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第30話 テレビの効果

 俺は家に帰ると恐る恐るマリーを見た。

「どうしたの?」

「別に」

何も知らないようだ。俺はソファーに座るとテレビのスイッチを入れた。


「四朗もする?」

マリーは芽依とボードゲームをやっているようだ。白の国壊滅ゲーム? 何だそれ?

「私が考えて作らせたゲームよ。早く白の国を完膚なきまでに壊滅させた人が勝ちよ」

何か恨みがこもってないか? 白の国と言うことはマリーの国と敵対する国か。

「ああ! また芽依ちゃんの勝ちだわ。まさかこのタイミングで原子爆弾を使うとは」

もっと異世界らしい物で勝てよ! まあ、どうでもいいけど。


『この番組のスポンサーは日向グループの提供でお送りします』

日向グループ? 陽葵の会社か?

『爪楊枝からロケットまであらゆる物を作る日向グループ』

凄いな。かなり大きな会社なのか?


「そう言えば四朗。陽葵にはちゃんと言えた?」

「ごほごほ」

「ん? どうしたの?」

「悪い。飲み物が喉に詰まっただけだ」

まずいぞ! まさか言い損なっただけじゃなく別荘へ遊びに来いって言われたとは言えないよな。


「勿論、うまく言えたぞ」

俺は天井を見ながら言った。

「お兄ちゃん、嘘をついてるね」

「芽依、何を言っているのだ?」

「お兄ちゃんが嘘を言う時は天井を見て話すんだよ」

さすが妹。俺にそんな癖があったとは。


「言えなかったってこと?」

「まあ」

「どうして言えないの? もしかして陽葵のことが好きなの?」

「そんなことはない」

確かにこんな簡単なことができないのだから疑われても仕方あるまい。


「ごめんなさい。生徒会の仕事で遅くなっちゃった」

小百合が制服のままやって来た。

「だからここはお前の家じゃないから来るなら一旦帰ってから来いって」

「だってそれじゃ遅くなるじゃない」

小百合は冷蔵庫を開けると麦茶を飲み始めた。完全にこの家に住んでいる感覚だ。


「それで、日向さんはどうなったの?」

当然のように同じ質問が来る。

「陽葵が好きだから断れなかったって」

マリーの嫌みいっぱいの言葉が小百合を刺激する。

「本当なの?」

「違うから」

「だったら断ってないってどういうこと? 分かるように説明して」

「俺はちゃんと言ったよ。ただ粘られただけで」

「本当ね?」

「勿論だ」

これで後は陽葵に言えば何とかなるな。


『今日の大邸宅探訪は日向さんの別荘から生中継でお送りいたします。凄く大きいです。本当に別荘なんでしょうか?』

これって陽葵が招待するって言ってた別荘か?

『別荘の持ち主である日向社長と娘さんに来ていただきました。今晩は』

『ようこそ自慢の別荘に』

『本当に大きいですね』

『大したことはありませんよ。犬小屋に毛が生えたレベルです』

おいおい、俺の家が軽く3つは入る大きさだぞ。と言うことは俺の家は犬小屋以下か?


「ちょっと! テレビに映ってるの陽葵じゃない?」

「本当ね。どうなってるの?」

さすがにクラスメイトがテレビに出てたらこうなるか。


 断るつもりだったがこれだけでかいと行ってみたい気もするな。冗談だが。

『娘さんに伺いますが、これだけ立派だと友達を呼んで遊んだりするんですか?』

『是非呼びたいわ。最近、恋人ができたから呼ぶことになっているの。葛城四朗君、待ってるからね』

何言い出すんだ!!! 全国放送だぞ。しかも名前をフルネームで言いやがって。


「四朗! どういうことよ。説明していただこうかしら?」

マリーが黒いオーラを纏って近付いてくる。

「私も聞かせていただきたいわ。あなたは私と付き合ってるんじゃなくって?」

小百合が日本刀の鍔に指を掛け、いつでも抜ける状態で構えている。

「お兄ちゃん。いつの間にこんな約束をしてたの?」

「待ってくれ。陽葵が勝手に言ってるだけだ」

「火のない所に煙は立たぬって言うよね?」

芽依、あまり追求しないでくれ。今日が命日になりかねない。


 そして、次の日。クラスでは昨日の番組の話で持ちきりだった。

「許嫁がいるのに、どういうこと?」

女子が軽蔑の目で俺を見ながら噂している。あの番組ってみんな結構見てるんだな。

「なあ、葛城君。新しい恋人ができたんだって? おめでとう。これで桂木さんとは許嫁解消だろ」

あの偽ボクシング野郎だ。


 ああ、これでまた学校に来辛くなりそうだ。

「四朗。昨日のテレビ見た?」

明るい声の方を見ると陽葵だ。

「何てことを言ったんだ!」

「いいじゃない。嘘じゃないんだから」

この言葉にマリーと小百合が微かに反応したが、周りの生徒がまたひそひそ話を始めたため、何も行動することはなかった。


「俺は行くなんて言ってないぞ」

俺が言うとすぐ陽葵が俺に近付き小さな声で話した。

「もう日本中のみんなは行くと思ってるの。いやだって言ったら拉致ってでも来て貰うわよ」

ええーーー! 嘘だろう? どうすりゃいいんだ? 俺はそっとマリーと小百合の方を見た。幸い陽葵の声は聞こえてなかったようだ。

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