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第五十三回 伝偽詔禁軍囲城 老王爺奔跑万里

高順は未だに将兵十二万を祁山に残したまま、涼州をを後にして遼に帰ってきた。


「おう、帰ってきたぞ!」


出迎えたのは大将軍の張郃だった。


「陛下、お帰りなさいませ…、しかし、兵を十二万も…」


「うむ、そう怒るな、大将軍」


「ですが…?」


「遅かれ早かれ戦になる」


「しかし…!」


「この遼に飛び火せぬ様に、だ」


「左様ですか!」


「あぁ、それに孟徳を助けとけば、俺たちにも火が回らぬようにもなるさ!」


「ふふふ、陛下、戦が無いというのも些か寂しいものですな!」


「ふっ!だろうよ。俺だって戦場から身を立てて来たんだ!戦乱は未だに治まる気配をせぬッ!安心せい、何時かは全軍で戦わざる得ぬ時が来るさ…」


其れから高順は兵を鍛え上げた。老いさらばえた陥陣営の部隊を更に増やした。老いた者らは禁軍や新兵訓練を担当し、遼軍の中で彼らには何時いかなる時も敬意を表された。


曹操は事態を憂慮し、軍を南部に集中させた。


「ふふふ、大耳野郎!決着をつけてやる!」


「公よ…」


「元譲、精鋭を西北に集めよ!」


「はっ!」


荊州の主導権をばら撒いた原因の摂政は取り乱し、荊州にはまともな都市は残ってなかった。朝廷内では日に日に皇太子への不信感を募らせた。


「こうなれば…高王に…」


「…!ふざけるなっ!国を追われた逆賊に頼めるか!」


「しかし…、丞相、漢中王、呉公を相手にまとめて相手にできるのは…」


「では…!」


「しかし、陛下は?陛下は何と仰って…?」


皇帝劉協は朝廷に顔を出さずに不気味な沈黙を貫き通したままだ。摂政の責任は伏完にあると朝廷内の者は伏完らを弾劾し始めた。


どちらかと言えば董承が主導した権力闘争である。今、伏皇后が産んだ太子を蹴落として、自身の娘である董貴人が産んだ王を太子に祭り上げ、曹操を倒し、遼を接収する事を望んでいるとの事だ。


高順は錦衣衛の報告を見てクスりと笑い、来る大戦を待ち構えていた。


曹操は高順からこっそりと情報を供給されて高順を恐れた。この世に生まれて以来、初めて戦慄が走った。


「ふふ…ふはは!これか!これが子桓を恐れさせた理由かッ!孝父…お前は…お前は一体なんなんだ?」


その手紙の追伸にはそろそろ遺言を決めろと書かれていた。


「子脩!何処におる!」


「はっ!此処に…」


「これより、儂は劉備と決着をつける!その後、曹家の全てを其方に託す。良いな!」


「はっ!」


これを聞いて曹丕は目を大きくしたが、直ぐに冷静を取り戻した。


「兄上…」


「ん?何だ?子桓…不満そうな顔をしてるな?ハッハハハ!」


「ご冗談を…」


「そうか、ならいい…」


曹昂は闊達に笑いながらその場を去り、次の一手を打ち始めていた。


「さて、諸叔伯…、我らには我らのやり方がある。それを知らしめようではないか!」


「子脩…いえ、少主、我らは?」


「ふふふ、気にするな!我が曹家の者を朝廷で埋めつくそうなど考えておらんよ、先ずは妙才叔の元に兵を送り込む、全軍で劉備と決着をつける!」


「「ははっ!」」


太子の摂政について、我慢が出来なかった皇帝劉協は遂に復活するのであった。


「ふん!曹操め…皇太叔を討とう等…許さん…!許さんぞぉ!」


「太子、黙らぬかっ!」


「父上!」


「お前の監国は酷かったそうだな」


「…!これもあの逆賊のせいですぞ!」


「ふん!善悪の分別が出来ぬお前が逆賊を口にするなッ!」


「ち、父上…?」


「もう良い!これよりお前の太子の位を剥奪する。沙汰があるまで東宮にて軟禁する!」


「へ、陛下?あんまりです!間違いは誰にでもあるもの…そのようには…」


「では、どのようにだ?例のものを持ってまいれ!」


「はい…」


暫くして、宦官が何かが詰まっている箱を持ってきた。


「ここ数ヶ月に渡っての其方への不信、不満が詰まっておる!」


皇帝へ直奏された太子への苦情である。


「なっ!?ち…父上…これは!」


「ふん!暫く大人しく出来ると思うたらこれじゃ!」


「そんな…!」


「これで、わかったであろう!下がれ!」


「…」


「陛下!」


太子は軟禁され、皇帝が自ら権力を握り始め、その姿を北宮に表した。


「皆、太子の過は全ては朕の不察である!どうか…、朕に力を貸してくれ!再び栄えある漢を創り直そうぞ!」


ある者は涙を流し、ある者は失望し、ある者は歓喜した。


「…、恐れながら陛下、遼国を勝手に僭称する高順はどうするかを取り決めを…!」


「「臣等も附意致します!」」


皇帝はこれを意に介さなかった。


「いや、あの者は国を追われた身…、今更戦を仕掛けようが何をしようがもはや遅い。今は荊州を再び朕の手に戻す事こそ先決よ!」


「「…」」


「荊州を取り戻さば、遼と戦をする事も叶おうぞ!」


「「はっ…!」」


孝父…、済まぬな、もはやこうでもせねば百官の心も朕に付いてこぬ!許せよ。


諸臣らは急ぎ江東と西川へとそれぞれに使者を立てて兵を退く様に伝えた。だが、問題は曹操にどう兵を退かせるか、が問題である。


劉協がここまで強気で居られるのも高順が送った二百万の禁軍が居るからであり、これにはさすがの曹操も忌憚せざるを得ない。


高順の置き土産である禁軍の校尉達の李風、王強、張雷、趙岩、孫濤、陳軍、謝勇、週勳、鄭華、雷峰、洪濤、曹峰、姚勇、梁海、錢光、王濤、張陽、陳飛ら十八人の禁軍の校尉を一気に将軍へと格上した。


【李風、王強、張雷、趙岩、孫濤、陳軍、謝勇、週勳、鄭華、雷峰、洪濤、曹峰、姚勇、梁海、錢光、王濤、張陽、陳飛を将軍に任ずる。役割はそれぞれが担当していたものに準ずる。旨が届き次第効力を発するものである】


禁軍の将軍に格上げされ、荊州に派遣された。


「其方らは禁軍の半数を率いて、荊州に駐留せよ!」


「「はっ!」」


半数が出向いてもまだ百万が残っている。簒奪者が奪おうにも無理がある。其れに前回の遼国討伐には禁軍は参加させて居ない。


使者が劉備の元に至った頃


「皇叔、陛下が病から快癒されて太子は軟禁されました。陛下の要望はただ一つ、荊州より兵をお退き下さい」


「陛下がご快癒されたのは何より、ですが、我らは太子より進軍を許されて…」


「されども…」


「陛下の御裁可であれば仕方あるまい…」


劉備は兵を退くつもり等毛頭ない。無いところか寧ろ兵を進めた。


この曹、劉、孫の三軍対禁軍の十八将軍の戦いは荊州で盛大に戦った。 このような自体を招いたのは、太子の監国であり、将軍らはその尻拭いに持ちうる戦略、機知、そして激しい対立に満ちていた。 両軍の将軍の決断、軍隊の配置、戦場での激しい殺戮が始まった。


荊州の地では煙と土埃が立ち上り、戦鼓が鳴り響いていた。 曹軍、孫軍、劉軍は力を合わせて前方の十八将騎兵を阻止し、前進させた。


手を結ぶ背景は禁軍が無差別に攻撃を始めたからである。


「何…?禁軍が…?」


「はっ!その勢いもはや止められませぬッ!丞相、此処はお退きください!」


「何処へ退けというのだ!」


「しかし…!」


「ええぃ…!全軍、南へ退けぃ!」


劉備も禁軍が着いたならば自分らは兵を退く事を決めた途端に禁軍に襲われた。


「何故…!?朝廷が我らを攻めるのだ?」


「わからん!とにかく…!」


「そうだな!後続の孝直と合流し、急ぎ対策を練るぞッ!」


孫策らは戸惑った。


「はぁ!?禁軍がこっちに喧嘩売ってきただぁ?しゃあねぇ!公瑾、体制を整えてやり返すぞ!」


曹軍は冷静沈着だったが、曹操は秩序ある方法で軍隊を指揮し、戦略的な位置を利用して敵の裏をかき何とか兵を纏めつつあった。 孫軍は才能と機知に富み、孫策と周瑜は戦略を立て、敵の攻撃に冷静かつ機転を利かせていました。 劉軍は勇敢で、高い士気と猛烈な勢いで軍を率い、敵を一気に倒すつもりだった。


流石に百万の禁軍の前には歯が立たず…。ジリジリと江陵城に追い詰められた。


李鳳はそれぞれの特別な能力を発揮し、強風のように騎兵を率いて、張雷のが密林のように隊列を整えた、まるで山々が連なり山脈の様にであった。 孫策は冷静に反応し、陳軍は勇敢に三軍を破り、謝勇は負傷者の治療を行い、周迅は配置を計画し、鄭華の騎兵は稲妻のように速く、雷鋒は戦局の全体を見て部隊を適所に送り込んだ、洪濤は堅実に指揮を執り、姚勇は勇敢で恐れを知らなかった。梁海は目に見えず潜んでおり、銭広は情報を調査し、王濤は軍を上手く指揮し敵の誘導が優れており、張陽は堅牢さを保持し、陳飛は優れた騎兵を常に疾らせた。


江陵城に居合わせた三勢力は互いに剣を抜き、一触即発となった。


「「貴様らか〜!」」


三人は同時に声を出したが、それぞれが制止する。


「丞相!落ち着き下されっ!」


「そ、そうだよ、大兄貴…幾ら仇が目の前だからって死に急ぐ事は無いぜぇ?」


「伯符、まだダメだ!」


「公瑾…、なんか考えがあんのか?」


「あぁ、まぁな…」


「虎侯!」


「あの小僧の言う通り、未だ時に非ず…」


「益徳、お前が止めるかっ!」


「俺たちゃ、敵同士だけどよォ、今ぁ同時に敵にされてんだ…。流石禁軍と言ったところだが…俺達を敵に回して勝ち誇るのが目に見えて腹立つんだっ!」


全員が納得した訳だが、曹操と劉備は目を点にして異口同音に同じ事を揃えた。


「お前…本当にあの益徳か?」「これが…あの張飛の言葉とは思えん…」


「大兄貴ぃ…はまぁ、良いとして、クォラッ!曹賊てんめぇ〜!引き裂くぞ!」


「張将軍…」


「ケッ!安心しなッ俺でもさすがにヤバいってわかるぜ?」


「…」


「にしてもよォ…大兄貴…、これ仕組んだのは誰だ?」


「私にも判からんよ…。少なくともこの場にいる者らでは無い」


「そうかい、なら俺ァ見回りでもしてくらァ!」


「…、まさかッ!?」


「伯符、どうした?」


「まさか…!遼王…!?」


「ふっふっハッハッハッハッ!ハァーハッハッハッハッ!」


「おい、ジジイ…何がおかしいんだよ!」


「あの男に限ってこの様な小細工はせん!この様な小細工をするならば貴様の父や其処に居る大耳野郎を片付けたら残りは小物しかおらんと豪語しておった奴だ。そのような事はせぬ!」


「あの野郎は…親父を殺したんだぞ!?」


「無い、な」


「伯符殿、其れは無いぞ。私も高順の事は気に食わぬが、其れには同意する。思い返せば…あの者は一度たりとも本気で我らと戦っておらぬ…」


「どういう事だよ?」


「ふん、あやつは負けるべくして負けて、勝てぬ戦はせぬしな」


「んだよ…!これじゃまるで野郎の手の平で踊ってるようじゃねぇか!」


「同意じゃな。遼王では無い誰か、にな」


高順は焦りを覚えていた。


クソォ!大耳野郎側じゃ無かった…!じゃ、誰だ!


「陛下…、洛陽の錦衣衛より…」


朝廷内では、太子は監国を剥奪され、伏完と董承が水面下で相争う事になり、皇次子が権勢を振るい皇帝の勅旨を挿げ替えたり


チクショウ!そういう事かよ…。読めたぜ〜!荊州から軍を退かせようとし、いきなり急襲した。百万の禁軍で、だ。


「クソが…!」


「尚武!」


「此処に…」


「お前は三省六部や軍部とよく話し合って国を治めよ!」


「父上…?」


「ふん、気にするな!」


「では、留守をお預かり致します」


「うむ、尚文を呼べ!」


「はっ!」


程なくして、尚文が来た。


「親父ィ〜、呼んだか?」


ゴツンと高順が拳骨を食らわし、高昭が痛がる。


「…!…ってぇ〜!」


「ち、父上…?」


「兄であるお前の責任も有るよなァ?」


「い、いえ…」


「まぁ、良い、このドラ息子は連れていくあとは任せたッ!」


「はっ!」


高景以外の息子高昭以下は皆勝手に初陣を済ませ父に怒られた者達である。高順自身も武を以て身を立てただけに自身の子らにも武術を仕込んだ。


長男には厳しくしすぎた為か、早々と戦場に出て手柄を立てたり活躍してた。次男はそんな兄に泣かされながら鍛えた為か相当に強い、三男は長男と互角とまでは行かないが、次男を軽くいなせる程の実力だ。


問題は四男が全くの未知数で、高順は其れを見極めつつ、育ている。


「昭、此度の戦どう見る?」


「あん?んなもん、わき腹突いて、伯父上をたすけりゃ良いんじゃねぇか?」


「はぁ…、聞く相手を間違えた…」


高順はぼやきつつ、遼西に向かい高昭を残しすぐさま黄海から長江に向かい江陵の曹操達の救出に急いだ。


頼むから、生き残っててくれっ!


曹操は頭痛が限界に達していた。


「フゥ…!フゥ…!」


隠れようが無い為、孫策、劉備はこれを目撃した。


「曹操…」


「ふっ…、喜ばしい…か」


「いや、貴様に死なれては困る…」


孫策にとってはどうでもいい話な為、外に出て周瑜と茶をしばき出した。


「なぁ…公瑾」


「ん、どうした?」


「俺らだけでも討って出て…」


さっきまで明るい顔をしていた周瑜は急に沈着で、剛毅の中に幾らかの冷酷を刻んだ顔をした。


「ダメだ!」


「んでだよ!」


「百万の大軍でしかも、禁軍だ。いくらなんでも無謀だ」


「チッ…!禁軍を攻めるってことは天下の公敵に成るってことだろ?」


「ふん、お前の事だ。そろそろ我慢が出来ない頃だと思ったよ」


「さっすがぁ!」


「だから…伯符、熱くなるな。俺に良い案がある暫く我慢だ」


「わァったよ!身体ほぐしてくらぁ」


周瑜は微笑んだ。


伯符、安心してくれお前を死なせはしない!文台伯…伯母上、其れに義姉、小喬、仲謀、叔弼、季佐、仁妹…!安心してくれ!


その頃、三勢力は大慌てである。曹魏は曹昂、曹彰を始め、曹休、曹真、夏侯充、夏侯楙、夏侯尚らを中心に小規模の部隊を編成し、夏侯惇、夏侯淵、曹仁、曹純らは各方面の防禦を担当し、三勢力はどれも一緒である。


漢中方面は人材不足もあり、劉封、張苞、魏延、李厳、黄権らを編成し、上庸に駐留した。


孫呉は動かなかった。彼らには動けない理由があった。高順の出現により唯一のアタッカーである甘寧を失ったからだ、どの道孫堅が生きてる限り甘寧は孫呉に組みする事は無い。


高順は兵を襄陽付近に配置し、直ぐに曹仁との面会を求めた。


「子孝兄!」


「遼王!これは一体…?」


「手短に話す…!禁軍は俺が外で抑える!だが、万一の事を考えて、これから絶対に禁軍を刺激するなよ?いいな!?」


「お、おう!」


「俺はこれから漢の朝廷に行って掛け合って来るからそれまで動くなよ?」


「わかった!」


同時に張五は孫呉の将軍、程普と面会していた。


「遼の衛将軍が何用か?」


「はっ、遼王のご意思をお伝えに、何方か事を治められる方は?」


「次公子の仲謀様ならば」


「急ぎ、面会をお願いできませんか?」


「なぜか?」


「我が陛下は此度の荊州での騒乱は全て中枢に有ると睨んでおられる!それ故に事を治める故、軽挙妄動は慎まれよ!」


「なっ…!?」


これに張昭は黙ってなかった。


「貴様ァ!何が軽挙妄動か!貴様の主は何を考えておる!?」


張昭以下の文官達は非難轟々に怒鳴り出した。


「これは…」


張昭の怒鳴り声が聞こえたので、孫権が急いで出てきた。


「先生、何事か!?」


訳を聞き、孫権は張五に聞いた。


「張将軍、先生が怒るのも無理は無い、訳を話して貰えぬか?」


「では、我が王のご意思をお伝えします。『友を救う義、主君が為の忠、故国への礼』以上にございます」


「友とは…?」


「祖将軍とお父君の孫文台の事でしょう」


「…、そうですか、わかりました。高王は必ず兄を救ってくれるのですか?」


「親友の息子は自分の侄と豪語しておりますからなぁ、救い出すでしょう…」


「わかりました。では兵を長沙まで下げます」


「兄貴!」


「翊!黙れッ!」


孫堅は生きている事を孫呉では張昭しか知らないため、張昭はふと老兵の身なりをしている孫堅を人目見たが微笑んでいた。


その頃、漢では、馬超を漢中太守として、劉備救出軍を編成していた。主将は関羽、副将に趙雲、黄忠を以て全軍で攻めようとした時に、息子の関平が突然現れた。


「父上!お待ちをぉ!」


「何?定国!?」


関羽は息子は行方不明だと聞いていたが、まさかこのように現れるとは気づかなかった。


「何やつ!?」


関羽は全力で討って掛かった。それに関平は見事に防ぎきり、息子である事を証明した。


「父上!お待ちを…!」


「お主、その身なりは!?」


「はっ、以前の戦以来、遼王の附馬として…」


「そうか、わかった。待てと言うのは?」


「はっ、此度は中枢の争いにより、伯父上、曹軍、孫軍の三勢力で殺し合わせるつもりとの事です…」


「何だ、と…?」


「父上は急ぎ、上庸へ向かい、残りの者らを纏めて、傍観してください!」


「うむ、子龍」


「はっ!」


壮年に差し掛かる趙雲も今なお白馬に乗り、早馬で上庸へ向かった。


高順は禁軍の軍営に一人乗り込んでいた。


「そろそろ、城攻めと行くか!」


「「おう!」」


その刹那


「待て!」


全員驚いたが、直ぐに臨戦態勢を取り、高順を囲った。


高順が朝廷に向かうのは真っ赤な嘘である。


この頃、高順が立てた代わりの人間が皇帝に面会している頃だった。


「遼…王?」


「ふふふ、流石にかつての主は覚えておるようではあるな?感心、感心!」


「何事か?」


「うむ、今の主からの伝言だ!」


禁軍の将達は瞬時に理解した。皇帝の言葉である、と


「うむ、此度は皇子が偽詔を伝えた事に因み、無為な血が流れた。諸将は兵を襄陽、南陽の二郡まで退き下がれ。だとよ!」


「なっ…!?」


「うむ、証拠は出せぬが、数日後朝廷より使いが来るであろう」


これにより禁軍の動きも沈静化し、江陵城は一旦落ち着きを見せた。

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