しい。昼食後に、今後の予定と探索の概要を説明する」



その後、軍服を着た女性2名が部屋に訪れ、僕たちを研修室に連れて行った。そこで客員用の軍服や靴や下着一式に、腕輪形状の身分証明書、連絡用のイヤホン型通信機など、いろんな物を支給された。どれも軽くて丈夫な素材で、しかもシンプルで、正直格好いい。更衣室で着替えるとなんだか未来の世界に来た気分になる。まぁこれだけ科学が進んだ次元だから当然なんだろうけど。


軍服は白い上下に青い複雑な帯のような装飾が肩と腕と裾先に施されている。これも収斂進化なのか、地球のどこかの国の軍服に似ている気がする。靴も紐がないタイプでガッチリとしており、足を入れると自動でフィットするすぐれものだった。しかし鏡を見ると、どの角度からも僕は軍人には見えない。あまり筋肉がついていないせいか、よくて記録員にしか見えない。


軍服に着替えて研修室に戻り、待つことしばし、アイトさんも軍服に着替えて部屋に入ってきた。僕と違って、背筋がスラっと伸びていて運動がいかにも得意そうな体形の彼女は、軍服がとても似合って格好いい。


「サノさん、あまり似合わないですね」


「でしょ。白衣なら似合うんだけど、同じ白でも僕に軍服は似合わないね。アイトさんはとても似合ってて格好いいよ」


お世辞をいう間柄でもないので、お互い素直に感想を述べる。研修指導員の女性に教わりながら、イヤホン通信機を試したり、腕輪を使った認証を確認する。この腕輪はキャッシュの役割ももっていて、買い物をする時にはこの腕輪を見せるだけで良いらしい。また前回の宇宙船探索や今回のマザー探索の報酬の一部として、僕とアイトさんには結構な金額のキャッシュがすでに腕輪に入っているとか。まぁこの次元で買物をしても地球に持ち帰れないけど、それでもちょっとワクワクする。


そんな感じであっという間に時間が過ぎ、昼食の時間となった。指導員さんがビルの食堂に案内してくれる。メニューはさっぱりわからないので、勘で適当に選ぶと、出てきたのはチキンカツのような肉料理と健康補助食品のようなブロックだった。スレンさんの料理には当然かなわないけど、それでもおいしかったと思う。そして午後、指導員さんに連れられて、参戦会議室へと足を運んだ。


そこには、何十体もの白や銀に輝くエーテルボディの映像が並んでいた。あのポータルでは1体だけだった最新ボディが、これだけ並んでいると、まさに壮観である。部屋で待っていたミガディさんの説明によると、第5世代のエーテルボディは、同じ姿のものが複数体ずつ幾種類かあり、所属や役割によってボディを選ぶらしい。例えば軍所属の場合は『パラディン』『ガーディアン』の2種類が基本となる。ただし相性の問題もあるので、軍人でも別のボディを選ぶ事もある。ただ第5世代は第四世代をベースにした進化形態であり、そのため第四世代のボディ適合度が高い人間だけが第五の候補者になっている。となると僕は鬼人ベース、アイトさんは金狐ベースの第5世代になるのか。


そして映像には、サギ女神を倒したあの銀色の鎧武者が映し出された。久しぶり、惑星ミヌエトから回収されていたのか。

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