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第34話 金持ちの生活って

 俺の目の前にこれでもかという白い砂浜が広がっている。

「凄い! ゴミ1つ落ちてないじゃないか」

「どう? 我が家のプライベートビーチは?」

陽葵は鼻高々に言った。

「想像してた以上に凄いぞ」

「そうでしょう。後で泳ぎに来ましょう」

因みに持ってきた荷物は運転手さんが全て運んでくれた。これが金持ちの生活というやつか!


 いざ泳ぐとなると少し躊躇いがある。

「陽葵、その水着少し大胆じゃないか?」

ビキニなのは分かっているが目の前で実際目にすると恥ずかしさが先に立つ。よくこんな格好で異性の前にいられるな。

「そうかしら? 普通だと思うけど」

そう言いつつも陽葵の顔は少し赤い気がする。


 それに比べて芽依のワンピース型の水着は目を背ける必要は全くない。

「お兄ちゃん、何か言いたそうだね?」

「別に」

「どうせ陽葵さんに比べて色気がないって思ってるんでしょ?」

全くその通りだ。でも、妹に色気を求めても仕方ないので適当に受け答えをする。

「まだ中1だから仕方ないさ」

「ブー」


 そう言えば小百合の姿がないぞ。どうしたんだ?

「ごめんなさい。日焼け止めを塗るのに手間取っちゃって遅れちゃったの」

ええーーー! これまた陽葵に勝っても劣らないビキニ姿。それに小百合ってこんなに胸が大きかったのか? ダメだ鼻血が出そうだ。ここで鼻血なんて出したら今後何を言われるか分からないぞ。我慢だ我慢するんだ俺!


「あ! そうだ。私日焼け止め塗るの忘れちゃった。四朗塗ってよ」

「何てこと言い出すのよ! そんなの普通、異性に頼む? 私が塗ってあげるわよ」

小百合が慌てて申し出た。

「あなたに塗って貰っても嬉しくないんだけど・・・・」

「何か言った?」

「何でもないわよ」


 浜にはビーチパラソルにビニールシートと完璧な用意がなされている。俺たちがすることはなさそうだな。金持ちの生活って思っていた以上に凄いかも知れないな。

「私と結婚したら毎日こんな生活ができるのよ」

どうして俺の心が読めたんだ? まあ陽葵はいいとして小百合の視線が何気に怖いぞ。

「四朗君て心じゃなくてお金を選ぶ人なんだ?」

「そんなことはないぞ」

どうして心が読めるんだ? 女って凄い!

「お兄ちゃん最低」

こいつもか! 


「夜には打ち上げ花火が上がるわよ」

「近くで祭りでもあるのか?」

「私達のために上げるのよ」

嘘だろ! 打ち上げ花火って効果なんだよな? 俺はてっきり祭りと重なってのことだと思ってたぞ。


「もしかして俺が来たからわざわざ上げるのか?」

「もちろんそうよ」

「でも費用が凄いのでは?」

「私の家は大企業よ。これくらいなんでもないわよ」

何か居づらくなってきたぞ。


「お金に物を言わせて男の気を引こうなんて気に入らないわね」

小百合が攻撃的な言葉を発した。いつも冷静な小百合にしては珍しいな。よほど危機感を募らせたのだろう。

「あら、気を引こうなんて思ってもいないわよ。ただ四朗がどう判断するかは分からないけど」


 それから俺たちはビーチバレーにビーチフラッグを楽しんだ。当然のように陽葵の一人舞台だったが。なにしろ運動神経が違うからな。小百合も悪い方ではないがさすがに陽葵には叶わないようだ。


 そして更に驚かされたのはディナーだ。豪華なんて言葉で済ませられないほどのコース料理。1品目から舌がとろけそうな味だ。

「3ツ星レストランの料理長が作ってくれたのよ」

「わざわざ呼んだのか?」

「勿論だわ」

信じられない。何なんだこの力の入れようは。何か怖くなってきたぞ。陽葵を悲しませたら闇に葬られそうだ。


「お兄ちゃん、これ本当に食べものなの? 信じられないよ。出てくるもの全て美味しいなんて考えられないよー」

「いくら美味しくてもこんなことで釣られる四朗じゃないわよね?」

小百合が俺を横目で見て言った。俺は何て答えていいのか分からず即答を避けてしまう。この俺の態度に腹を立てたのか小百合が強い口調で続ける。

「ねえ! 四朗君!」

「あっ、ああ」


「ふふふ、返事が鈍いわね」

陽葵がニヤリと笑って小百合を見ている。これは不味いか。

「勿論、こんなことでは決めないぞ」

こうは言ったものの声は小さめだ。


 そして花火を堪能した後は寝る時間だ。夜は1人1つずつの部屋が用意されていた。この別荘はどれだけでかいんだ? 最低4つの寝室があるってことか。

「寝る前にゲームでもしましょう」

「ほう、それはいいね」

俺は思わず賛成した。下手に誰が好きだとかの話になってはまずい。ただでさえ女の子はそういう話題が好きだからな。ゲームをしていたらそういう話にもなるまい。


「いろいろボードゲームがあるけど。何がいいかな? やっぱり男女がやるならこれね。はい王様ゲーム」

「お願いだからそれは止めてくれ!」

「大丈夫よ。これはボードゲームだから王様が命令する内容はカードで選ぶのよ」

「ちょっと見せてくれ」

『AがBとキスをする』『CがDに抱きつく』『AがCにプロポーズする』

「ダメだ! 絶対にダメだ!」

「どうして~?」

陽葵が残念そうな声を出す。こんな物できるわけがなかろう! てか王様が命令しなかったら王様ゲームじゃないだろうが!


 男の方からこれを拒むのはどうかって感じだが俺はプレッシャーに弱い小心者だ。改めて自分の小ささに気付く俺なのであった。

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