酒に溺れたダメ男が、戦乱の時代で生きる意味を見つけるまで（旧題:目が覚めたら案外強い武将になっていたので老衰で死のうと決めました）

番外篇 覇王別戟

第十二回 小覇王称覇東南 高将軍一呼百応

青州の城塞都市、高順の居城は、静寂の中に異様な熱気を孕んでいた。高順は、地図を前に、深々と目を凝らしていた。

「冀州は、袁紹の牙城。しかし、その内部は、度重なる戦と内紛により、疲弊しきっている。今こそ、我らが進軍する時だ」

高順は、副将の張燕と曹性を前に、静かに、しかし力強く告げた。その瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。

「殿、冀州への進軍、承知いたしました。我ら、殿の御旗の下、必ずや冀州を制圧してみせます」

張燕と曹性は、高順の言葉に応え、闘志を燃やした。

「張五、お前に先遣隊を任せる。冀州への道を開け」

高順は、張五に命じた。

「承知いたしました！」

張五は、精鋭の兵を率い、冀州への進攻を開始した。

高順は、張楊、公孫瓚らと密かに連絡を取り合っていた。彼らは、袁紹の支配に不満を持つ勢力であり、高順軍の冀州侵攻に呼応して、各地で反乱を起こすことを約束していた。

「張楊殿、公孫瓚殿、我らの軍が冀州に侵攻した際には、約束通り、各地で兵を挙げてください。」

高順は、密使を送り、張楊、公孫瓚らに伝えた。

「高順殿、承知いたしました。我らも、袁紹を討ち、天下を平定するために、力を尽くします」

張楊、公孫瓚らは、高順の呼びかけに応じ、密かに兵を集め始めた。

高順軍は、張五の先遣隊を先頭に、冀州へと進軍を開始した。その軍勢は、規律正しく、精強であり、行く先々の地で、恐れられた。

「冀州の民よ、恐れるな。我らは、汝らを苦しみから解放するために来た。武器を捨て、我らに従えば、汝らは安寧を得られるだろう」

高順は、進軍の途中で、冀州の民に呼びかけた。その言葉には、民への慈悲と、冀州制圧への強い意志が込められていた。

高順軍は、破竹の勢いで冀州へと侵攻し、各地の城を次々と陥落させていった。冀州の兵たちは、高順軍の圧倒的な力に恐れをなし、次々と降伏していった。

「袁紹様、高順軍が、張楊、公孫瓚らと密謀し、冀州へと雪崩込んできました！」

冀州の都、鄴城では、高順軍の進軍と、各地で起こる反乱に、人々が恐慌状態に陥っていた。

「高順め、よくも我が領土を侵略しおって！許さぬ！」

袁紹は、激怒し、高順軍との決戦を決意した。

「全軍出撃！高順軍を迎え撃ち、その首を挙げよ！」

袁紹の号令一下、冀州の兵たちが、高順軍との戦いに向けて動き出した。

高順軍と袁紹軍は、冀州の地で、激突した。高順軍は、精強な兵と、高順の卓越した指揮、そして張楊、公孫瓚らの反乱により、袁紹軍を圧倒した。

「袁紹軍は、内部対立により、もはや戦う力を持たない。今こそ、冀州を制圧し、中原を手に入れる時だ！」

高順は、戦況を見極め、勝利を確信した。

高順軍は、袁紹軍を打ち破り、冀州の都、鄴城を陥落させた。袁紹は、敗走し、高順軍は、冀州全土を制圧した。

高順は、冀州を手に入れたことで、中原制覇への足掛かりを築いた。その勢いは、もはや誰にも止めることができなかった。

許昌城の広間は、緊迫した空気に包まれていた。曹操は、手にした戦況報告書を握りしめ、険しい表情を浮かべていた。

「高順め、冀州を制圧したか。その勢い、もはや止めることはできないのか…」

曹操は、報告書に記された高順軍の進軍速度に、焦りを覚えていた。

「高順軍は、冀州の兵を吸収し、さらに勢いを増している。このままでは、我々は高順軍に挟み撃ちにされてしまう…」

荀彧が、冷静に分析した。その言葉は、広間にいる者たちの不安を煽った。

「ならば、どうすればよいのだ？我々は、高順軍の進撃を食い止めることができるのか？」

曹操は、配下の者たちに尋ねた。

「曹操様、ここは一旦、全軍で豫州に攻め込み、高順軍の進撃を食い止めるべきです」

程昱が、地図を指しながら進言した。

「豫州か…。しかし、徐州からの援軍が来れば、我々は挟み撃ちにされてしまう…」

曹操は、程昱の提案に躊躇した。

「司空、徐州からの援軍が来る前に、豫州を制圧すればよいのです」

荀攸が、程昱の提案を支持した。

「しかし、高順軍は、我々の動きを察知しているはずだ。容易に豫州を制圧できるとは思えない…」

曹操は、高順の知略を警戒した。

「司空、高順軍は、冀州の制圧に兵力を割いています。今のうちに豫州を攻めれば、必ずや成功するでしょう」

郭嘉が、曹操を説得した。曹操は、熟考の末、全軍で豫州に攻め込むことを決意した。

「全軍出撃！豫州を制圧し、高順軍の進撃を食い止めよ！」

曹操の号令一下、曹操軍は、豫州に向けて進軍を開始した。

高順軍と徐州軍の挟み撃ちを恐れた曹操は、豫州から撤退し、許昌城に籠城した。中原の覇権を巡る戦いは、新たな局面を迎えようとしていた。

江東の地は、表面上の静けさとは裏腹に、戦雲が立ち込めていた。周瑜は、高順が豫州と徐州で孤軍奮闘していることを知り、その援軍として前線に駆けつけることを決意した。

「叔父上は、我々を守る盾となり、曹操と袁紹を牽制している。この恩義、決して忘れぬ。今こそ、我々が高順殿を援護する時だ」

周瑜は、孫策に援軍の許可を求めた。

「伯符、叔父上が豫州で苦戦しています。我々も援軍を送り、共に曹操軍を打ち破りましょう」

孫策は、周瑜の言葉に深く頷いた。

「公瑾、お前の判断に任せる。叔父御は我らの盟友だ。全軍を率い、叔父御を援護せよ」

孫策の承諾を得た周瑜は、程普、黄蓋、韓当、朱治、祖茂ら精鋭の将兵を率い、豫州の前線へと向かった。

書簡では高順に報せを送ったが、錦衣衛の伝書鳩の方がずっと速いことを知らない周瑜であった。

叔父上、我々が援軍に参りました。共に曹操軍を打ち破りましょう

周瑜は、高順軍に合流し、共に曹操軍と対峙した。

公瑾、援軍感謝する。これで、曹操軍を打ち破ることができる。

高順は、周瑜の援軍に感謝し、共に戦うことを誓った。

周瑜軍と高順軍は、連携して曹操軍を攻撃した。周瑜は、卓越した指揮と戦術で、曹操軍を翻弄した。

「曹操軍は、兵站が伸びきっており、疲弊している。今こそ、総攻撃を仕掛ける時だ！」

周瑜の号令の下、周瑜軍と高順軍は、総攻撃を開始した。

曹操軍は、周瑜軍と高順軍の猛攻に耐えきれず、徐々に後退を始めた。

周瑜軍と高順軍は、曹操軍を打ち破り、豫州を奪還した。

叔父上、これで、我々は中原制覇への足掛かりを築きました。

公瑾、貴殿の援軍、心より感謝する。共に天下を定めましょう。

高順は、周瑜に感謝し、共に天下を定めることを誓った。

周瑜軍と高順軍は、盟友として、共に中原の覇権を争う戦いに身を投じていく。

曹操軍は、破竹の勢いで豫州へと侵攻し、各地の城を次々と陥落させていった。しかし、徐州からの援軍が到着し、戦況は膠着状態に陥った。

「徐州軍は、予想以上に手強い…。このままでは、我々は高順軍と徐州軍に挟み撃ちにされてしまう…」

曹操は、膠着状態に陥った戦況に、焦りを募らせた。

「司空、ここは一旦、兵を退き、高順軍との決戦に備えるべきです」

賈詡が、曹操に進言した。

曹操は、賈詡の進言を受け入れ、兵を退くことを決意した。

「全軍撤退！許昌城へと撤退し、高順軍との決戦に備えよ！」

曹操の号令下、曹操軍は、許昌城へと撤退を開始した。

許昌城は、高順軍の手に落ち、長きにわたる戦乱は、ついに終焉を迎えようとしていた。高順は、降伏した曹操を前に、静かに佇んでいた。その瞳には、勝利の喜びよりも、深い悲しみが宿っていた。

「曹操殿…」

高順は、静かに曹操の名を呼んだ。その声は、勝利の雄叫びではなく、旧友を呼ぶような、優しく、切ない響きだった。

曹操は、高順の呼びかけに、ゆっくりと顔を上げた。その瞳には、敗北の悔恨と、高順への複雑な感情が入り混じっていた。

「高順…貴殿は、やはり私を超える英雄だったか」

曹操は、静かに言った。その声は、かつての覇気はなく、まるで全てを諦めたかのような、静かで、寂しげな響きだった。

高順は、曹操に近づき、その肩に手を置いた。

「孟徳、今から戯言を言うから黙って聞いてろ」

高順は前世の事を事細かに話し始めて曹操は高順の言葉に驚き、目を見開いた。

「前世…？貴殿は…」

曹操は、高順の言葉の意味を理解し、驚愕した。

「そうだ。我々は、前世で固い友情で結ばれていた。しかし、今世では、敵として戦わなければならなかった」

高順は、悲しみを堪えながら言った。

曹操は、高順の言葉に深く頷き、静かに言った。

「孝父…貴殿との友情、私も忘れていない。しかし、我々は、敵として戦わなければならなかった。それが、時代の流れだったのだ」

曹操は、高順の言葉に共感し、静かに言った。高順は、曹操を抱きしめた。

「孟徳、お前との友情は、永遠だ。たとえ、敵として戦ったとしても、我々の友情は、決して変わらない」

高順の言葉に、曹操は静かに頷き、高順の背中に手を回した。

「孝父…ありがとう。貴殿との友情、私も大切にする」

曹操は、高順の友情に感謝し、静かに言った。二人は、しばしの間、抱きしめ合った。その姿は、敵同士とは思えないほど、深く、温かいものだった。高順は、曹操を解放し、静かに言った。

「孟徳、お前は、やはり偉大な英雄だ。たとえ、敗れたとしても、貴殿の功績は、決して消えることはない」

高順の言葉に、曹操は静かに頷き、高順に感謝の意を示した。

「孝父…ありがとう。貴殿の言葉、胸に刻んでおく」

曹操は、高順の言葉に感謝し、静かに言った。高順と曹操は、前世での友情を胸に、新たな時代の幕開けを見届けた。二人の友情は、たとえ時代が変わろうとも、決して色褪せることはなかった。

許昌城を陥落させた高順は、中原の覇者として、新たな時代の幕開けを告げた。

「民よ、長きにわたる戦乱は、終わった。我々は、新たな時代を築き、民が安寧に暮らせる世を創る」

高順は、許昌城の民に、力強く宣言した。その言葉には、民への慈悲と、新たな時代への希望が込められていた。

高順は、戦乱で荒廃した中原の復興に尽力した。民を労い、税を軽減し、経済を活性化させた。

「民が豊かでなければ、国は栄えない。我々は、民と共に、新たな時代を築く」

高順は、民の声に耳を傾け、民と共に歩むことを誓った。

高順の政治は、民から絶大な支持を得た。民は、高順を新たな時代の指導者として仰ぎ、高順と共に、平和な世を築き上げた。

高順は次の戦略を練り、諸将を集めて会議を始めた。

参加者には呉資、章誑、汎嶷、張弘、高雅、趙庶、張燕、曹性、王当、楊鳳、楊醜、陶昇、張五、羅胤、上官敵、昌豨、孫観、蕭建、尹礼、諸葛玄、朱皓、劉繇、張楊、張遼、公孫瓚、田豫、牽招がいた。

鄴城の大広間は、高順軍の主要な将たちで埋め尽くされていた。高順は、玉座に深く腰掛け、静かに口を開いた。

「諸君、我々は、中原を制圧した。しかし、天下は、まだ一つになっていない。我々は、天下統一を成し遂げるため、次の戦略を練らなければならない」

高順の言葉に、広間は静まり返った。諸将は、高順の言葉に耳を傾け、次の指示を待っていた。

「高順様、我々は、どのようにして天下統一を成し遂げるべきでしょうか？」

諸葛玄が、静かに尋ねた。

「まずは、十年間、兵を鍛え、国力を蓄える。その間に、孫策殿と連携し、荊州を降す」

高順は、具体的な戦略を示した。

「荊州は、豊かな土地と水軍を有する重要な拠点だ。我々は、孫策殿の水軍と連携し、荊州を東西から挟み撃ちにする」

高順は、荊州攻略の具体的な方法を示した。

「高順様、承知いたしました。しかし、荊州は、劉表が守りを固めており、容易に攻略できるとは思えません」

張遼が、慎重に意見を述べた。

「張遼殿の言う通りだ。しかし、劉表は、内部対立を抱えており、隙はある。我々は、内部工作を行い、劉表軍を分裂させ、各個撃破する」

高順は、内部工作の重要性を強調した。

「高順様、荊州を降した後、益州はどうするのですか？」

田豫が、尋ねた。

「益州は、孫策殿らに任せる。益州は、険しい地形に囲まれており、攻略には時間がかかる。我々は、益州攻略に時間をかけるよりも、北へと進軍する」

高順は、益州を孫策軍に任せる理由を説明した。

「北には、まだ多くの勢力が残っている。我々は、それらの勢力を討ち、天下を一つにする」

高順は、北への進軍の目的を示した。

「高順様、北には、どのような勢力が残っているのですか？」

牽招が、尋ねた。

「北には、袁紹の残党、烏桓、鮮卑などが残っている。彼らは、中原の混乱に乗じて勢力を拡大しており、放置すれば、再び戦乱を引き起こす可能性がある。」

高順は、北方の勢力の脅威を説明した。

「高順様、承知いたしました。我々は、高順様の御旗の下、必ずや天下統一を成し遂げてみせます」

諸将は、高順の言葉に賛同し、決意を新たにした。

「諸君、我々は、必ずや天下を一つにする。そのために、力を合わせ、共に戦おう」

高順は、諸将に呼びかけた。

「はっ！」

諸将は、高順の言葉に応え、声を上げた。

「呉資、章誑、汎嶷、張弘、高雅、趙庶、お前らは直属の陥陣営を統率する将軍として兵力を蓄えよ。」

高順は、軍政を担当する将たちに指示を出した。

「稚叔、文遠、伯珪、国譲、子経貴様らは兵を鍛え、戦に備える。兵站の確保、兵士の訓練、戦術の策定に努めよ」

高順は、軍事を担当する将たちに指示を出した。

「張燕、曹性、王当、楊鳳、楊醜、陶昇、張五、羅胤、上官敵、昌豨、孫観、蕭建、尹礼貴殿らは、孫策殿との連携を担当する。荊州攻略、益州攻略、北への進軍など、孫策軍との連携を密にし、助けよ！」

高順は、孫策軍との連携を担当する将たちに指示を出した。

「「はっ！」」

諸将は、高順の指示を承諾し、それぞれの任務へと向かった。