15話
負けた。絶対に勝てると思ったのに、負けてしまった。しかも週末出掛けるだけではなく、あと1つ罰を受けなければならない。
「侑大くん。残念だったわね」
美和先輩が言ってきた。どうせ俺が勝つとは思ってなかっただろうに。
「・・・美和先輩が強すぎるんですよ」
「そんなことないわ」
この人が言うと嫌味にしか聞こえない。そもそもゲームに負けたこととかあるんだろうか?気になってしまう。
「侑大くんも、途中から追い上げてたじゃない」
「・・・でも結局は美和先輩の手の掌でした」
「そう悲観しなくてもいいわ。侑大くんはよくやった方よ」
美和先輩はそう言っているが、俺はそうとは思わない。実際前半は、美和先輩の流れだった。後半も美和先輩は余裕の姿勢を崩さなかった。まるで焦りがなかったのだ。つまり、最初から美和先輩の、手の掌だったと言うことだ。
「でも負けわ負けなので、ちゃんと罰は受けますよ」
「あら?素直ね」
美和先輩は、俺が素直なのが意外だったのが驚いていた。驚いた顔は、初めて見たようなきがした。
「俺から仕掛けたゲームなんで、ちゃんと守りますよ」
「そう。なら今週の日曜日に、駅に集合ね」
「・・・わかりました」
これで俺の平和な日曜日はなくなった。ここは仕方がないと割り切るしかないな。
問題は、もう1つの罰が何なのかがわからないことだ。美和先輩の事だから毎日一緒に帰ることとか言い出しそうだ。
「・・・美和先輩もう1つの罰は?」
「それは・・・」
美和先輩が俺を見てくる。可愛いなぁ・・・・あぶないあぶない。
魅入られてしまった。
「フフ」
大人の笑みを浮かべながら、俺の顔に指を近ずけてきた。
「まだ内緒」
「!?」
そう言って俺の口に指をおいてきた。
やばい!やばい!やばい!可愛いのは、あたりまえだがあざとすぎる!
こんな事を普通にする美和先輩ヤバすぎだろ。
「照れてる顔も可愛い」
子供をあやすように言ってきた。俺は美和先輩のこう言うところが苦手だ。
「じゃあ。私は帰るから」
どうやら今日はもう帰るらしい。昨日みたいに一緒に帰れとは言わないようだ。
「フフ。もしかして・・・私と一緒に帰りたかった?」
「・・・そんなことありません!?」
「顔赤いわよ?」
「赤くありません!」
「またね」
そう言って手を振りながら教室を出て行った。
俺は、これから美和先輩と上手くやっていけるだろうか?とても不安だ。いつも、からかわれるのは俺だ。美和先輩には何をしても勝てるきがしない。
そう思いながら俺も帰るのだった。
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