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第二十八回 熊孩子從軍挨罵 賊寇投軍遭冷落

さて、鮮卑征伐の後の話となろう。北の大地は漢の支配下に入り、その広大な領土は新たな治理を必要としていた。高順は遼王として、この地の安定と発展に心血を注ぐのである。


まずは鮮卑や烏桓の民の扱いである。彼らを単なる被支配民族とするのではなく、漢の民として統合する方針を採った。ただし、そのためには一定の制限と指導が必要である。農耕と牧畜を主たる生業とさせ、工商は漢族が担うという住み分けを図ったのである。これは民族間の衝突を防ぎつつ、経済的発展を促すための措置であった。


田豊ら文官たちは当初、この政策に難色を示した。異民族を同等に扱うことへの懸念からである。しかし高順は言うと。


その言葉に、田豊らも納得せざるを得なかった。



さて、話は変わり高順の家庭の事情である。勝手に従軍した息子たちへの対応は、遼王としても父親としても頭の痛い問題であった。戦場で功を立てたとはいえ、親の許可なく行動したことは譲れない点である。


高順が屋敷に戻ると、早速二人の息子を呼びつけようとした。が、すでに影はなく、妻董媛の元に逃げ込んでいたのである。


「出てこい!このバカ息子どもめ!」


高順の怒声が屋敷に響き渡る。しかし、応えるのは妻董媛であった。


「何て大声を出しているのですか?子供たちは恐怖で震えていますよ!」




「お前も甘やかすな!あのバカ息子たち、勝手に戦場に出やがって!万一のことがあれば、どうするつもりだったのだ!」


「しかし、無事に帰ってきたではありませんか!それに、立派に功も立てたと聞いていますよ!」


「功などどうでもよい!命令無しの行動は軍律違反だ!それが我が子であればなおさらだ!」


二人の言い争いは次第に熱を帯び、ついには董媛が刀を手に取る騒動となった。高順は必死に説得しようとするが、武芸の達人である妻の剣幕は簡単には収まらない。


「手合わせいたしましょう!あなたの本気度、見せてみなさい!」


「馬鹿を言うな!夫婦げんかに刃物はないだろう!」


その騒動を聞きつけ、蔡琰が駆けつけてきた。彼女は冷静に状況を見極め、まず董媛を落ち着かせると、高順に向かって言った。


「殿下、お怒りはごもっともですが、まずはお落ち着きください。子供たちのことは、私がしっかりと話を聞きました」


蔡琰は息子たちが父の威光に憧れ、なんとか認められたいと思っての行動であったことを説明する。しかしながら、無断での従軍が如何に危険であったかも厳しく説いたのである。


「確かに罰は必要でしょう。ですが、その心遣い自体は誉めるべきではないでしょうか」


高順はしばし考えた後、深いため息をついた。


「⋯⋯わかった。しかし、軍律は守らねばならん。向こう五年間、軍務に就くことを禁ずる。その間は学問に励め」


こうして息子たちは謹慎処分となったのである。高順はその後、彼らに孫子の兵法を教え、自らも「三十六計」をまとめ始めた。


三十六計の編纂は、高順の長年の戦いの経験と、後世の知識を融合させたものだった。彼は蔡琰とともに原案を作成し、それを田豊ら智謀の臣たちと検討していった。


「これは⋯⋯実に興味深い」


田豊は三十六計の草案を読み、驚嘆の声を上げた。


「殿下の深謀遠慮には、ただただ感服するばかりです。これら三十六の計略は、将来の兵法書として後世に残るべきものでございますな」


賈詡だけは、しかし、少し違った見方をしていた。彼は高順がこれら計略の「発案者」であることに、一抹の疑問を抱いていたのである。だが、それを表立って指摘するような男ではない。寧ろ、この機会を利用して、自身の策をより効果的にする方法を考えていた。


「殿下、南方の情勢についてご懸念をお持ちのようですが⋯⋯」


賈詡はそう切り出し、竇輔率いる新興勢力「朝鮮帝国」に対する包囲網の完成度を高める策を提案したのである。


高順は賈詡の進言を受け、経済封鎖をさらに強化する。海上交易の完全な遮断、鉄や塩などの重要物資の禁輸、そして高価な奢侈品の流入を許さない政策である。


これにより、朝鮮帝国は次第に追い詰められていった。国内では物資不足が深刻化し、通货膨胀が発生。民衆の不満は高まり、貴族たちの間でも動揺が広がっていた。


そんな折、一人の男が遼東を訪れる。甘寧、甘興覇である。元は长江一帯で暴れ回った水賊の頭目だったが、その武勇と才覚を見込まれて、高順の麾下に入ることを志願してきたのである。


しかし、その態度は甚だしく無礼であった。王府の門前で大声を上げ、遼王に直に会うことを要求する。役人たちが内閣府へ回すよう指示しても聞かず、ついには騒動を起こしてしまう。


「てめえらごときが、俺様を門前払いしようってのか?この甘寧様をなめんじゃねえ!」


その騒動を聞きつけた賈詡は、状況を冷静に分析した。甘寧の粗暴な振る舞いには問題があるが、その武勇と水軍指揮能力は評価に値すると判断する。彼は田豊らを制し、自ら甘寧たちを客間に招き入れた。


「どうかご立腹なさいますな。役人たちの対応の不行き届きでございます。さあ、まずは一息入れてくださいませんか?」


賈詡は酒と肉を振る舞い、甘寧たちをもてなした。その巧みな対応に、さすがの甘寧も次第に態度を軟化させていく。


「おう、すまんかったな。てめえはなかなかやるじゃねえか」


「とんでもありません。殿下もすぐに戻られます。しばしお待ちくださいませ」


かくして甘寧は高順に仕えることとなり、その水軍指揮能力を遺憾なく発揮することになるのであった。







第二十八回 熊孩子從軍挨罵 賊寇投軍遭冷落


北の奥地、其れは俺の中ではシベリア付近と認識している。


まぁ、こうなるとモンゴル高原は漢の土地と成った。何故こうしてまで拘るかって?そりゃあ、後の時代がどうなったかと後顧の憂いって言うのを取り除く為かな?


「さて、緑ある土地に足を踏み入らせないという事で決着したからなぁ…」


攫って来た労働力を上手く活用しよう!スターリングラード攻防戦のようにね!って言うのは嘘で、主に農耕、放牧を鮮卑、烏桓にやらせて、工商は漢族にと言う上手い事分けた。


「力をつけさせすぎれば漢に仇なすこともあろう。だが、力を奪いすぎれば反乱の種となる。適度な管理と教化こそが、長い平和をもたらすのだ」


田豊らも流石に酷いと言うが、奴に力をつけさせたら其れこそ漢が滅ぶぞとやんわり言ったらしゃあないなって顔してた。


「さて、鮮卑も服従した事だし諸先生方は暫く民政に注力してくれ、諸将も暇があると思うなよ?六扇門と力を合わせて治安維持に協力する様に!」


「「はっ!」」


「殿下、お話が…」


「うん?」


「この度、大公子の功が頭一つ抜きん出ております。此処は何卒!」


「ふん!あやつに何の功が有ると言うのだ?国家の為、ましてや親への孝行の為である。其れに勝手に従軍して居る事自体が罰するに値すると言うのに何が賞せよだ!」


「し、しかし!」


「諸将の軍功、諸先生の政蹟無くしてなしえぬ事だ!お前達の口から出た大公子と言うのは俺の息子である。これは我が家の家法で処分致す!」


「「…」」


バカ息子め!お前に何かあったら母親に顔向け出来んであろうが!だからきちんと学問を修めろってあれ程口煩く言ってんのによォ!


かくして北の大地には、漢の制度が導入され、街道が整備され、城塞が築かれた。鮮卑や烏桓の民には、一定の自治を認めつつも、漢の官吏による監督を徹底した。また、漢族の農民や工匠を招致し、新たな町々を建設していったのである。


暫く歩くとやっと我が家に着き、家に着くなり高順は怒りを顕にした。


「おい!バカ息子出てきやがれ!」


「…!は、早く逃げな!」


「母上…」


「此処はアタシに任せな!あんたは琰妹のとこへ!早く!」


「其処か!」


董媛は眉を吊り上げ、高順を睨みつける。彼女は元々武芸に秀でた女性である。その眼光はさながら戦場の将の如く鋭かった。


「何て大声を出してんだい?子供たちは怖がってるよ!」


「お前も甘やかすな!あのバカ息子たち、勝手に戦場に出やがって!万一のことがあれば、どうするつもりだったのだ!」


「しかし、無事に帰ってきたじゃないか!それに、立派に功も立てそうじゃないか!」


「功などどうでもよい!命令無しの行動は軍律違反だ!それが我が子であればなおさらだ!」


二人の言い争いは次第に熱を帯び、ついには董媛が刀を手に取る騒動となった。高順は必死に説得しようとするが、武芸の達人である妻の剣幕は簡単には収まらない。


その刹那に二刀が此方に斬り掛かってくる!


「おい!夫婦といえどもこれは頂けぬぞ?」


「はん!流石遼王だね!久々に付き合いな!」


「おい!」


ざけんな!此方は丸腰だぞ!?アホか!


「手合わせなら後で付き合ってやる!今は尚武を出せ!」


過激な夫婦喧嘩の最中に高景は母である蔡琰の下に駆け付けた。


「母上!お助け下さい!」


「あらあら、忙しい子ね!どうしたの?」


「ち、父上が…!」


「あら?また戦なの?」


「い、いえ、その…」


「はっきり言いなさい?」


高景は勝手に従軍した事を詳細に説明し、これには蔡琰も怒りを隠せないが、先ずは夫の怒りを鎮め無ければ息子が死ぬかも知れないと理解っているからこそ、息子を一応隠した。


「それで?父上は何方に?」


「恐らく…、まだ媛母上と…」


「判ったわ。此処に居なさい」


「はい…」


その頃、高順は董媛に殺されかけて居たが、何とか練武堂に逃げ込み槍を手に取りどうにか二刀を防ぎ、どうにか落ち着いた。


「はぁ…、はぁ…、殺す気か!」


「アンタ、そんなんで良く戦場にでてたね!恥ずかしくないのかい!?」


「っるせぇ!」


蔡琰は高順達が練武堂に居ると聞きそっちへ向かった。


その騒動を聞きつけ、蔡琰が駆けつけてきた。彼女は冷静に状況を見極め、まず董媛を落ち着かせると、高順に向かって言った。


「そこまでです!殿下、お怒りはごもっともですが、まずはお落ち着きください。子供たちのことは、私がしっかりと話を聞きました」


「むっ!昭姫か!良い処に来た!」


「あら、そうですか?」


「おう!バカ息子を呼んで来てくれ」


「呼びませんよ」


「なっ!?」


「勝手に従軍した事は褒められた事では有りませんが、罰する程の事でも御座いません。其れに、これは妾身の指導にも不足がございました」


「…!」


「わ、判ったよ!判ったから!頭上げてくれ!」


「では、お許し頂けると?」


ははーん?判ったぞ!


「お前の指導不足は許すが、あ奴は許さん!」


「…、そうですか、ならば止めは致しません。ですが、我が子の身に何かあれば…」


「判ってるよ、俺の子でもあるんだ!内心は嬉しいが、アイツはまだ加冠にも至っておらんのだぞ?其れに、弱冠に見たぬ年で戦に出るなぞ…」


「其れは、罰せねば成りませんね」


「だろ?」


「えぇ!呼び出しましょう!」


ふぅ〜、何だろ?妻の怒りを息子に向けてるようで罪悪感が湧いて来た。まぁ、やらかした息子が悪い!


「尚武!出てきなさい!」


「は、母上」


「其処に膝を着きなさい!」


「…」


其処から俺が罰するに忍びない程である。


「景よ、顔を上げなさい。父上の怒りが収まったからと言って、貴方の過ちが消えたわけではないのですよ」


「……はい、母上」


「貴方は、父上の威光に憧れ、認められたいという思いから行動した。その志自体は母も理解できます。しかしね……」


蔡琰は深く息をつくと、ゆっくりと語り始めた。


「無断で従軍することの危険性を、貴方は全く考えていなかったのですか? 万一、貴方が戦場で命を落としていたら? 父上や私、媛母上がどれほど悲しむか。将兵たちにどれほどの迷惑がかかるか。たとえ功を立てようとも、命令無視の行動は他者の犠牲の上に成り立つことが多いのです」


高景は俯いたままだが、蔡琰の言葉は彼の胸に刻まれていく。


「兵とは不祥の器なり、と古人も言いました。武力は慎重に扱わなければならない危険な道具です。それを軽率に振るうことは、自分自身だけでなく、周囲をも危険に晒すことになる。貴方は遼王の子として生まれた以上、一個人の感情だけで行動することは許されないのです」


蔡琰の説教はさらに続く。歴史上有名な戦いの例を引き、将帥の責任の重さ、命令系統の重要性を説き、時には古典の一節を引用しながら、高景の行動が如何に軽率であったかを延々と語った。その口調は冷静ながらも、熱意と憂いが込められており、高景はただうなだれて聞くしかなかった。


「……ですから、これからは学問に励み、己を磨きなさい。父上がおっしゃったように、五年間は軍務から離れるのです。その期間を、将帥として、人として成長するための時としなさい」



「殿下、殿下からも…」


「ん?あ、あぁ、オホン!バカ息子、お前は従軍したのにも関わらず、この期に及んで逃げようとでも?」


「父上…」


「うむ、お前には向こう五年、軍に属する事を許さん!良いな!」


「しかし!私も功を立てました!」


「ほーぅ?許し無く従軍した罪は?」


「…!」


「尚武、苦しい事は他人に良い事は独り占めと言うのがダメだと言っておるのだ。将たる者のやる事では無い」


「しかし…、私は五年は軍に属せないのですから…」


「アホウ!学べ!」


「はい…」


俺は筆を取り出し、孫子の兵法(曹操や他の人が注訳済みのバージョンだけど)の五徳五危を書き出した。


故經之以五事、校之以計、而索其情、一曰道、二曰天、三曰地、四曰將、五曰法。 將者、智、信、仁、勇、嚴也、此為五徳。故將有五危、必死可殺、必生可虜、忿速可侮、廉潔可辱、愛民可煩。


「これを理解しろ。良いな!」


「はい…」


謹慎処分となった高景は、父から課された孫子の兵法、特に「五徳」(智、信、仁、勇、嚴)と「五危」(必死可殺、必生可虜、忿速可侮、廉潔可辱、愛民可煩)の習得に励むこととなった。


彼は毎日、書斎に籠もっては原文と注釈を読み耽り、時には蔡琰や学問に詳しい家臣に質問をしながら理解を深めていった。


「智、信、仁、勇、嚴……知恵、信義、仁愛、勇気、厳格さ。将帥に必要な五つの徳……」


高景は一つ一つの徳について自分なりの解釈をノートに書き留めていく。特に「仁」と「嚴」のバランスについて悩み、何度も蔡琰と議論を交わした。


「母上、『仁』を持って兵に接すれば、つい甘くなりがちではありませんか? かといって『嚴』ばかりでは兵の心が離れてしまう。この矛盾をどう解けばよいのでしょう?」


「良い質問ですね。『仁』とは溺愛ではなく、兵を思いやる心。『嚴』とは冷酷さではなく、律する心。つまり、兵の生命を慈しみながらも、規律を守らせることで、真の意味で彼らを守ることになるのですよ」


一方、「五危」の学習では、自身の性格の危うさに気付かされる。


「必死可殺(死を恐れなければ討たれやすい)……私は今回、危険を顧みず戦場に赴いた。まさにこれに当たるのではないか……」


「必生可虜(生に執着すれば捕虜にされやすい)」


「忿速可侮(短気ならば侮られて挑発に乗りやすい)」


「廉潔可辱(潔癖すぎれば辱められやすい)」


「愛民可煩(民を愛しすぎれば煩わされやすい)」


高景はこれら五つの危険性が、将帥の判断を誤らせ、軍を敗北に導くことを学び、自身の行動を深く反省した。時に父である高順も顔を出し、実戦の経験を交えながらこれらの教えを解説し、息子の成長を見守った。


こうして高景は、謹慎という苦い経験を通じ、兵法や為政者のあり方を深く学び、一人の将帥として、そして一個人として着実に成長していくのであった。

まぁ、其れと俺自身が優れた将軍としてこの時代よりもう少し後から登場する兵法三十六計が登場する。俺は其れを書き出して妻に校正をお願いした。


〖勝戦計〗


第一計瞞天過海、備周則意怠、常見則不疑。陰在陽之內,不在陽之對。 太陽,太陰。


第二計圍魏救趙、共敵不如分敵、敵陽不如敵陰。


第三計借刀殺人、敵已明、友未定、引友殺敵。不自出力、以損推演。


第四計以逸待勞、困敵之勢、不以戰。損剛益柔。


第五計趁火打劫、敵之害大、就勢取利、剛決柔也。


第六計聲東擊西、敵志亂萃、不虞。坤下兌上之象、利其不自主而取之。


〖敵戰篇〗


第七計無中生有、誑也、非誑也、實其所誑也。少陰、太陰、太陽。


第八計暗渡陳倉、示之以動,利其靜而有主、益動而巽。


第九計隔岸觀火、陽乖序亂、陰以待逆。暴戾恣睢、其勢自斃。順以動豫、豫順以動。


第十計笑裡藏刀、信而安之、陰以圖之。備而後動、勿使有變。剛中柔外也。


第十一計李代桃僵、勢必有損、損陰以益陽。


第十二計順手牽羊、微隙在所必乘、微利在所必得。少陰、少陽。


〖攻戰計〗


第十三計打草驚蛇、疑以叩實,察而後動。复者,陰之媒也。


第十四計借屍還魂、有用者、不可藉、不能用者,求借。借不能用者而用之。 匪我求童蒙,童蒙求我。


第十五計調虎離山、待天以困之、用人以誘之、往蹇來返。


第十六計欲擒姑縱、逼則反兵、走則減勢。緊隨勿迫、累其氣力、消其鬥志、散而後擒、兵不血刃。需,有孚,光。


第十七計拋磚引玉、類以誘之、擊蒙也。


第十八計擒賊擒王、摧其堅、奪其魁、以解其體。龍戰於野、其道窮也。


〖混戰計〗


第十九計釜底抽薪、不敵其力、而消其勢、兌下乾上之象。


第二十計混水摸魚、乘其陰亂、利其弱而無主。隨、以向晦入宴息。


第二十一計金蟬脫殼、存其形、完其勢、友不疑、敵不動。巽而止蠱。


第二十二計 關門捉賊 小敵困之。剝、不利有攸往。


第二十三計 遠交近攻 形禁勢格、利從近取、害以遠隔。上火下澤。


第二十四計假道伐虢、兩大之間、敵脅以從、我假以勢。困、有言不信。


〖並戰計〗


第二十五計 偷梁換柱 頻更其陣,抽其勁旅,待其自敗,而後乘之。曳其輪也。


第二十六計 指桑罵槐 大凌小者,警以誘之。剛中而應,行險而順。


第二十七計 假癡不癲 寧偽作不知不為,不偽作假知妄為。靜不露機,雲雷屯也。


第二十八計 上屋抽梯 假之以便,唆之使前,斷其援應,陷之死地。遇毒,位不當也。


第二十九計 樹上開花 借局布勢,力小勢大。鴻漸於陸,其羽可以為儀也。


第三十計 反客為主 乘隙插足,扼其主機,漸之進也。


〖敗戰計〗


第三十一計美人計 兵強者,攻其將;將智者,伐其情。將弱兵頹,其勢自萎。 利用禦寇,順相保也。


第三十二計 空城計 虛者虛之,疑中生疑。剛柔之際,奇而復奇。


第三十三計 反間計 疑中之疑。比之自內,不自失也。


第三十四計 苦肉計 人不自害,受害必真。假真真假,間以得行。 童蒙之吉,順以巽也。


第三十五計 連環計 將多兵眾,不可以敵,使其自累,以殺其勢。在師中吉,承天寵也。


第三十六計 走為上 全師避敵。左次無咎,未失常也。


後に【遼王兵法】と呼ばれる事になり、高順は一大兵法家として後世の多くの文臣武将の畏敬の念を持たれる事になったとかならなかったとか。


「殿下…」


「ん?どうした?」


「妾身は戦の事がよく分かりませんので…、判る者に代わっていただけませぬか?」


「うーむ、わかった。田豊らに任せよう!ありがとな!」


「はい…」


「寝るか!」


その日はそのまま就寝した。次の日には遼州内閣府らはこれを見て素晴らしい!と褒めそやしたが、唯一人だけ疑念を抱いている者が居た。言うまでも無い賈詡さんである。


「今日の会議はここまでか?ならば退散しよう!其れと文和先生は残る様に!」


「「はっ!」」


「…」


「…」


「先生」


「…、何か…?」


「お独りだけ、別の事を考えてる様でしたのでお答え頂ければ…」


「将軍の傑作に何かを言う野暮な事は致しませんので…」


「ケッ!やっぱあんたの目は誤魔化せねぇか!」


「お判りに?」


「まぁな!アンタは一人だけ影が濃いからな!」


「…、ふ、ふふふ、ははははは!流石は殿下、判って居られる…」


「さて、俺もやる事が有るのでな!先生、南方は好き勝手やってくれ」


「…、はっ…」


そういう事だ。流石は曹魏王朝影の元勲である。コイツにどう抗うか見せてもらおうか、竇輔とやらよ。ココ最近、恐ろしく南側が静かである。少しずつ削り、遂には半島内に奴らを押し込んだ。或る意味、自分に蠱毒を掛けて居るようなものだ。


竇輔は徐々に半島内の敵国を吸収して行き、高句麗は昔程の栄光は無いが、国名を高句麗から朝鮮帝国を作り上げていた。国力は漢の百分の一程度の帝国だ。何でこうなったか?そりゃあ俺が陰湿な虐めを…オホン!海上封鎖、貿易禁止令を出し泡く銭有れども使い所が無い!そして、重税が重なり朝鮮帝国はハイパーインフレを引き起こしていた。


錦衣衛に依れば、貴族高官の家ですら平民と同じ物を食べたり来たりしているらしい。北海水軍にはもってこいの相手である。だが、指揮官が居ないのである。そんな時に反社がやって来た。


そんな折、一人の男が遼東を訪れる。甘寧、甘興覇である。元は长江一帯で暴れ回った水賊の頭目だったが、その武勇と才覚を見込まれて、高順の麾下に入ることを志願してきたのである。


「この度は仕官に参りました。どうか遼王殿下にお目通りを…」


「はぁ…、申し訳ございませんが、王府では無く内閣府にお回りください」


しかし、その態度は甚だしく無礼であった。王府の門前で大声を上げ、遼王に直に会うことを要求する。役人たちが内閣府へ回すよう指示しても聞かず、ついには騒動を起こしてしまう。


「はぁ?!テメェ!ざけんなよ?コッチが黙ってりゃつけあがりやがって!おう!?コラ!ちゃっちゃとその遼王っての呼んで来いやぁ!お頭が直々に頭下げて来てんだからよォ!」


「おい!止めんか!こんカバチタレがっ!」


「じゃけんど…!」


「おい…、ワシが止めぇ言うたら止めんかい!おぉう!?其れとも何じゃい?オンドラァぶち殺されたいんか!お?コラ!」


「へい…、すんません…」


「ほいで?内閣府はどう行くんや?」


「はっ、はい!王府より南に真っ直ぐ行けば遼州内閣府と書いてある額縁が有ります!」


「おう、お前ら!行くど!」


「「へい!」」


「お頭ァ、もし、ワシら門前払いでも食ろうたらどけんしやすか?」


「そがなもん、ワシも知らん、じゃけん、ワシらの腕じゃけ、使うてくれるど!安心してワシに付いて来いや!」


「へい!」


遼州内閣府に着いたは良いが、甘寧以下物凄く粗暴なので、田豊以下は追い出せと怒鳴り出した。


「おう!ワシらァこがァなとこ来てまで門前払いたぁどがぁな事じゃ!おう?王を出さんかい!王を!」


「…!この粗暴者がぁ!出て行かんか!お前みたいな者が仕官仕様にも此方から願い下げじゃ!」


「何をぅ?」


「当たり前じゃ!礼儀も弁えん者が、仕官する態度では無かろう!冷やかしなら帰れ!」


「おい!クソジジイ!おどれぇ、そん耳良うかっぽっじって聞けやぁ!こんお方はのぅ!益、荊二州じゃァ知らん人はおらんどう?ひと呼んで『錦帆』の甘寧じゃい!オドレらじゃあ、話にならんけぇ!ちゃっちゃっとその王とやらを呼んで来んかい!出なきゃァここら辺をササラモサラにしてまうど!?」


「…!」


その騒動を聞きつけた賈詡は、状況を冷静に分析した。甘寧の粗暴な振る舞いには問題があるが、その武勇と水軍指揮能力は評価に値すると判断する。彼は田豊らを制し、自ら甘寧たちを客間に招き入れた。


「どうかご立腹なさいますな。役人たちの対応の不行き届きでございます。さあ、まずは一息入れてくださいませんか?」


賈詡振り向きざまに言い出した。


「…、此処は殿下をお呼びした方が良いかと…」


「文和、お前まで…!」


「其れともこのまま奴らをのさばらせる気ですか?」


「…、仕方あるまい?誰ぞ殿下を呼んで参れ!」


「此処はお任せを…」


「では、文和後は頼む!」


「…えぇ…」


「皆、客人を持て成すように…」


こうして、この場は賈詡が収め、甘寧らを客間に案内し、酒肉を以て歓待した。その巧みな対応に、さすがの甘寧も次第に態度を軟化させていく。


「おぅ!すまんかったのぅ!この通りじゃ!」


「此方こそ、ご面倒をお掛けします…」


「殿下はじきに戻られます…、客間にて暫しお待ち頂ければ…」


「忝ない」


流石、ゴロツキ集団である。さっき迄の殺伐とした雰囲気は瞬時に無くなり、飲めや歌えや踊れやの賑やかな宴会が始まった。


「お頭ァ、あの遼王ってのはお高く止まっとりますねぇ!ワシらこげん待たすたァ、えぇ度胸ですよ!」


「まぁ、えぇやないけ!ワシらの事こげん歓待とるんじゃ!気長に待とうや!のぉ!」


「へい、お頭がそげん言うんでしたら!おい!オドレら飲むぞぉ!」


「「おぉう!」」


高順はこの頃、未だに息子を叱責していたのである。

なるべく方言使ってます!広島弁ベースの方言ミックスで合わせておりますのでご容赦ください

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