入学式
8時、始業は8時30分からだが、早めに学校に行くことにした。
留学生科の職員室に行くと、アレックス先生がもう仕事をしていた。
「おはようございます。」
「水川先生おはようございます。早いですね。」
「いえ、先生こそお早いですね。」
「僕は初担任なので、緊張して早くついてしまいました。」
「そうなんですね。初担任だとは思えませんでした。」
「ははは。ありがとうございます。」
少し会話をして、マグカップにお茶を入れる。
パソコンを付けたり色々しているうちにアン先生が来た。
「おはようございます。」
「「おはようございます。」」
きょうもアン先生はおきれいだ。どこぞのスーパーモデルのようだ。
そうこうしてるうちに加瀬先生も来た。加瀬先生は朝練をしてから職員室に来るらしい。
9時前になり、アン先生とアレックス先生は教室に、加瀬先生と私は入学式の行われる体育館に向かうことにした。
「水川先生は部活とかされてたんですか?」
「特に何もしないんです。加瀬先生は水泳一筋ですか?」
「はいそうです。」
「へえ。すごいですね。」
「先生はされたい部活の顧問とかありますか?」
「とくには・・・、あ、茶道部とか楽しそうなイメージがあります。」
「うちの茶道部しっかりしてますよ。またお茶会とかあるので行ったらいいと思います。」
「そうなんですね。ありがとうございます。」
そんな会話をしているうちに入学式になった。
「新入生、入場」
真新しい制服に身を包んだ新入生たちが入場してくるのを拍手で迎える。この学校はクラス数が少なく設定されているので6クラスの生徒たちが入場したあと、12人の留学生たちが二クラスに分かれて入場した。
「新入生起立、礼、着席」
校長先生やPTA、教育委員会の方々の話が終わった。
「新入生退場」
普通クラスの生徒の保護者の方にはこれからお話しがあるようだが、私たちは教室に向かうことになった。
教室では、明日・明後日の土日を利用した宿泊研修の話をしていた。最初宿泊研修と聞いたときは、ただの親睦合宿だと思っていたので、みんな寮に住んでいるのに今更何を研修するのだろうかと思っていたが、ホームスティを受け入れ予定の生徒を交えてキャンプに行くそうだ。こういう合同行事の相性もみてホームスティ先も考えるらしい。現場では大学時代に学んだことなど役には立たないと聞いていたが、この職場では本当にそうだと思った。
生徒たちが帰った後、私たちは会議だ。
明日は、寮の前に10時に集合して、森の奥に移動する。森の奥には、キャンプ施設があるそうだ。
「一人でこの範囲内かなら出たら迷うから出ないようにしてくださいね。」
迷うの?
「生徒たちは、クラスで男女二人組にして、AB合わせて4人組にします。そこに2人普通科の生徒に入ってもらって6人班を三つ作りますね。」
班のメンバーはクジで決まるそうだ。
「寝る場所はコテージです。お風呂もあります。人数もそんなに多くないので、この時間で自由にはいってもらうことにしました。」
アン先生の説明はとてもわかりやすく、範囲外に出たら迷うということ以外は不安なく明日を迎えられそうだ。
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