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第二十九回 小肚鶏腸開茶館 濫用職権添士衛

さて、話を戻そう。董媛が高景らの功績を逐一監軍に報告させていたことについて、私は知らずじまいでいた。この事実を知ったとき、私は内心で舌打ちした。女房の差し金で、我が子の軍功が公式記録に刻まれるとは、これいかに。もっとも、監軍の報告はあくまで事実を記すのが務めだから、董媛の行動自体は間違ってはいない。しかしだ、これによって我が子高景の軍功が公のものとなり、もはや無視できなくなったのだ。


「ちっ、女房のやり口よのう」と俺は独り呟いた。


「これでは俺が自分の子を贔屓していると取られかねん。しかし、報告が内閣府にまで届いた以上、何らかの処遇をせねばなるまい」


高尚武はまだ若年であり、本来なら軍務に就かせる年齢ではない。だが、乱世である。年齢など関係なく才能が評価されることも多い。我が子ながら、武芸の腕は確かだ。しかし、親としての心情は複雑だ。戦場は生死が紙一重の世界である。わが子をそんな危険な場所に送り込みたい親などいるものか。


「だがな」と俺はため息をついた。


「すでに功績が公になっている以上、何もせんわけにはいかん。ならば、いっそ……」


俺は決心した。わが子を遠い地に旅立たせるのだ。これならば、表向きには「見聞を広めるための修行の旅」と説明できる。実際には戦場から遠ざけるための方便だが、それも親の愛情というものよ。


「尚武を呼べ」と私は側近に命じた。


しばらくして、高尚武が控えの間から現れた。若干緊張した面持ちで、私の前に跪く。


「父上、お召しでしょうか」


「うむ」と俺はゆっくりと頷いた。


「そちの功績について報告を受けた。よくやった」


「は、はっ」と息子は戸惑いながらも頭を下げる。


「だがな」と私は続けた。


「お前はまだ若年だ。本来なら軍功を立てる場など与えるべきではない。今回のことは、母上の差金であったようだな」


尚武は俯いたまま、何も答えない。董媛の行動を彼は知らなかったのだろう。


「すでに功績は公になっている。ならば、相応の処遇をせねばならん。そちに軍職を与える」


「!」


尚武の顔がわずかに輝いた。しかし、俺の次の言葉でその表情は凍りつく。


「ただしだ、すぐに軍務に就かせるわけにはいかん。そちはこれから旅立つことを命ずる」


「旅、と申されますと?」


「そうだ。晋陽、遼東の地だけを見て育ったそちに、天下の広さを知らしめるためだ。西域の砂漠、塞外の草原、中原の繁栄、江南の水郷、巴蜀の峻嶺、山東の泰山等見るべきものは数多ある」


私は尚武の目を真っ直ぐに見据えた。


「五年は帰ってくるでない。それまでに、天下とは何か、民とは何かを学んで来い」


「……はっ」


尚武の声には悔しさが滲んでいた。しかし、俺の決定が覆らないことを彼は理解した。


「準備は整い次第、出立せよ。経費は十分に支払う。ただし、護衛はつけん。一人で行くのだ」


「承知いたしました」


尚武は深く頭を下げ、退出した。


私は静かに目を閉じた。親として、これ以上の見送りはないだろう。わが子の安全を願いながらも、その成長を促す――これが乱世における親の務めというものか。


さて、息子の問題が一段落したところで、今度は賈詡が報告に訪れた。


「殿下、仕官を望む者が謁見を求めております」


「名は?」と私は尋ねた。


「甘寧、甘興覇と申す者でございます」


「ほう……甘寧だと?」


俺は思わず身を乗り出した。


「その者、大きい鈴を腰に下げ、頭には鳥の羽で飾っておったか?」


賈詡は少し驚いたように答えた。


「そのような装いでございました」


「そうか!すぐに会いに行くぞ!」


俺は即座に立ち上がった。


「お知り合いでしょうか?」


賈詡が訝しげに尋ねる。


「いや、知らんが『錦帆賊』の名は伊達じゃないぞ!」私は笑いながら答えた。「あの男は长江一帯で名を轟かせた豪傑だ。その甘寧がわざわざ遼までやって来たとなれば、会わねばなるまい」


私は急ぎ足で客間に向かった。門を開けると、そこには確かに甘寧の姿があった。腰に下げた大きな鈴が、彼の一挙手一投足に合わせて軽やかな音を響かせる。


「遅れて済まぬ!」


私は声を掛けた。


客間のざわめきが一瞬で静まり返り、皆がこちらを見る。甘寧とその配下たちは、さっきまで騒がしくしていたが、私の登場で緊張した空気に包まれた。


「お前たち、跪け!」


甘寧が配下たちに命じると、一同は整然と跪いた。


「殿下!我らは礼儀知らずの者共、どうかご容赦ください」


「そうか、まあ、お前たちに礼儀を求める方が無理というものだ」


私は笑って答えた。


「良い、酒宴の準備をせよ!甘大侠以下、皆を満足させるのだ!」


「はい!」側近が即座に動いた。


「そして、興覇」と私は甘寧を見据えた。


「一つ聞くが、なぜ江東の孫公ではなく、遥か北のこの遼までやって来たのだ?」


甘寧は少し間を置いてから答えた。


「……あの孫策の父親という男は、わしの昔の兄弟分である区星を殺した者です。いくら区星が悪かろうと、兄弟分を殺した者の元に仕えるのもな……」


「そうか、わかった」


私は即座に答えた。


「ならば、遼州内の水軍及び沿岸一帯の兵を全て任せる」


甘寧は明らかに驚いた表情を浮かべた。見ず知らずの者に、いきなり如此なる大任を与えるなど、常識では考えられないことだ。


「しかし……」


甘寧は戸惑いながら言った。


「河川の風と海の風は違います。ここはもっと……わかる者を……」


「ふふふ」


私は笑みを浮かべた。


「南船北馬と言うであろう?我々将兵は船での戦を不得手としておる。陸戦ではこの大漢で無敵を誇れるが、海戦となるとなぁ……」


「ほうですか!」


甘寧の目が輝いた。


「ならば、やれるだけやってみせます!」


「おう、頼んだ」


私はうなずいた。


「それと、酒宴は今日だけにな。沿岸一帯は敵が多いからな」


「はっ!」


甘寧は深く頭を下げた。


「それと……一つ、宜しいでしょうか?」


「おう、言ってみろ」


「八百というのは減らした数でして……実は四千ほどおり申す」


「大いに結構!」


私は即座に答えた。


「呼び寄せろ!そして、皆を鍛えよ!」


「はっ!」


甘寧の声には感極まった様子が滲んでいた。


「この甘寧、殿下に生涯の忠誠を誓います!」


「期待しておる。励め!」


「はっ!」


私はその場を後にすると、すぐに内心で喜び踊った。後世の三国志ゲームで言えば、魏呉のレアキャラを手に入れたようなものだ。驍勇善戦の張遼、冷静沈着な張郃、義に厚い甘寧この三人が揃えば、天下に畏れるものはない。さらに、剛毅果断の田豊、老謀深算の沮授、計略に長けた賈詡がおり、それぞれが諸葛亮や司馬懿にも引けを取らない逸材ぞろいだ。


副将たちも、各々の長所を活かした軍編成により、長年の勝利と高い軍功を築き上げてきた。諸将の手柄を無下にはできぬからこそ、私は自らを高めざるを得ないのである。


朝廷と距離を置いた理由は、竇輔の討伐と、内閣府に治世を光武帝の時代まで回復させる時間を与えるためだ。面倒なことからは離れ、やるべきことをやろうそう決めている。


朝廷では、内閣府が揉めていた。


「ならん!ならんぞ!そんなことがあってはならん!」


曹操の声が響く。


「孟徳、落ち着かれよ」と劉虞が宥める。


「燕王殿下!これが落ち着いていられようか!」


曹操は興奮した様子だ。


「あの偽皇族に兵三十万も渡せと?冗談にも程があるわ!」


「玄徳に渡すのに何がダメだというのだ?」


「ふん!北の殿下が雷霆の怒りをもって憤怒の師を南に振るうことを考えたらどうだ?」


「……」


「高順か!」曹操は叫んだ。


「あの男は陛下に伝えていたぞ?『陛下以外の者が指揮してはならぬ』とな!」


「ならば、并州の牽招、幽州の田豫は何とする!」


「天子の兵を預かる将軍ぞ!我々でもどうにもできぬ!内閣府を通さずに直奏できる辺境守護の天子軍じゃ!」


「くっ……!ならば一戦構えるしかあるまい!」


「ほう?」


曹操は冷静に答えた。


「ならば伏閣老と董閣老で動かれよ。私は動かぬ」


「私も動かぬ」


別の閣老が続いた。


「遼王には恩義がある故な」


「なっ……!では……!」


「ふん!」曹操が啖呵を切った。


「貴様らが兵を募るのは自由だが、我々を巻き込むなよ?」


「楚王殿下!」


「うん?」


楚王は冷静に答えた。


「別に遼王が間違っているとは思えぬ。もし戦をしようものならば……私も巻きこまれないで貰いたい」


「……!」


反対派の閣老たちは言葉を失った。


「ふん!」


曹操は続けた。


「それに一つ言っておこう。我々だけではない!天下万民、誰一人として貴様らのために動かぬわ!」


「なっ……!?何故……?」


「ふん!」


曹操は嘲笑った。


「あの男は四州を領した時には民を戦乱から救い、一度たりとも募兵をしなかった。さらに黄河の河堤を修復し、以来黄河の水害は減り豊作の年が増えたのだ!この司隷においても李傕、郭汜が略奪を繰り返した時ですら、あの男は民を助けていた!民を主とする政をしていたあの男に、私ですら恥じ入った。だが、貴様らはどうだ?あの手この手で陛下をいたずらに庇護し、陛下を傀儡にせんとしているのは貴様らであろうが!」


「なっ!そ、曹操!貴様ァ!」


「私も喧嘩は好きじゃ!やるなら相手になろうではないか!」


「そこまで!」


「……!こ、これは」


喧嘩がピタリと止まった。御史大夫の楊彪と司隷校尉の司馬防が現れたのだ。


両者の言い分を聞いた後、楊彪が口を開いた。


「うむ、孟徳の言うことは一々もっともである。それに、私も高順に助けられたことがある。あの男はそのような輩ではない」


司馬防も頷いた。


「うむ、確かに、王位を強要したのは腑に落ちないが……あの男ならば何かしらの理由もあろう……」


「はい、お二方……」


私が付け加えた。


「あの男が天下を狙おうなどという野心は持ち合わせておりませぬ。尤も……その才はありますがな!ハッハッハッハ!」


「うーん」


楊彪と司馬防は唸った。


確かにその通りだ。大企業の人事部長と警備部長が現れて、常任理事たちの喧嘩が収まったようなものだ。


この件を手紙で知らせてくれた曹操には感謝しなければなるまい。沿岸一帯の民は一斉に臣従を申し出て、領土は拡大した。竇輔は本当に半島内に押し込まれ、何もできない状態が続いている。


(ぬぅ!何故天下の勇将名臣は皆あの男に付くのだ?あの男こそこの世のペテン師そのものだぞ!?見てろ!私はこの朝鮮帝国を修復し、勢力を築き上げた暁には必ず滅ぼしてやる!)


闘志を燃やす竇輔は、まるで一種の貴種流離譚の主人公のようである。


甘寧の嫌がらせはさらに続き、半島一帯の港の船は全て壊され、修復するには数年かかるらしい。地図を書き足していった。おそらく対馬、竹島辺りまで行ったのかぁ……と私は若干嘆き、帰るように申し出た。


「うむ、興覇を遼州水軍都督に任ずる!遼州内の水軍を全権委任する!」


その後、バカ息子から手紙が届いた。幽州で現地の軍に応募して、今は偏将軍に任じられ、田豫の信任が厚く、羽林軍校尉に推挙されたらしい……。バカ息子!やるじゃん!


父親として喜ぶのはここまでで、返信には「身の程を知り、よく励むように」とだけ記した。だが、その日は身内だけで小さな宴を開き、息子の昇進を喜んだ。


「うむ、尚武が羽林軍の校尉に進んだのは誠にめでたい!それと尚礼、お前は祖父の跡を継げ!姓を蔡に改めよ!」


「はい!」


そして、長女の婉が曹彰に嫁ぐことになったことを話した。


「へぇ……、あの曹家の暴れん坊にねぇ……、良いじゃないか!」


「……、まぁな!本音を言えば寧ろその兄の曹植の方が良かったがなぁ…」


「顔も合わせた事のない二人を…」


「おいおい、俺らだって…」


「殿下?」


「うん、黙る」


「あーぁ、ホント見てらんない!なんであんなに弱いんだろうねぇ?」


「さぁ?」


っるせぇ!鬼嫁だぞ!?昔、一度蔡琰の好きな点心を勝手に食べたことがある……。その際には一晩説教され、寝かけると最初から同じ事の繰り返しだ。苦行僧じゃなきゃ聞いてらんねぇよ!董媛は寧ろ一番楽だ。怒り出したら練武堂で終わらせられる。呂氏は……、普通に何かしらの装飾品を与えてやればその内機嫌は治る。だが、蔡琰はそれらが通用しない……。何故ならば彼女は文化人であり、儒教の教えに染まったからである。そんなもの俺からすれば邪教でしかねぇよ!儒教の思想?ブラック企業の思想とあんまり変わらん、聞こえが良いか悪いかの違いだ!親に孝行して、立派な人間目指しなさいとかは本当に素晴らしいとは思うけど…、他はな…、ほぼどっかのホストと一緒『儒教か儒教じゃないか』だからな〜。


ブラック企業の洗脳の手口はと言うと、目的は新入社員のアイデンティティーを剥奪すること。それまで持っていた自我や自尊心、行動規範を徹底的に破壊することで、会社のどんな命令にも服従しやすい心理状態を作り出すためだ。この事例のように泊まり込みの形で行われるのが一般的だが、上司の前で道行く人に声を掛け続ける「ナンパ研修」、大勢の前でお笑い芸を強要される「お笑い研修」、20〜30㎞の長距離をひたすら歩かされる「ウォーキング研修」など、さまざまなバリエーションがある。(ハックス知らないと損する転職術より抜粋。詳しく知りたい方はブラック企業 手口で検索!)


これに類似するね!論語が素晴らしい本?そりゃそうだ!哲学を盛り込みまくった半自伝小説だからね!現代で言うとインフルエンサーが自伝小説を出しました!皆さん読みましょう!人生こうすると、こうやって考える方が正しいからね!それ以外は邪道よ!って言う洗脳自伝小説だからね!


というのは置いといて!真面目な話をすると暇でしょうがない!なんでかって?内閣府と軍部に指示を出したらやる事が無くなってしまった…。という事で家族と一緒になんかしようとしたら…


次女に声を掛けると 「父上、私ね!今から手習いをしなきゃ行けないの!だからまた今度ね!」 「お、おう!」


次男に声を掛けると 「おう!親父!そこを退け!今から大事な約束が有るからな!」「気をつけて行ってこいよ!」


三男に声を掛けると 「父上、私も兄上のようにとまでは行きませんが高家の男児です!練武、修文どれも欠かせませぬ!」 「いい心掛けだな!」


三女に声を掛けると 「父上!今は姉様の嫁入りについて母上達のお手伝いしています!どうか邪魔しないでください!」 「す、すまん」


四男に声を掛けると 「課題が有るので遊べません」 「が、頑張れ!」


チクショー!家ん中じゃ一人ぼっちじゃんか!クソォ!嫁ぇ〜!


「ほらほら!どいたどいた!」 「殿下!やる事が無いのでしたら、校場でも練武堂でも行ってください!」 「あの…、道を空けてください…!」


まじか!役満頂きました〜!やべぇ、完全に寂しい人じゃん!俺…。


という事で、不貞腐れついでに茶館を開く事にした。


『高堂満座』これが店名だ!暫く、此処でオーナー兼従業員として働く事にした。もう、良いもんね!皆、相手してくれないなら、外行くもんね!


開業初日には、家から大量の茶葉を持って店で開店祝いの格安セールを初めて、金持ってようが持ってまいが関係無く茶を振舞った。だが、此処で問題が一つ生じた…。どの世界にもゴロツキは居るもんだ。


「おい!店主!出て来い!」


「はいはい〜、何でしょう?」


「この茶ァ…、どっから盗んできたんだよ?こりゃぁ一般商人が扱える代物じゃねぇから貰ってくぞ?」


「お客さん…、それじゃあこっちの商売上がったりですよぉ…、ご勘弁ください…、こっちも細々と商売させて貰ってますんで…」


「はぁ!?テメェ、こんな上等な茶葉扱ってるクセしやがって!『細々と商売だァ!〜?』ふざけやがって!」


「…」


途中で俺は思ったね!どの時代も難癖の付け方は変わらないってね!


「おい!なんか言ってみろ!」


そろそろ我慢しなくていっか!ブチギレるか!


「うぉぉぉぉおらあああ!」


見事な蹴りが入り、俺は完全にスタートダッシュに出遅れ、状況を見守るしか無くなった…。チクショウ…、オボエテロよ?


「我が名は張虎!貴様ら!白昼堂々と法を破り、善良な商家を虐めるとはどう言う了見だ!遼王殿下が見逃すと思うか?」


ごめんなさい。本人だけど、滅茶苦茶見逃していました…、はい、すんません。


「ケッ!クソガキがあんまし出しゃばってると痛い目に会うぞ?」


「ふん!やって見ろ!貴様にやれるようじゃ父上や殿下に顔向け出来ん!」


「はん!でけぇ口叩きやがって!」 文字通り一撃必殺だった。


「次はコイツを抜いて相手をしてやるぞっ!」


いやいや、抜剣は不味いよ!ダメだよ虎くん!いや、虎さん勘弁してください!全く男は辛いよ!って俺は何シャレてんだ!そう言う場合じゃない!


「あのぉ…」


「ご安心ください!私は張虎、父は遼州大将軍の張遼、張文遠です!」


「「おぉ〜!」」


「はぁ、将軍府のお坊ちゃんに助けられたのはこちらの幸運ですが…」


「安心して下さい!以後、毎日通わせて頂きます!」


いい子なんだよなぁ…、ちょっとだけ残念な部分も有るけど!


「おう、おっちゃん茶をくれ!喉乾いた!暴れたから…」


お前、最後になんつったよ?


その日は張虎が喝采を浴び何とか経営初日を終えて帰った。


店を閉めて、外に出ると 「よぅ、おっちゃん!送って帰るぜ?」


「あぁ、坊ちゃん…、そんな!」


「いえいえ!私の家は少し離れておりますゆえ…」


「良いって!良いって!任せろ!やる事無いからな!」


うーん、有り難迷惑って言うのは心の内に閉まっとこう!小さな親切、大きな迷惑ってね!


「では、お言葉に甘えて」 道中色んな話をしてくれる気遣いも出来るが、如何せん若すぎる…。


「私の家は直ぐそこを曲がった所ですので…」


「おっ?そうかい!じゃ、またな!」


「はい…、ありがとうございました!」


張虎とその場で解散し俺は、急ぎ王府まで走った!体力はまだある方だけど!俺、もうアラフィフなのよ?辛いわ!


「はぁ…、はぁ…、い、家に着いたぁ…!」


「着いたぁ…!じゃないわよ!何処をほっつき歩けばこんな時間になるんだい?!」


「おう、媛か!婉の嫁入り支度はどうだ?」


「一通り済んだわよ!早く入って寝な!」


「お、おう!」


いやぁ、大変だったけど、ちょっとしたスリルを味わえた!


朝になれば政務と軍務の報告を聞き、俺が錦衣衛に任せて作った地図を元に照らし合わせると、現在の中国の東北三省外の内モンゴル自治区のコルンボイル市、通遼市、赤峰市シリンゴル盟の辺りを領有し、従順な奴隷達と反抗的な奴隷に分けて、前者は牧畜の許可を出し、後者は強制労働を課し使い分けた。更に漢族側にも畜産の奨励を促し、今では食糧難に悩まされる事も少ない。


「今年は遊牧が出来ると胡人が喜び、食料が少しばかり楽になります」


じゃがいもとか有るじゃん!って思うだろ?じゃがいもは南米原産だから!この時代の帆船と航海技術は南米まで行くのは不可能である。考えて見ろよ、コロンブスがアメリカ大陸をどれだけ苦労したかって話しよ!でも、中国には鄭和が居るよね?って言うけど、有れはどっちかって言うと陸続きだからどうにか出来たわけで…、結局アフリカ大陸東海岸まで行けたわけで、逆に太平洋を見てみるとハワイまでの中継地点の様な島が無い、其れに行き着くまでに全滅する。


「炭、鉄の量は多くなりましたので一部を洛陽に送らせて頂きます。其れと、朝廷より塩の量が年々少ない量で送られて来ております…如何なさいますか?」


以上の結論で、じゃがいもなんて高級品は手に入りません!あっ、でもシベリア経由でアラスカに入ってそこからカリフォルニア、メキシコ経由で南米に入れない事も無いか?いや、リスクが高過ぎるから止めよう!


「殿下…?殿下!」 「うん?あ、あぁ!この地の春と夏は短い、長い冬が来るまでに備えられる様に布告を出せ」


「はっ!」


「頼んだぞ!元皓!」


「お任せを…、あっ、塩は…!」


「そ、そうか!塩の件があったな!判った。こっちでも考えるから今はある物でどうにかしてくれっ!」


「はい」


田豊は下がって行った。その後、沮授が高句麗戦線の報告をしてきた。張郃、徐栄、張遼の三人が帯方郡に攻め込んで、全域を掌握、今は治安維持に尽力している。


「そうか、判った。良くやった!儁乂に帯方を任せる。玄鉄は一旦後方に退がり、楽浪で儁乂の支援を頼む!」


「では、大将軍はどちらに?」


「文遠は…、一旦此方に戻るように伝えよ」


「はっ」


沮授は退がり、屏風の裏から賈詡が登場した。


「出てきたか、どう思う?」


「どうにも?ですが、広げ過ぎた領土はどうするおつもりで?」


「其処よ!」


「此処は…何人かの将軍を派遣し、拡げた領土の哨戒に出る方が宜しいかと?」


「判った。引き続き沮授を助けてやれ」


「はっ…!」


さて!やる事が無くなった!茶館に向かうか!


「王妃は何処だ?」


「今は…、大郡主の方へ…」


「うむ!判った」


「王妃!いいか?」


「はい、どうされました?」


「あぁ、儂は今日一日中外に出ておるから何か有れば帰ってきた時に頼むぞ」 「…、お気を付けて」


「うむっ!では行ってくる!」


今日の俺は馬で出て、更に茶館に向かうと案の定チンピラが居る


「よう!おめぇらも懲りねぇな!」


「はん!クソガキッ!この間は遅れを取ったが今回はそう簡単に行かねぇぞ?」


前回は七、八人程度だったが今回は三十人ばかし出てきた。こりゃぁ流石に分が悪いな…!手伝うか!


「おい!ゴロツキ共!前回は下手に出たが、今日は許さんぞ?」


「あぁ?」


「おいおい…、たかが茶売りにやられたら俺たちゃこの界隈でやってけねぇんだよ!」


「おい、お前は知らねぇと思うが、俺たちの兄貴はな!昔、黄巾の乱で立派に戦ったお人なんだよ!」


「賊に従ってか?」


「…!」


「それだけじゃぁねぇ!かの逆臣董卓を討つ際には酸棗で賊軍と戦ったんだぜぇ?どうだ!ビビったか!」


「おい、見ろよ…、震えてるぜ?」


うん、震えてるよ!笑いを堪えるのになっ!


「ククク!クァーハッハッハッハッ!あー久々に笑ったわ!」


「あんだと!?」


「おう、貴様らには降参だ!笑い殺さちゃ敵わん!ハハハハッ!」


「おっちゃん!余裕ぶっこいてる場合じゃねぇよ!」


「世侄!安心しろ!こいつらなんざ、すぐに片付く!」


そういうと俺は近くで杖を売ってる人の前まで行き


「すまんが、杖を一本売って貰えないか?」


「え、えぇ…、十六文に成ります…」


「あいにく、金は持っておらん、後でウチの茶を好きなだけ飲んでくれ!」


「ケッ!んな杖を持ったところで相手になりゃあしねぇよ!」


「ふん!」


高順は杖を槍に見立てて先ず杖先で一人目を突き、左右に振り杖のしなりで二人、三人と打ち払い、四人目は杖先で円を描いて惑わせた後一突き、五人目は真後ろにスライドする感じに又突く、更に縦に弧を描いて六人目を叩く、その後は杖のしなりを使って倒したり遠ざけたりだったが、人数が多い。


高順は張虎の方に目をやると押され気味だった。


張虎が押された理由は高順に世侄と呼ばれたからである。戸惑った。その筈である。


(へ?父上は商人とも付き合いがあるのか?でも何故俺の事を知っている?)


そんな事を考える余裕をゴロツキが与える訳もなく、襲いかかった。傍から見れば不意打ちだが、呆けていた張虎も悪いさらに言えば、余計な事を言う高順が元凶である。張虎も杖売りの商人から杖を受け取り、父親譲りの武芸を披露する。だが、多勢に無勢故杖を真横にして数人分の攻撃を受け止め、ゴロツキと互いに身動きが取れないで居た。


高順は仕方なさそうな表情で腰周りに杖で半円を描き、ゴロツキと間合いを取った後で、杖を短く持ち数人を叩いた。


「ガキが無茶すんじゃねぇ!」


「けど!」


「気にすんなっ!殺人じゃねぇんだからよォ!」


仕切り直しに間合いを取り第二波が来ると思ったが、六扇門の人間が来た。


「私は六扇門の班頭の沈降であるッ!双方そこまで!」


ゴロツキ達は既に疲れ果ててやる気は出なかった。


「はぁ…、はぁ…、た、助かった!」


取り囲んでる野次馬たちは次々と自分の言いたい事を言い出した。


「何十人がかりで茶館のオヤジと出しゃばる子供相手になぁにやってんだか!」


「ホントよ!今度からはそのでかいツラで歩かないで欲しいわね!」


「大丈夫だ!ツラがデカイのはいつもの事だろ?」


「まぁ、弱いって言うのは判明されたな!」


「「ハハハハハハハハッ!」」


ゴロツキ達は恥入り、顔を赤らめて怒りに満ちていた。


「全員牢に引っ立てよ!」


張虎は家に帰ったらなんて言われるか判らんって言う困る顔をして、俺も牢で政務をこなすつもりは無いからどうしようかと迷っていた。


「縄に付け!」


野次馬達は軍隊並みの連携で全員その場から居なくなった…。この野郎!こういう時は目撃者が大事なんだよっ!


「コラ!貴様!縄につかんか!」


「なぁにほざいてんだッ!こんのやろう!毛暉を呼んで来い!」


「貴様!六扇門の総捕頭の名をっ!」


「喧しい!呼んで来やがれっ!呼ば無かったら此処は動かねぇからなっ!」


「貴様ァ!」


「おう!やって見やがれっ!」


其処で暴れかけたが、毛暉が現れた。


「あっ、総捕頭!此の野郎が!」


だが、怒られたのは発言した方だった


「貴様ッ!おい、貴様ら遼王殿下の御前なるぞ!早く跪かんか!」


「「はっ?」」


「へ?」


「はァっ!?」


「おっちゃん!う、嘘だろっ!?」


「わりぃな!バレちったかぁ〜…」


バレた。身バレした。だが、それはそれで助かった。ゴロツキの中には何人か気絶した。


「嘘だぁ!そんなもん騙されねぇぞ!」


「…、殺してやる!」


「待て!」


「しかし…!」


「たかが平民が俺の顔を知ってる方がおかしかろう?」


「其れはそうですが…!」


「…、どうする?」


「どうって言われましても…」


知らねぇよ!すっとぼけた顔をしやがって!


「とりあえず、コイツらしょっぴけ!」


「はっ!」


ちょうど、その頃、張遼が帰還命令によって侯城に帰ってきた。


「殿下っ!?殿下では有りませんか!此処で何をっ!?」


「お、おう、文遠!早かったな!?」


あっ、裏返った。まぁ、良いや。


「…、貴様!何処へ行くっ!留まらんか!」


「はっ、ち、父上、お帰りなさいませっ!」


「貴様、悪さをして居らんだろうな?」


「いえ…」


「おい、文遠、気にするな!虎児も俺が巻き込んだようなもんだ!落ち着け、なっ!?」


「…」


「しかし…、殿下はこのような所で何を?」


「ん?あ、あぁ、暇潰しに茶館でも開いてやろうかと…」


「茶館ですと…?」


「ぶ、文遠、落ち着け…、頼むから!」


落ち着け!ホントにっ!


「貴様ッ!逃げるでない!それでも漢か!」


「ち、父上〜…」


「黙れっ!言い訳などみっともない!」


おぉ〜、厳しいなぁ…。


「おい、文遠、虎児はもう俺の護衛だぞ?虎児を叱るのは家にしとけ、此処では俺も叱られてるのと同じだぞ?」


「…、はっ、申し訳ございませんでした…」


「う、嘘だろ?あの父上を?一言で?」


張虎は高順に憧れを抱き始めた。


「まぁ、そういう事だから奥方にもそう伝えてくれ!」


「はっ!畏まりました」


「さて、虎児!行くぞ」


「お、おう!じゃ無くて…はっ!」


「お、おっちゃ…じゃ無くて!で、殿下!」 「おう、どうした?」


「うちの父上はあんなんじゃ誤魔化されないですよ?」


「なら、本当にすれば良かろう?」


「え?」


「職権乱用じゃ!」


「えっ!」


「虎児よ、俺は誰だ?」


「遼王殿下…です」


「そうだ!だから黙って付いて来い!」


「はい!」


一緒に王府まで行き、王府私兵の責任者の高雅に話を通した。


「おう、新人を連れて来た!頼んだ!」


「そ、そんなっ!素性も知らないのにですか?」


「フッフッフッ!聞いて驚くなよ〜?文遠の息子だ」


「なっ!?」


「うん、そういう事だ!」


「はっ!では、付いて来い!」


「違う!お前はこいつの名前を名簿に書けばいい!こいつは俺の身辺警護を任すつもりだから!」


「はっ!」


「お前もやる事無いだろうから、兵を連れて周囲を回って来い!」


「しかし…!」


「勘を鈍らせるな、お前は将軍だ、腐るな!」


「はっ!」


ほぅら顔と声に出てやがるっ!まぁ、息抜きついでに行ってこい!


「虎児!そういう事だから頼むぞ!」


「はっ!」


「じゃ、顔合わせにでも行くか!」


「しかし…」


「護衛のお前が顔を見せないなら殺されても文句は言えんぞ?」


「はっ」


顔合わせは済ませ、其れからは何時ものようにして、何時ものように茶館を開き、何時ものように虎児を連れ回した。


茶館での騒動も一段落したある日、俺は側近たちと会議を開いていた。領土が拡大したことに伴い、辺境の警備体制の見直しが必要となっていたのだ。


「現状、辺境の巡邏は十日に一度となっておる」と田豊が報告する。「しかし、領土が広がった今、これでは不十分であろう」


賈詡が頷く。


「ええ。特に北東の地域では、異民族の小規模な襲撃が増えております。農民や遊牧民への被害も出始めておりますゆえ、早急な対策が必要でございます」


地図を広げ、辺境の状況を確認した。


「うむ……ならば、巡邏の頻度を増やすとともに、こちらからも積極的に出向いて見回りを強化する必要があるな」


そこで私はある決断を下した。


「よし、わし自らが出向く。そうすれば、実際の状況をこの目で確かめられる」


側近たちは一斉に反対した。


「殿下自らが危険な辺境へ出向かれるなど、もってのほかでございます!」「もしものことがあれば、この遼州はどうなるとお思いですか!」


しかし、私は意を決していた。


「ふん、たかが辺境の見回りごときで、わしが危険に晒されると思うか?むしろ、わしが自ら出向くことで、兵士たちの士気も上がるというものだ」


そして、ふと傍らに控える張虎を見やった。


「虎児、わしについて来い。良い勉強になるぞ」


張虎の目が輝いた。


「は、はい!喜んで!」


こうして、私は張虎を伴い、辺境の巡邏に向かうこととなった。


数日後、私たちは数十騎の手勢を連れて辺境の草原地帯を進んでいた。広大な草原は一見平和そのものに見えたが、所々に異民族の襲撃の痕跡が残っていた。


「殿下、あちらに見えるのは、先週襲撃に遭った遊牧民の集落です」


先導の兵士が教えてくれた。


集落には焼け焦げたゲルが残り、どこか寂しい雰囲気が漂っていた。生き残った住民たちは、私たちが到着すると警戒しながらも、ひれ伏した。


「お前たち、心配するでない」


私は声を掛けた。


「これより、この辺境の警備を強化する。もう二度とこんなことが起こらぬようにな」


その時である。遠方から馬の蹄の音が響いてきた。見ると、数十騎の異民族の戦士たちが、こちら目がけて突進してくるではないか。


「敵襲だ!」


張虎が叫んだ。


「落ち着け、虎児」


俺は冷静に命じた。


「全員、陣形を組め!わしの指示に従え!」


訓練された遼州兵たちは素早く防御陣形を整えた。俺は張虎を傍らに呼び


「見ていろ、虎児。戦いとはまずは冷静さだ。そして、敵の弱点を見極めることだ」


異民族の騎兵たちは鬨の声を上げながら突撃してきた。その数、おそらく五十騎ほどか。こちらの倍以上の兵力である。


「弓隊、準備!」


俺の指示で、弓隊が一斉に矢を構えた。


「敵が射程距離に入るまで待て……今だ!放て!」


一斉射撃が異民族の騎兵たちを襲った。数騎が馬から転落するが、彼らは速度を緩めない。


「槍隊、前方に出よ!騎兵の突撃を食い止めろ!」


槍隊が前方に陣取り、長い槍を構える。異民族の騎兵たちはそれでも突撃をやめない。


「殿下、右翼からも敵が!」


兵士の一人が叫んだ。


見ると、さらに十騎ほどが側面から迫ってきている。挟み撃ちにするつもりだ。


「虎児、お前は右翼の敵を防げ」


俺は命じた。


「わしが与える十騎を連れて行くのだ。できるか?」


張虎は緊張した面持ちでうなずいた。


「はい!任せてください!」


俺は微笑んだ。


「良い心構えだ。だが、無理はするな。わしがすぐに援軍を向かわせる」


張虎は十騎を率いて右翼に向かった。私は残りの兵士たちを指揮し、正面の敵と対峙する。


「よくもわしの領土を荒らしたな!」


俺は叫んだ。


「今日という日、お前たちの蛮行に終止符を打ってくれるわ!」


戦闘は激しく、また長引いた。しかし、遼州兵の規律と訓練は、数の不利を補って余りあった。俺は自らも槍を揮い、敵兵を何人も斬り伏せた。


右翼では、張虎が苦戦しながらも十騎の兵士たちを巧みに指揮し、敵の側面攻撃を食い止めていた。若いながらも、父張遼譲りの武勇と指揮官としての素質を見せている。


「よし、それではわしからも仕留めに行くとするか」


私は馬を駆り、敵のリーダーらしき男に突進した。彼は大きくて強い男だったが、私の剣の前に為す術もなく倒れた。


リーダーを失った異民族の兵士たちは動揺し、やがて撤退を始めた。


「追撃するでない!」


私は兵士たちを制止した。


「これ以上の血を流す必要はない。」


戦闘が終わると、私は張虎の元に向かった。「虎児、やったぞ。よくやった」


張虎は汗と塵にまみれながらも、誇らしげに胸を張った。


「はい!殿下のご指導のおかげです!」


私は彼の肩を叩いた。


「お前の父もきっと誇りに思うだろう。今日のことはしっかりと報告しておく」


辺境からの帰還後、私はさっそく三人の妻たちに今回の出来事を話した。すると、彼女たちの反応は予想外のものだった。


董媛はまず、張虎の武勇を褒め称えた。


「虎児、よくやったな!さすがは文遠の子だね!アンタ、ぜひとも褒美を与えてやりな!」


次に蔡琰が口を開いた。


「ですが、何よりも殿下ご自身がお怪我なくお帰りになられたことがなによりでございます。しかし……今後は 危険なことにはお出かけになりませんよう、お願い申し上げます」


最後に呂氏が、そっと私の袖を引いた。


「殿下、お疲れでしょう。ゆっくりとお休みになってはいかがですか?私が心配して用意していただいた人参湯がございます」


三人の妻たちの心遣いに、俺は胸が熱くなった。


「すまぬな、心配をかけたようで。だが、今回のことで辺境の状況もよくわかった。これからはより効果的な警備体制を築けるであろう」


董媛は力強くうなずいた。


「お任せください。兵士たちの訓練もさらに強化いたします」


蔡琰は優しく微笑んだ。


「それでは、殿下のご無事を祝して、今夜は少しばかり宴を開きましょうか」


呂氏は嬉しそうに肯いた。


「では、私も美味しい料理をたくさん用意いたしますね」


高順は三人の妻たちを見つめ、深く息を吸った。


「……ありがとう。わしは本当に幸せ者だ。こんなにも心強い妻たちに恵まれてな」


こうして、辺境での小さな戦いは、かえって家族の絆を深める結果となったのである。しかし、この平和も長くは続かない。遠くでは、さらに大きな戦乱の足音が近づいていたのだが、それはまた別の話である。

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