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「このベクトルの公式は・・・・」
俺と智則は、教室のドアを少し開け中を覗いていた。覗いてみると確かに、キツそうな年配の先生が授業をしている。
「侑大どうする?」
「どうするとは?」
「入るか、入らないかに決まってるだろう」
「・・・・」
智則がこう言うのもわかる。さっきまでは普通に入ろうと思っていたが、いざ教室の前に着いて覗いて見るとこのザマだ。
「あの、おばさん先生目付きやばくね?」
「・・・・確かに」
智則が言うように、一重で少し目付きがキツイが、それにメガネが加わり、さらにキツく見える。
「白川は、サボらずに行けと言ってたけどどうする?」
智則が聞いてくる。
「・・・・行った方がいいかもな」
「どうしてだ?」
「さっき白川も言ってただろう。サボっているのがバレたら放課後に呼び出しくらうかもしれないって」
「確かに呼び出しは嫌だな」
どうやら智則も呼び出しは嫌ならしい。
「それに、今言ったら普通に遅刻したですむかもしれないだろう?」
「確かに!」
智則も教室に入る気になったので入ろうとしたら・・・・
「あなた達何をしてるんです?」
ドアが開き目の前に、先生が立っていた。
「・・・・」
「・・・・」
俺と智則は、冷や汗をかきながらお互い顔を見た。
「いや〜少しお腹が痛くて遅刻してしまいました」
智則が笑いながらそう言った。
「・・・・」
先生は無言のまま智則を睨んでいる。
「本当です先生!信じてください!」
そう言って智則は、まるで媚びるように言っている。
「・・・・」
先生は、相変わらず無言のままだ。
そして目線を、智則から俺に向けた。
「あなたは言い訳はありますか?」
どうやら智則の言い分は、意味なかったらしい。隣で未だに媚びているのを見て、まだ諦めてないのかと思った。
「・・・・ありません」
俺は諦めて正直に答えた。横で智則が何言ってんだお前!と顔で言っているが無視だ。
「2人とも放課後職員室に来なさい」
そう言って先生は教卓に戻り
「何をしているのですか。早く座りなさい」
俺と智則が立っているとそう言ってきた。俺は直ぐに自分の席へと向かった。智則も、俺の後を追って座った。その時俺を恨めしそうに見ていたが。
「それでは授業を再開します」
それから授業が再開されるのだった。
キーンコーンカーンコーン
「今日はここまでです。次回までに復習しておくように。あと今日遅刻してきた二人は、放課後忘れずに職員室にくるように」
そう言って出て行った。
「おい!侑大何で言い訳しなかったんだよ!」
案の定、智則が聞いてきた。
「言い訳した所で意味なかったからだ。あの先生は俺たちがサボってた事に気づいてたよ」
「そ・・そうなのか?」
「ああ」
「なら俺は何の為にあんな演技を・・・・」
智則が落ち込んでいる。
「お前が必死に媚びを売る姿は面白かったよ」
「やめろー!それ以上言うな〜!」
どうやら相当ショックだったらしい。
「まぁ元気だせよ」
「うるさい!この裏切り者!」
裏切り者って。お前が築かないのが悪いだろうに。誰かこいつを立ち直らせてやってくれ。
そう思っていると
「智則!」
声の方へ顔を向けるとそこには、智則の幼馴染である神凪美沙ともう一人髪が茶色い女の子がいたのだった。
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