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第13話 ミガディの家族

「さて、そろそろ夕食の時間だ。無理矢理にこちらの次元に連れてきてしまったお詫びも兼ねて、一緒に食事はいかがだろうか。ポータルでは常備食しか出なかったが、この本国ではもう少しまともなものがごちそうできると思う」


時計がないので忘れていたけど、この次元に拉致されたのは夕方だった。どれだけ時間が経ったか分からないけど、空腹を感じる。いろいろ考える事が多すぎて、けっこうお腹が空いてしまったようだ。


部屋を出ると、天井の低い廊下が待っている。その廊下を真っすぐ進んでいくと、床が半円のフロアで行き止まり。そして廊下の壁は透明だった。半円形状の床はエレベータになっていて、そこに三人で立つと、何の衝撃も加速度も感じずに、床が下がり始めた。その間、僕は透明な壁を通して、このリーフ全体を見回した。どうやら僕たちが居た部屋は、この建物の最上階だったらしく、人工宇宙都市を観察する事ができた。


顔をあげると、地球と違ってすぐ上空に宇宙空間が広がる。週を見れば、都心より更に密集した大小様々なビルが立ち並ぶ。どのビルも壁が透明のようで、中にいる人達が見える。ちょっと不思議な光景だ。そして地上に近くなってくると、今度は透明なチューブが縦横無尽に何百本も並んでいる。そのチューブの中にも人がたくさん見える。あれは移動手段なのかな?


「宇宙都市なので、空気が漏れた時の事を考えて、すべて密封されているんだよ。チューブは近距離移動で、大きな距離は転移を使ってるんだ」


ミガディさんの案内に従って、エレベータを降りると今度は一つのチューブを選んで中に入る。ちょっと挙動不審なアイトさんと一緒に、ミガディさんの隣に並ぶと、床が自動に動き出す。おお、近未来だ!しかも動いているのに、風も音もなにも感じない。


チューブも透明なので、あらゆる方向にいろいろ興味深いものが見える。下から見上げる形になるので、まるでビルが宇宙の中に建っているような、そんな不思議な光景に見える。僕と同じ様に上を見上げるアイトさんも、ほわーっという声が漏れる。あといつの間にか、アイトさんは僕の服の裾を掴んでいた。ああ、不安だったのかな。



そのままチューブの動きに任せていると、再び大きなビルの中に入っていく。ただ最初に居た建物はいかにもビジネス然とした雰囲気や構造だったけど、新しく入って行ったビルは広々としてゆとりを感じる。もしかして居住用の建物かな?


「勝手で申し訳ないけど、今日は私の家に泊まっていって欲しい。夕食も用意してあるんだ」


ミガディさんに連れられ、上層階のとある扉の前に着く。まぁこの世界に泊めてくれるような知り合いはいないし、地球に帰る事もできないので、従うしか無いんだけど。あとなぜか、チューブから下りた時からアイトさんは僕の左手を掴んでいた。


「ただいま、今戻ったよー」


ミガディさんが声を掛けながら扉を開けると、そこにはキレイな女性と小さな可愛い女の子が待っていた。


「妻のスレンと娘のフェニーだ。こちらは地球という星から来たサノくんとアイトさんだ」


「はじめまして、スレンと申します。お二人には主人を助けて頂いて本当にありがとうございました。何も出来ませんが、今夜はせめてものお礼という事で、お二人にお越しいただきました。ぜひご馳走させて下さい」


スレンさんはミガディさんよりも濃い銀髪だ。あのサギ女神も銀髪だったので、こちらの世界では銀髪が基本なのだろうか。それとも地上ではなく人工宇宙都市の影響もあるんだろうか。でもあのサギ女神よりも数段優しそうな顔で、でも芯がしっかりしてそうな、なんというか高校の先生を思わせるようなきれいな年上の女性だった。後から聞いたらスレンさんも軍人さんなんだとか。あとスレンさんは身長も高く、僕と同じくらいある。ミガディさんも190cm位あるし、みんな身長が高いのかな。


「パパを助けてくれてありがとうございました」


少し緊張したような喋り方をするミガディさんの娘さん、ペコリとお辞儀をしてくれる。今までこんな小さな子と接する機会がなかったので、年齢は分からないけど、地球では幼稚園児くらいなんだろうか。髪の毛は当然銀髪でショート、目がくりくりと大きく、広告のモデルでもおかしくないくらいに可愛い顔つきだ。しかし僕のこれまでの人生で、こんなに小さな子供と会話する機会はなくて、ついつい僕も緊張してしまう。


「僕の名前はサノです。ミガディさんと一緒に仕事をしました。よろしくおねがいします」


「サノさん、挨拶が硬すぎます。もっと柔らかく話しかけましょう」


アイトさんに左手を引っ張られる。だってこんな小さな子供としゃべった事がないんだよ。しゃべりが硬くなるのは仕方ないんだ。


そんな事を思っていると、「こんばんはフェニーちゃん、私はアイト、よろしくね。お姉ちゃんと一緒に遊ぼー」という感じで、あっという間に娘さんと仲良くなってしまった。すごいな。


僕はミガディさんに宇宙都市マヌエアリーフについていろいろ教えてもらっている間、アイトさんとフェニーちゃんは二人で仲良く遊んでいた。しばらくすると、スレンさんが夕食の準備ができましたよーと誘いに来た。リビングの方からとてもいい匂いがする。

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