入学式前日オリエンテーション
1年A組の担任の先生の名前をアンに変えました。
B組の担任の先生の名前をアレックスに変えました。
明日は入学式だ。
あれから、校長室に呼ばれ、アヴァロンの生徒の説明を受けた。アヴァロンの生徒は、イギリス国籍(細かく分類するとウェールズ人らしい)を持つので留学生と言ってもいいそうだ。瑞穂高校の卒業生は、このアヴァロンの生徒たちと密にかかわり、日本の発展に奥深くかかわっている人が多いのだという説明をされた。
何を説明されても、今まで生きていた常識とかけ離れているので言葉が頭の中を滑っていく感覚でだった。
わけがわからなさすぎて、辞めるという考えにはならずに明日は入学式となってしまった。
入学式は留学生も参加する。入学式の前に留学生たちを集めて注意事項を徹底して叩き込まないといけないのだ。留学生たちは寮暮らしだ。二年生からはホームスティもできるが、ホームスティ先は、両親ともに卒業生という家だけなので少ない。なので、二年生・三年生も多くの生徒が寮に住んだままである。
10時ごろ一年AB組担任・副担任の4人は寮に向かった。寮は学校裏手の山の中にある。寮の中にある多目的ホールに向かうと12人の生徒が集合していた。
「おはようございます。1年A組担任のアンです。社会の担当です。留学生クラスの主任もしています。寮監も兼ねていますのでもうご存じですね。よろしくお願いします。」
パチパチ
「おはようございます。1年B組担任のアレックスです。現代英文担当です。僕も寮監を兼ねています。よろしくお願いします。」
パチパチ
「おはようございます。1年A組副担任の加瀬です。体育担当です。水泳部に入る場合は顧問になります。よろしくお願いします。」
パチパチ
「おはようございます。1年B組副担任の水川です。国語担当です。よろしくお願いします。」
パチパチ
まだ混乱しているのか、気の利いたことを言えず自分にがっかりしたが、生徒たちは温かく迎えてくれたようだ。
「今日は入学式前オリエンテーションです。みなさんはアヴァロンでも優秀な生徒であったのでこちらに留学できました。現代英語はもとより、日本語も話せるようになってこちらへ来ていますので、日本語で説明をさせていただきたいと思います。
今年一年で日本の常識を身に着けてください。言うまでもありませんが、空を飛ぶことなどこちらの人にとって不可思議な現象を巻き起こしてはいけません。その場合校則を違反したことになり罰則を与えられます。もちろん、普通の学生が守るルールも守ってもらいます。
配ったプリントに普通の学校生活を送る方法を載せておきました。よく読んでおいてください。
明日は入学式です。制服をきちんと着こなして9時に自分の教室の自分の席についておくこと。」
アン先生が説明している。生徒たちは優秀だと言われているとおり、熱心にアン先生の話に聞き入っている。
クラスのメンバーはみんな幼馴染のようでお互いがお互いを良く知っているようだ。
わたしや 先生が珍しいようで、こちらをチラチラ見てくるのが子供らしさを感じられてかわいい。
彼らの一年目の課題は、この国での常識を身に着け、社会になじめるようになること。2・3年生になったときに進学校の授業に問題なくついていくことなど、私から見ると大変なように思えた。
身だしなみチェックを行うことになった。
男女ごとに行うので、アン先生と女子生徒6人のチェックを行うことになった。
三人の女の子にアン先生はいう。
「耳は出さないように気を付けてください。」
女の子たちの耳を見るととがっていた。それを隠しているようだ。資料を見ると、この三人はいわゆるエルフらしい。
「ここが盛り上がってますよ。もう少しきれいにたたみなさい。」
一人の女の子の背中が盛り上がっていたので注意されていた。
「羽毛が見えてるわよ」
さっき注意された子の隣にいた子に注意をしている。この二人はセイレーンだそうだ。
もう一人を見ると、少し小さいだけだ。この子はドワーフらしい。
「水川先生も毎朝ここを注意してみてあげてくださいね。」
「はい。」
「「「よろしくお願いします。」」」
「あと、この子達の本来の髪の毛の色が出てきていた場合も教えてあげてくださいね。」
「はい。」
本来の髪の毛何色なのだろうか。
小説の世界が目の前に広がってきて不安よりも楽しくなってきた。
読んでくださってありがとうございます。