就職先は、進学校の留学生クラスの副担任!
完結しますように。
水川瑠衣は、この度教員の資格を取って大学を卒業したばかりだ。
でも、採用試験にことごとく落ち、3月末の今になって就職は決まっていない。
就職浪人か。そう思いながらも、公立高校の講師登録をしておいた。
ブルブル
スマホが震えている。
画面を見ると、県内の電話番号だった。
「はい。」
「こちら、瑞穂高校の校長の田中と申しますが、水川先生のお電話でよろしいでしょうか?」
「あ、はい。水川です。こんにちは。」
「4月からの常勤講師を探しておりまして、先生はもう4月からの勤務先をお決まりでしょうか?」
「いえ、決まっていません。」
「それでしたら、ぜひ本校でお力を発揮していただけないでしょうか?」
まさか。こんなギリギリで仕事が決まるなんて・・・
「はい。ぜひお願いします。」
「それでは、明日の13時に本校に来ていただくことは可能でしょうか?面接もかねて説明をさせていただきます。」
瑠衣は了承し電話を切った。
「瑞穂高校・・瑞穂高校」
スマホで瑞穂高校を調べてみた。瑞穂高校は進学校のようだ。留学に力をいれており広い視野を持った生徒を育て、卒業生は各界で活躍してるようだ。
「へー。大丈夫かな・・・」
瑠衣は不安になった。
・・・・・・・・・・・・・・
次の日、12時50分。瑠衣は瑞穂高校の前に立っていた。
駅から徒歩15分。普通の高校に見える。
「すみません。国語の常勤講師のお話をいただいている水川ともうします。田中校長先生いらっしゃいますか?」
瑠衣、事務室に向かい要件を告げた。
「そこにお名前を書いて少々お待ちくださいね」
受付名簿のようなものがあり、名前を書いて待つ。
「水川さんですね。こちらへどうぞ。」
ひょろっとした眼鏡の男の人に声をかけられて案内される。
「こんにちは。私が田中です。駅から迷わず来れましたか?」
「はい。来れました。」
校長室に入るともう一人男の人がいた。こちらは中肉中背といった感じの男の人だ。
「教頭の、中村です。」
「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いいたします。」
瑠衣は急いで頭を下げた。
「緊張しなくてもいいんですよ。少しお話できたらという感じなので。」
「ありがとうございます。」
「こちらにお座りください。」
長い机の真ん中あたりの椅子を示され、座った。
「水川先生は、今年ご卒業かな?」
「はい。先日卒業いたしました。」
「そうですか。うちの学校のことはご存じでしたか?」
「お恥ずかしながらあまり知らなくて、インターネットでホームページ見てみました。」
「そうですか。うちの学校は少し特殊な学校なんですよ。」
「特殊とは?」
「留学生がたくさん来るんです。」
「はい。そうなんですね。」
グローバル教育の進んだ学校ということだろうか?
「その留学生がね、変わってるんですよ。」
「はい?」
「先生には、そのクラスの副担任をしてもらいたいと思っていまして・・・。」
「はあ。。。」
返事があいまいになってきた。もっとシャキッとしなくては・・・
「あの、英語はあまり堪能ではないのですが・・・」
「あ、英語はあまり必要ありません。その若さで柔軟に対応していただければ」
「わかりました。頑張ります。」
「授業のほうですが、こちらのクラスは課外授業が多いため、他のクラスの担当はありません。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
そう言って面接は終わった。
読んでくださってありがとうございます。