キャンプ一日目
夕方近くになり、キャンプファイヤーの準備をすることになった。
アヴァロンの男の子たちのうち二人は巨人だそうでその二人が中心となって木を組んでいってくれる。
巨人族ってもっと大きいのかと思っていたが、実はそんなに変わらないそうだ。そういえば、ドワーフの子も少し小さいぐらいだったなと思った。
「アン先生ー、上にのせるの危ないので飛んでもいいですか?」
「いいわよー。今だけよ。」
アン先生が許可を出すと、巨人族の二人とは違う男の子二人がふわりと浮き、巨人族の二人にサポートされながら、組んでいった。
「飛んでる・・・」
人が飛ぶということを初めて目の当たりにした。
「アン先生は初めて?」
「はい。」
「じゃあ少しずつでいいから慣れていってもらえると嬉しいわ。」
「はい。」
「あなたは、びっくりはするけど、拒否感はないのね。自分と違うものに拒否感を持つ人は多いものよ。」
「違うから拒否するということはあるのかもしれませんが、わたしは今新しい世界にとてもわくわくしています。」
「そう。よかったわ。」
アン先生はそうほほ笑むと、キャンプファイヤーのほうへ歩いて行った。
しばらくすると、キャンプファイヤーの木は組み終わったようだった。
「水川先生、加瀬先生もこっちいらっしゃい。せっかくだから魔法で火をつけるところをみせてもらいましょう。ランス、火をつけてくれる。今は特別だから使ってもいいわ。」
というと、さっきアレックス先生と話をしていた男の子に話しかけた。
「いいんですか?」
「ええ。二人はあなたたちに深くかかわることになるんだから、今のうちにみせて慣れてもらいましょう。加瀬先生は見たことある?」
「僕は、二年生からのあいつらしか知らないのでちゃんとは見たことないです。」
「そう。じゃあ、ちょうどよかったわね。ランス、お願い。」
「はい。※●△◇※」
聞き取れない何かをランスが言ったと思ったら、キャンプファイヤーの火が付いた。
「わあ。」
「すごーい」
「きれい」
普通科の生徒たちも魔法を見たのが初めての子もいるようで感心している。
さっき空を飛んでいた二人が
「×●※△」
と言い、風を操って火の向きや強さを調整していた。
「すごい・・・魔法だ。」
そこには小さいころに映画で観たような光景が広がっていた。
火の回りに座り、ぼーと火を見つめる。寮から運ばれたお弁当を食べながら今日の短い間に起ったことをかんがえる。
来る前は、普通のキャンプと思っていたけど、来てみると、自分の常識では測れないことが起きていた。私は狭い世界で生きているなと感じた。
たくさんびっくりして、広い視野をもつ人間になりたいなと思った。
夕食後は、火の回りでレクリエーションだ。
特技を披露していく。この時間は、魔法をつかってもいい。普通科の生徒も魔法を使わない特技を見せていく。
セーレーンの二人は、聞いたことのないほどうっとりする歌を歌い、ぼーっとしてしまったら、アレックス先生に加瀬先生と二人して揺り起こされた。危ない。これが神話に残るほどの歌声か。
すべての出し物が終わったら、お風呂に入って就寝となった。
読んでくださってありがとうございます。