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第32話 招待状

 それからというもの俺は外出するたびに3人の少女を連れて歩くことになった。登校の時は芽依はいないものの小百合とマリーがしっかりボディーガードを務めている。考えてみれば誘拐されたところで殺されるわけじゃなし、かえって豪華な別荘で遊べるのだからいいんじゃねと言う気もする。それにしても小百合よ、日本刀を持って歩くのは銃刀法違反にならないか? それよりもマリーの杖を何とかして欲しい。これではアニメのコスプレだ。


「今日も無事に学校に着けたわね」

「ここまでしなくても大丈夫なんじゃないか?」

「油断してはダメ。相手は大金持ちよ。どんな手段を使ってくるか分からないわ」

小百合は大金持ちに恨みでもあるのか?


 教室では陽葵が常に様子を覗っている。俺の近くにマリーが常駐しているから声を掛け辛いのだろう。

「ちょっと離れるね」

マリーが小さな声で言った。

「どこにいくんだ?」

「どこだっていいでしょう! 小百合もいないから気を付けて」

「どうして言えないんだ?」

「もう、何で言わせるのよ。トイレよ!」

マリーって妙なところで恥ずかしがるんだな。キャラ的に『トイレ行ってくる』って平気で言いそうな感じだけど。


 マリーがいなくなるとすぐに陽葵がやって来た。

「やっと話せた。何であいつがいつもいるのよ」

「俺を守るそうだ」

「何それ? まるで私が四朗を誘拐するみたいじゃない」

「誘拐するんだろ?」

「それは別荘への招待を断ったらの話よ」

「今のままじゃ断る可能性が高いぞ」

「どうしてー?」

「マリーや小百合が怖い」

「別荘で遊ぶの楽しいわよ。プライベートビーチに専属シェフによるコース料理」

「本当か!」


 いかん! 思わず喜んでしまった。これも貧乏人の性か。

「はい、招待状」

陽葵が豪華な封筒を差し出した。俺が躊躇っていると、

「受け取るだけは受け取ってよ。あの人達は何とかするから」

「おい、変なことをするなよ。こういう場合、俺が酷い目に遭うことが多いんだからな」

「私に任せて」

そう言うと陽葵は俺から離れていった。


「聞いてたわよ」

げ! マリー!

「違うんだ。俺は断ったんだぞ」

「『本当か!』」

そこから聞いてたんかい!

「えらく嬉しそうじゃない?」

「そんなことはないぞ。金持ちっぽいことを言われると思わず反応してしまうのが貧乏人というものだ。お姫様のお前には分からないだろうがな」

「ふうん」

この適当な言い訳で許して貰えるのか?


「その招待状開けてみなさいよ」

「ああ」

招待状を開けかけて俺の指が止まった。まさかマリーを怒らせるような超刺激的なことは書いてないだろうな? マリーの前で開けても大丈夫なのか?

「早く開けなさいよ」

ここで開けないを選択をすると、

「そんなに1人で見たいの? 本当は陽葵から招待されて喜んでるんじゃないの?」

当然こうなるわな。仕方ない開けるか。えい!


『親愛なる未来の旦那様に』

いきなりこれだ。

『私の別荘にご招待します。日時は四朗さんの都合で構いませんのでいい日をお知らせください』

「四朗、まさか行かないわよね? あれ? これって」

『その時は四朗さんの妹さんもぜひご一緒にどうぞ』

「どういうこと? 何で芽依まで招待されるのよ!」

確かに意外な展開だ。


 そして放課後。今日もいつもの文化祭実行委員会が教室で行われる。当然のごとくマリーが近くの椅子に座っているのだが。

「招待状見たけど。芽依も招待してくれるつもりか?」

「ええ、四朗の大切なご家族ですもの。ただ両親はまだ私が緊張してしまうからまずは妹さんだけ」

どういうつもりだ? 何か魂胆があるのだろうがさっぱり分からん。

「来てくれるでしょう?」

「いや断るよ」

「妹さんには伝えて欲しいな。招待されたの知らないで断られてたって知ったら可哀想じゃない?」

「わかった。今日言ってみるが恐らく答えは変わらないと思うぞ」


 家に帰ると俺が説明するまでもなくマリーがことの全てを小百合と芽依に話した。

「どういうつもりかしら? 芽依ちゃんを招待してもあまりメリットがないように思うけど」

小百合が考え込む。

「あれ? お兄ちゃんこの封筒に招待状とは別に紙が入ってるよ」

芽依が何かを見つけた。

「これって・・・・、夜にはプライベートビーチで打ち上げ花火。食事はフォアグラにキャビアにトリュフだって。夢みたい!」


 芽依の目がみるみる輝いていく。

「目的はこれだったのね」

小百合が納得のいった顔で頷く。

「芽依、まさか行くなんて言わないわよね?」

マリーが確認する。


「行こうよお兄ちゃん! この機会を逃したらこんな贅沢一生できないよ」

なるほど、将を射んとせばまず馬を射よってことか。

「行かないぞ芽依」

「嫌だよ。行こうよ。大丈夫、私がちゃんと陽葵さんを見張ってるから」

「ダメよ。危険だわ」

小百合が説得を試みる。

「芽依はマリーさんからお兄ちゃんを守り通してる実績の持ち主だよ」

どうやら芽依の決心は固そうだが。

「わかった。私が日向さんに交渉してみるわ」

交渉? どういうことだ? まあ、小百合なら悪いようにはしないだろう。

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