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第9話 俺がモテる?

 今は学校の昼休み。珍しく小百合が教室にいる。生徒会からも先生からも呼び出されていないのだ。こんな時のマリーは非常に大人しい。腕にしがみついてくることもない。実に平和だ。

「私ね」

小百合が俺に話しかけてきた。マリーは少し離れたところで他の女子と話している。もちろん小百合を意識しながらであるが。もし小百合が俺に抱きつこうものならいつでも迎撃できる準備はできているのだろう。


「何だ?」

「私ね。実はマリーより芽依ちゃんの方が怖いの」

小百合がわけのわからないことを言い出した。

「芽依が怖い? どういうことだ?」

マリーが反応しないところをみると小百合の声は聞こえてないようだ。


「マリーは積極的だけど性格的な面で四朗君が好きになるという可能性は低いと思ってるの」

「なるほど」

「でも、芽依ちゃんは四朗君のことを何でも知ってるわ」

「そりゃあ兄妹だからな」

「他人なんでしょ?」

「それはそうだが妹には違いない」

「四朗君がそう言わなくなった時が怖いのよ」

考えすぎだ小百合。俺が芽依を恋愛対象にするなんてことはあり得ねえから。


「そんな日は来ないから安心しろ」

「ありがとう。信じてるね」

小百合はそう言うと俺の肩に自分の頭を倒してきた。それはちょっと待て!

「おい、葛城! 桂木さんだけじゃ足りず林郷さんにまで手を出すのか?」

やっぱりこうなるわな。


「何なの?」

そう言えば小百合がこの状況を見るのは初めてだっけ?

「俺らはアンチ葛城なんだ。こいつはいつか殺したいと思っている」

「高校生が言う台詞じゃないわね」

「何だと! 偉そうな口をきくと女と言えどもただじゃ済まねえぞ!」

小百合は怖がることもなくこの男子を睨み付けている。


「そこまでよ」

「日向か。チェッ覚えてろよ!」

イチャモンを付けてきた男子が捨て台詞を残してこそこそと退散していく。それもそのはず、こいつは以前、陽葵に一撃で倒された奴だ。


「大丈夫だった?」

「いつもありがとうな」

俺は心からお礼を言った。小百合は強い。だが男子相手に確実に勝てるとは限らない。それにもし顔に怪我でされたら俺は責任を取れないからな。


「林郷さんも四朗君に甘えた態度をするときは気を付けてね」

「ご忠告ありがとう。これから気を付けるわ」

この言葉を聞くと陽葵は自分の席へと戻って行った。


「なるほど」

「小百合どうした?」

「私が知らないうちにこんな状況になってたのね?」

この状況を見た小百合が俺の悩みを少しでもわかってくれればいいんだが。


「日向さんていつも助けてくれるの?」

「ああ。助けてくれるだけじゃない。いつも俺の様子を覗ってくれているようだ」

「そうなんだ」

小百合は頷きながら目を閉じている。


「四朗君も苦労してるのね」

わかってくれた! さすが小百合だ。

「それにしても四朗君て本当にモテるよね?」

ん? もしかして怒ってる?

「妹の次はクラス役員か」

何か嫌みを言われているような?


「言っとくが陽葵さんが俺に気があるなんてことはないからな」

「何でわかるの?」

「何でって言われても」

俺は何も言えなかった。言い返す言葉が見つからないからだ。


「やっぱり私の言う通りじゃない」

いつの間にか現れたマリーが小百合に賛成の意を表明する。

「とにかく四朗君は危険すぎるのよ。恋人をするのも大変だわ」

「早期撤退をする?」

「するわけないでしょ!」

俺の言葉は無視されたままだな。普通に考えて陽葵が俺を好きな分けねえだろ。本当に人の意見を聞かねえ奴らだ。俺はため息を一つついて席に座った。

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