第36話 陽葵の最終手段
陽葵はベッドで寝ている俺の横に座った。
『朝起きたら私が横で寝ている。四朗は責任を感じて私と結婚する。完璧だわ。もしものことを考えて四朗のベッドを大きな物にしておいて大正解ね』
陽葵は服を脱ぎ・・・・。
『さすがに恥ずかしいわね。別に服を着ていても責任は感じるわよね。せめてセクシーなパジャマにしようかしら? ネグリジェとか」
陽葵はネグリジェに着替えると鏡で自分の姿を見てウインクしてみた。
「全く似合わないわね? ちょっと男性っぽい筋肉を付けすぎたかしら? ま、これでもいいっか」
『ああ早く四朗が目を覚まさないかしら。きっと驚くだろうな? そして明日からは晴れて婚約者ね。どんな素敵な毎日になるんだろう』
陽葵はニコッと笑って俺を見つめる。
『ふぁあああ。ダメダメ四朗が目を覚ますまで起きてなきゃ。おはようの挨拶は私からしたいし。誤魔化すために逃げられても困るから。ふふ四朗と婚約かぁ。きっと楽しい毎日になるんだろうな・・・・』
『・・・・・・・・はっ! つい寝ちゃったわ! 四朗は? まだ起きてないわよね?』
「あら、おはよう陽葵」
「ええー! どうして桂木さんが私の横で寝てるわけ?」
「四朗を寝取ろうなんて100年早いわよ」
陽葵は必死で理解しようとするが全く理解できない。
「こうなったらあなたを倒して力尽くで四朗を手に入れてみせるわ」
「やれるもんならやってみなさいよ。黒魔術の真の恐怖を味併せてあげるわ」
「えい!」
カコーン。
「何で大きなタライが降ってくるのよ!」
マリー得意の攻撃だ。て言うかマリーの攻撃魔術は非常にレパートリーが少ない。
ん? 何か騒がしいような?
「四朗起きたのね?」
何で陽葵が俺のベッドにいるんだ? カコーン!
「痛ー!」
「あ! ごめん四朗」
マリーもいるじゃねえか。辺りにはタライがいくつも転がっている。
カコーン!
「いい加減にしろ!」
「はい」
2人が同時に返事した。
「で? 何でこうなってるんだ? てか陽葵その格好は?」
「セクシーでしょ?」
「いやセクシーというか・・・・」
「私と四郎は一夜を共にしたのよ」
何だと!
「騙されちゃダメよ。四朗の横で寝てたのは私よ。後ろ向きだったけど」
「余計なことを言わないで桂木さん!」
2人がまた揉め始めた。
「わかったから喧嘩は止めろ。結局は何もなかったわけだろ?」
「それはそうだけど」
「ちょっと何事?」
小百合が欠伸をしながら入ってきた。
「何であなた達が四朗君のベッドの上にいるのよ!」
「林郷さん、もう手遅れのようね?」
「どういうこと?」
小百合が慌てて聞いた。
「小百合、気にしないで。今の言葉は私が言うはずだった台詞なの」
マリーがこの状況を利用している。
「2人ともいい加減に諦めろって。小百合、安心してくれ。未遂だ」
小百合はその場に座り込んだ。
「もう、危なっかしいたらないわね。でもどうしてこんなに寝入っちゃったんだろう?」
陽葵がそっと後ろを向く。
「日向さん! あなたのせいね?」
「知らないわよ」
「ああ、迂闊だったわ」
小百合が大きく頭を振っている。
「私が居なかったら大変なことになっていたところね」
「そう言えば、どうしてマリーがいるわけ?」
「しっぽアクセサリーになって四朗の鞄に潜り込んできたのよ」
「確かに今回はマリーのおかげね。お礼を言うわ」
「お礼なんていいわよ。四朗と同じベッドで寝られたし」
「こら! 誤解を受けるような言い方をするな!」
「四朗君、私達もう終わりね」
マリーと陽葵が思わず握手する。
「待て小百合! 俺はずっと寝ていたんだ。こいつらがいたことも知らずに」
「何て言われてもいいの。一緒に寝られただけでも私は幸せよ」
マリーがここぞとばかりに小百合を煽る。
「よく考えろよマリー。お前が俺のベッドで一緒に寝たのは今回が初めてじゃないよな?」
「何ですって?」
小百合が思わず言葉を漏らす。
「お前がしっぽアクセサリーの時はいつも俺の横で寝てただろう」
「四朗君、それどういう意味?」
小百合が恐ろしい顔で俺を睨み付けている。
「だからマリーが人間の姿になる前の話だ。害はないだろ?」
「一緒に寝てたのよね?」
「それはそうだが人間の姿じゃないぞ。しっぽアクセサリーだぞ」
「姿形なんて関係ないわ。気持ちの問題よ」
「ええーーー!」
こうして俺は小百合にこっぴどく制裁を加えられるのだった。




