1・無双なる『凡人』 後編
GOTUI海洋基地、通称【グランノア】。
最新鋭の技術を惜しみなく投入したその巨大ギガフロートは、最早基地と言うよりは回遊する移動要塞と言った方がいいだろう。一種の空間転移システムである【門】によって地球上のあらゆる場所に戦力を送り込む事が可能なこの基地は、GOTUIの主力ともいえる特務機動旅団の本拠地であると同時に、GOTUIに入隊したばかりの訓練生を鍛え上げる軍事教練施設としての役目も兼ねていた。
その中で、八戸出 萬が所属する第七期訓練生総合科第1444小隊も、戦士の卵として日々訓練に明け暮れている。
一限、射撃訓練。
「こんなモン……かな? 教官殿、検分をお願いいたします!」
弾倉一つを撃ち尽くして、ライアンは背後の教官へと振り返った。
士官用野戦服を着込んだその男は無言でライアンの元へ歩み寄り、静かに射撃の評価を行っている。角刈りで眉毛の太い、強面のその教官腕は確かであったが、コミュニケーション能力に欠けているとしか思えないくらい口数が少ない。その上――
「あ、あの〜、教官火薬あるところで葉巻は……」
「……俺の背後に立つな」
「ひぎゃっ! チョップは、チョップだけは!」
――ちょっと変わっていた。
ライアンをチョップで沈めると同時に検分を終えたらしい教官は、立ち上がって頷き、葉巻を吸って一息。そして無言のまま振り返りその場を去っていく。
「……報酬はいつもの通りスイス銀行の口座へ」
「え、え? 教官? 評価とか指導とかはどうなったんスか? 何で帰るんスか!? 教官〜〜〜〜〜!?」
二限、格闘訓練。
「破壊力とは剛力にあらず。どれだけ効率的に己が肉体を駆使するか、どれだけ無駄なく力を目標に伝えるか、それにつきる」
萬たち訓練生を前に威厳ある態度で語るのは、中華服を身に纏い長い銀髪を背中で三つ編みに纏めた男。
かなりの高齢だと見受けられるが、服の上からでもはっきりと分かる隆々とした体躯とその身から放たれる威圧感は、年齢を全く感じさせない。
彼――格闘教官は、ゆっくりと胸の前に掲げた手を握ったり開いたりしながら諭すように言葉を続ける。
「重要なのは力の流れを感じ取る事。それを感じればおのずと道は見えてくる。鍛錬とはこれすなわちその道を見出すための行程なり」
そこまで言って、彼は傍らに置かれた己の背丈を超えるほどの巨岩に向かい、軽く構え――
「その道極めれば、この程度は容易い」
――こつん、と軽く殴って粉々に粉砕した。
唖然とする訓練生達の前で、良い仕事をしたとばかりの輝かしい笑みを浮かべた教官は、朗らかとも思える調子で言い放つ。
「さあ、試すがいい!」
無論訓練生は一斉にツッコんだ。
『できるかっ!』
三限、魔法制御理論。
講義室の教卓、そこではスーツの上にローブのような物を纏った、どう見ても小学生くらいにしか見えない眼鏡の少年が、一生懸命に教鞭を執っている。
「えと、四大魔法、つまり火、水、土、風と呼ばれる四種類の象徴が示す系統は、それぞれが変換されるエネルギーの状態を示していると現在では考えられています。まず火がエネルギーの変化、次いで水がエネルギーの融合、そして土がエネルギーの……」
背が足りないため踏み台の上に乗ってホワイトボードに授業内容を記していたその手が、不意に止まる。
しばらくそのまま停止していた少年であったが――
「こ、こちゃ、ここちゃ……すいませえん! この漢字なんて読むんですかあ!?」
――いきなり振り返って泣きそうな顔で最前列の訓練生に尋ねてきた。
「……労働基準法とか、大丈夫なのかね?」
「つーかよ、何でテキストが日本語なんだ?」
「ねえ何かすごくおかしかったよ今の一連の流れ!?」
訓練生がごった返す昼食時の大食堂で、突然声を張り上げるライアン。そんな彼を冷えた目で見やりながら、残りの三人は一斉に言った。
『何を今さら』
「うわーい非常識を日常として完全に受け入れてますよこの人達」
天を仰ぎながら嘆くライアンに、冷えた目をしたままの萬が応える。
「いいかげんここは“そういうところ”だと理解するんだな。状況対応能力は兵士にとって必須じゃあないのか。一応あんた従軍経験者なんだろ?」
「民兵の少年兵だけどな。……そこでもここより規律とかしっかりしていたし、教育もまともだったぞ?」
いやここ教育のレベル自体は高いんだけどなおかしいところはあるけど魔法とかと、ライアンは遠い目になる。ともかくこの基地――いや、GOTUIという組織は、民間上がりだという事を差し引いても“まともじゃない。”とても軍事組織だとは思えない“ユルさ”を持ちながら、その士気、及び実力。そして所有する各種技術はなまなかな物ではなかった。そういったしまりのない、しかし実力だけはある組織であればどこかしら歪みが生じたり、一部の独走を許したりするものだが……最低でもライアンが見る限りそのような様子は見受けられない。全てが(どこかおかしくはあっても)健全に近い形で運営されている。
そんなへんてこ組織でも確かな実績はあるし、広報で見る限り外面は悪くなかったものだから公募に応じて入隊してみたはいいけれど、このカオスっぷりはどうよ。ライアンは未だに予想と現実のギャップに馴染めないでいた。
最初のうちはフェイとユージンもそんな感じだったはずだが、いつの間にか馴染んでやがる。実際端から見れば当然ライアンだって十二分に馴染んでいるのだが、自覚のないまま棚に上げて萬を睨み付けるかのように見てしまう。
こいつは、こいつだけは最初から“こうだった”。何というか、まるで最初からGOTUIにいるべくしている、そう感じられるほどに馴染んでいる。ちっとも見習いたくはないが。
「……何か失礼な事考えてる?」
「イエマッタクソンナコトハナイデスヨ?」
ライアンの視線に含むものでも感じたのか、じと目で冷たく問い掛けてくる萬に冷や汗を憶えながらライアンはおかしな発音で答えた。そんな彼の様子を一瞬訝しげに見た萬であったが、まあいいかとばかりに視線を外し話題を変えた。
「それはそれとして、午後からはシミュレーター演習だったか」
「あ? ああ、そうだったな」
「なにどもってんのさライアン。……いいけどまた無駄弾撃ちまくってヘマこくのは勘弁してよ?」
「う、うるせえよフェイ! ありゃ火器使用の再現精度を見てたんだっての! 実弾とシミュレーターじゃ様子が違うって思ってたんだよ!」
「実際ここのシミュレーターはシャレにならない精度だったわけだが……ま、それが分かっただけでも儲けモン、だったな?」
「ユージン、おま微妙に馬鹿にしているだろう」
『被害妄想だって』
「揃って言うなよマジムカツクなあ!」
じゃれあいながら食事を片づけて、食堂を後にする1444小隊。そんな彼らを影から覗き見る視線があった。
その視線の主はじっと1444小隊の――正確に言えばその中の一人である萬を観察している。細大漏らさずに、まるでストーカーのように。
ぬたりとそいつは嗤う。いよいよだ、いよいよ観られる。証明できる。我が主に相応しいと見初めた人間の力を。凡庸なるただの人が辿り着いた、“極み”の破片を。
そいつは人知れずほくそ笑む。
「え? あら、何ちょっとこの子、かわい〜」
「あ、ほんとだあ」
「!?」
「あ、ちょっとちょっとだっこさせて。……きゃ〜ふわふわ!」
「!!!???」
感情の波を示すかのように、無人のコクピット内でインジケーターが瞬く。
格納庫の中で静かに眠る、大型戦闘機のように見えるその機体に与えられた型式番号は【TX‐04】。
鋼鉄の怪鳥は、ただ静かに目覚めの時を待つ。
仮想演習訓練所に用意された人型機動兵器シミュレーター筐体は予備を含めて50基。数の関係上最大で三個中隊48名までしか同時に運用する事ができない。
本格的な大隊、師団単位の大規模演習は訓練用の実機が各部隊に配備されてからになるので全数――統合科訓練生師団254名分のシミュレーターを用意する必要はないから問題はないのだが。
はてさて今回はどんな演習だと、萬は一型基本装備を身に纏いながら思う。
シミュレーター演習は通常二個中隊単位で行われる。丁度教官2、3名で指導しやすく、かつ集団戦闘、小隊別の対抗戦など訓練のバリエーションも豊富なものとなるのでそのように決められたのだろう。それ自体は別に珍しい話ではないが、ここのシミュレーター演習は他にはない独特な方針で行われていた。
環境、部隊編成、装備等々、毎回毎回状況が変更され、しかもその全てがこれでもかというくらい“最悪な”設定の元展開されるのだ。
スクランブルを想定してか事前のミーティングがないなどという事はざら。酷い時にはシミュレーターに搭乗して起動させた途端全ての機能が壊滅状態だったなんていう状況もあった。
噂によればシミュレーションプログラムはグランノアの中央情報管制セクションが誇る超級複合人工知能【ノルン】によって組まれているとの事だが、それが真実だとするならばえらく性格の悪い人工知能もあったものだ。多分設計したヤツがとんでもない根性曲がりで、その性質を受け継いでいるに違いない。自身の考えに苦笑いを浮かべる萬。
まあおかげさまでかなり実戦に近い訓練を受けられる事は確かだ。もっとも萬からすればまだ緩いとも思えるのだが、これ以上の訓練を受けられるところなど本物の戦場以外は他にないだろう。
網膜投射式ディスプレイが内装されたヘッドギアを付け、支給品のパイロットジャケットを羽織る。更衣室を出ればすぐにブリーフィングルーム。先に用意を終えた訓練生達が会話をしたり携帯端末を弄ったりしてそれぞれ思い思いに時間を潰している。
「相変わらず着替えるの早いねえ萬。何かコツでもあるの?」
「男の着替えなんか見てても楽しくないだろう。とっとと済ますに限る」
いきなり背後に現れて声を掛けてきたフェイに驚くことなく萬は言葉を返す。ちえーつまんないのと何気ない風でフェイは席に着くが、彼は内心舌を巻いていた。
とにかく萬という男は動揺しない。咄嗟の状況でもいち早く反応して対処を行う。本人曰く「予想外の事が起こるのは慣れてる。条件反射だ」との事だが……どんな経験を積めば機体小破かつ地雷原のど真ん中で孤立なんて状況で冷静に対処できるのか。僕も結構過激な修行積んでいるんだけどなあと、某拳法流派の宗家に生まれたフェイは半ば自信を喪失しながら心の中だけで苦笑していた。
彼は知らない。萬がどれだけ“運悪く生き残ってしまった”かを。
ややあって小隊の残りや他の面々も現れる。かっちりと一型の上からジャケットやコートを纏っている女性訓練生の姿を見てライアンなんぞは露骨に舌打ちなんかしているが、そういう事するからもてないんだと萬たちは揃って思う。大きめのジャケットなんかを纏って恥ずかしげにしてる女性訓練生たちの姿は結構可愛いし、知らんぷりをしていればそれなりに隙も見せるのに。
あほだねホントと三人が視線だけで語り合っていると、時間通りに教官が姿を現した。今回の担当は嘗て正規軍でエースを張っていた人物。一見穏和に見えるが、噂では数分で10機以上の敵を撃墜しただとか単機で落下する隕石を止めただとかとんでもない逸話を持っている、らしい。
出向という形で引き抜かれたその教官は、訓練生全員が揃っているのを確認すると一見軍人とは思えない軟らかい表情で口を開く。
「全員揃っているようだな、よろしい。では早速今回の演習についてなんだが――」
そこで教官は、苦笑いを浮かべた。
「残念ながら、今回“も”ブリーフィングはなしだ。各員はシミュレーターに搭乗後与えられた状況に対し自己判断、それぞれ各自で対処して貰う事になる。どのような状況下で演習が行われるかは僕にも分からないから質問とかは無駄だよ」
またか、と言いたげなげんなりとした空気が流れる。もう慣れた。もう慣れたけど、いい加減真っ当な訓練がしたい。訓練生のほとんどがそう思っていた。確かにここで受けられる演習は実戦向きといえるかも知れないけど、同時にランクが高すぎる。訓練なんだからもうちょっと手加減して頂けないでしょうか。そう雰囲気が語っている。
実戦に出たらそんな事言ってる余裕ないんだけどねと、教官と一部の訓練生たちは思うが、それは多分口に出したところで理解しては貰えないだろう。多分それは実際の戦場に出て学ぶものなのだから。
僕も年を取ったなと僅かに自嘲してから、教官は言葉を続ける。
「それでは仮想演習訓練所へ移動しよう。各員割り当てられたシミュレーターに搭乗後指示を待つ事。設定が終わり次第演習開始だ、気を抜かないように」
『了解!』
敬礼と共に帰ってきた返事だけは軍人らしい。
シミュレーターに搭乗すると同時にシステムを起動。流石に半年以上も訓練を受けていれば慣れたもので、一連の動作には全く澱みがない。
さて今回の機体設定はと、モニターに表示される情報を確認してみる。
「【ブロウニング】……か。今回はえらくサービス良いな」
HMU‐17Vブロウニング。GOTUIで運用されている最新鋭の人型機動兵器だ。
20メートル級の標準的なスケールの機体に小型かつ高出力のプラズマエンジンを三基搭載し、高い汎用性、拡張性、整備性を兼ね備えた高性能機であるが、生産コストがかさむため未だ大量生産には至っておらず、エースパイロットや特殊部隊などへ優先的に配備されている。
いつもであればその一世代前に開発され広く運用されている【ガヴァメント】や、その他の量産機が設定されるはずだが……いずれ使う事になるかも知れないのだし、一度くらいは高性能を実感しておけという事なのだろうか。
まあいいかと深く考えるのを止め、萬は機体本体のチェックを手早く終え、次に装備の確認へと移る。
しかし装備確認画面を呼び出したその顔が、僅かに歪められる。
「フリーセッティング? 勝手に好きな得物を選べっていうのか?」
どうにもおかしい。通常の訓練であれば最初から機体の装備は限定されているか、小隊単位で支給され隊内で役割に合わせ分配するという形を取る。最初から個人の性質に合わせて選択されているというのならばともかく、訓練生に選択を任せるなどというのは前代未聞だ。実戦に出たらそのような事はまずありえないのだから。
何か胸騒ぎを感じ、僚機に確認を取るため通信回線を開こうとして――通信回線が完全に閉鎖されている事に気付く。僚機と連絡が取れない状況を想定してあるのか、単機で行動するミッションなのか。どちらにしろ確認は取れないようだ。
仕方がない。どのようなミッションなのかはまだ分からないが、折角好きに装備を選べるのだ、どのような状況にでも対応できるようにしておくかと、萬は前向きに選択を開始する。
ブロウニングの固定武装は両肩の前面装甲内部に選択式でコンバットナイフあるいはPLD――レーザーソードと、チャフ・スモーク及び偽装デバイス放出機しかないが、各部に計10の装備機構がある。これに両手を加え、さらに追加装備用の延長アームを使用すれば最大22基の武装が装備可能である。しかし考えなしに搭載すれば当然機体の重量は嵩み、機動性が著しく損なわれるので慎重に選択しなければならない。
萬がまず選んだのは空間振動推進器。両刃の大剣のようにも見えるそれは、空間の歪みを振動波に変えて推進力を得る装備である。多少重量と体積は取るが、既存の推進器と違い推進剤を搭載する必要がないため機体から電力が供給される限り無制限に使用する事が可能だ。これを腰の両側に1基ずつ、そして腰部後方に延長アームを介して2基装備する。基本的に2基あれば機体に飛行能力を持たせる事が可能だが、装備重量の増加を見越して余裕を持たせた。
次いで両腕の主兵装。選択できるのは両手と両肘の部分にある装備機構の分を合わせた最大4つ。両手以上で支持する大口径火器などは威力が高いが重量もあり小回りがきかないので除外。まずは右手。威力はそれほどでもないが弾切れがなく継続戦闘能力の高い銃剣付きレーザーアサルトライフルをチョイス。そして気象条件や電磁バリアなどでその威力が減退する事も考慮に入れて、右肘には実体弾兵装である60ミリガトリングランチャー。中近距離の射撃はこの二つで受け持つ。さらに左腕。選ぶのは大型格闘兵装にカテゴリーされる武器、バイスパイルバンカー。先端にある巨大なクローアームで目標に掴みかかり、電磁射出式の杭を叩き込む強力な武器だ。結構な重量があり手と肘の装備機構双方を使用する必要があるが、その分威力は折り紙付き。当たり所が良ければ一撃で相手を沈められる。またこれも消費するのは電力だけなので継続戦闘能力は高い。
そして背中にある二つの装備機構に充てる遠距離を受け持つ武装を選ぶ。右には180ミリ電磁レールガン。射程距離、威力、装弾数のバランスがそこそこのレベルで取れており、重量もこのクラスの武器にしては軽い方だと言えるだろう。使用する弾頭は榴弾。貫通力や純破壊力よりも効果範囲を重視した。左は中口径ビームキャノン。射程距離や威力を保ちながらも可能な限りの小型化、軽量化を目指したというそれは設計思想に反しどこか中途半端といった感がある。しかし使い勝手は悪くないと萬は個人的に思っていた。それに重量のバランスが電磁レールガンとほぼ釣り合いが取れるので同時に装備するには丁度いい。
さらに両肩。ここに装備されるのは8連装ボックスが2個でセットになった小型ミサイルランチャーが併せて2基。チタン散弾の弾頭はそれほど破壊力があるわけではないが、ミサイル自体の追従性は良く命中率は高い。牽制や敵集団を“散らす”には便利のいい武装である。前面装甲内の選択武装はナイフにした。これなら故障が起こって使用不能になるといった事がない。
最後に腰部前面にフロントアーマーを兼ねたガンケースを二つ取り付け、予備兵装として30ミリサブマシンガンを2基装備。これで武装は終了だ。
多少重量が嵩むセッティングであったが、4基のスラスターのおかげで直線移動時の加速はかなりのものだ。機動性は少々犠牲になり小回りはさほど効かないが、このレベルのセッティングにしては十分だと言えるだろう。
後は機体の方でオートアジャストするだけかと思った時、見計らったかのようなタイミングでミッションの指示が伝達されてきた。
その内容を見た萬の眉は再び顰められる事になる。
「砲戦仕様たあ、分かってるねえ」
ライアンは設定された自機のセッティングを確認して満足げに頷く。両腕と腰部前面の装備機構で支持する三段加速式の220ミリハイスピードレールキャノン。両肩の80ミリガトリングランチャー。ご丁寧に大型レーダードームの付いた大出力電子戦闘ユニットまで装備されたライアン好みの装備群。接近戦を完全に捨て圧倒的な火力で遠距離からの支援および制圧を目的とした仕様であった。
機体もブロウニングだしこいつあご機嫌だぜと、鼻歌を奏でだしかねない勢いで通信を開く。
「あろあろ〜、ライアンだ。お出かけの準備は整ったかい皆の衆?」
これから演習が待っているというのにやたらと呑気な声だぜと、ユージンは皮肉げに思う。ライアンという男、腕は悪くないのに被撃墜率が高いのは調子に乗りやすい性格だからだろう。真剣になればそこそこの成績を収められるのに、真剣になるまで時間がかかるある意味スロースターターなのだ彼は。
まあアレが真剣になるのは“ヤツ”と対戦するときぐらいだけどな、そう思いながら返事を返す。
「こっちはOKだ。高機動の攪乱戦闘仕様なんておあつらえ向きなドレスを用意して貰ってる。フェイ、そっちはどうだ?」
答えるフェイは、いつも通りの飄々とした様子であった。
「こっちはガチンコ仕様だね。今回随分とサービスが整ってる。こうも都合がいいと何かあるんじゃないかと勘ぐっちゃうよ」
多分きっついミッションなんだろうなと苦笑しながら通信を回そうとして――
『あれ?』
――三人とも気付いた。
自機を含む小隊単位の僚機コンディションパラメーターが、“三機分”しか表示されていない事に。
「……ち、変則編成かよ」
忌々しげに言うライアン。前線で欠員が出たことを想定して、たまにこのように小隊のメンバーが揃わない編成になる事がある。最悪全員がバラバラになって全く別の部隊と組まされる事もあるのだが、今回はまだましな方だったようだ。いや、“場合によっては”そうでもない。
なんかやーな予感がするぞと眉を顰めたライアンたちの元に、タイミングを見計らったかのようにミッションの内容が伝達される。それを見たライアンは目を丸くした。
「オイ待て、俺に全体の部隊指揮執らせよってのか? って、しかもこのミッション、まさか……」
ミッション内容を知ったライアンは額に手を当て、ユージンは十字を切り、フェイは肩を竦める。
そして揃ってこう呟いた。
『最悪だ』
演習が始まった途端、1444小隊以外の訓練生たちは面食らう事になる。
ミッションは強襲対応。展開している部隊に襲撃をかけてくる敵勢力を迎撃するという物だ。それ自体は特におかしなところがない。なぜか最新鋭機であるブロウニングを宛われて個人に合わせた装備が支給されたので妙にサービスいいなあと皆思っていた程度だった。
しかし、全指揮を任されたライアン・チェントが口を開いた途端、全員が度肝を抜かれた。
「総員! 細かい話をしている暇はねえ! 文句は終わってからいくらでも聞いてやる全機周辺警戒! 空間偵察仕様のヤツは全機にリンク回して上空旋回索敵! 格闘仕様はフェイに、中距離機動戦闘仕様はユージンに従え! 砲戦仕様は俺に、残りはフォロー頼む! フォーメーションは砲戦中心に円陣全域、状況によって広域展開に移る! 急げ!」
お気楽極楽を絵に描いたようなあのライアン・チェントが、まるで人が変わったかのような様相で鬼のような勢いの指示を飛ばしている。指揮のセオリーを完全に無視し、しかもコールサインを使用する事すら忘れているその勢いにほぼ全員が面食らうが、次の瞬間には我に返り、一体全体何事だとオープン回線で1444のメンバーに問い合わせようとした。
その一切合切を「いいから急げつってんだろ!」と目を血走らせながら一蹴するライアンの様子を見て流石にただごとではないと思ったか、全員が納得の行かないまま渋々と指示に従う。指揮任されてテンパったかと誰もが思っていたが、幾人かが“その事”に気付く。めざとい誰かがこう呟いた。
「あれ? 何か一機足りなくね?」
人型機動兵器は通常4機で一個小隊を組む。これが四個小隊合わせて一個中隊。二個小隊になると32機という計算だ。勿論GOTUIの部隊編成もこれに倣っている。
で今回編成されている機体は31機。見れば1444小隊が1機欠けている。つまりアレか? これってもしかすると……。
全員がその推測に至ろうというその時、ライアンが緊迫した声を上げた。
「来たぞ方向4時! 砲戦縦列展開、制圧射撃用意! 射程に入ると同時にありったけたたき込め! ユージン! 部隊左右に分けて側面から十字砲火でぶちかます用意! もし制圧射撃抜けてきたらヤツの足止めろ! それでも止まらなきゃフェイんトコでフクロにしてやれ! 旋回索敵やってるのは目ェ離すなよ? ヤツぁ予想の斜め上くんぞ!」
訝しく思いながらも全員が指示に従い、部隊を展開させる。その最中高い索敵能力を持った機体に乗っている者達は見た。
荒野の彼方、豆粒のように見えるその姿を。土煙を上げながら地面すれすれを、高速のホバリングでこちらに真っ直ぐ突っ込んでくるそいつを。
31対1。そんな絶望的な戦況に飛び込んでくる、八戸出 萬駆る野戦迷彩に塗り上げられた、たった一機のブロウニングの姿を。
「なるほどね、これが面白い趣向、か」
ジェフリーは唸るように言った。
この戦力差をひっくり返せる者なんぞ、正規軍のエースパイロットでも特殊能力保持者くらいしかいないだろう。それも専用機やカスタム機、特殊戦闘型などを用いてだ。基本的に同じスペックの機体では、たとえエースといえど対抗するのは難しい。
ましてや搭乗訓練を受け始めて僅か半年の訓練生の事。相手は同じ訓練生、無論経験値も同じなのだから腕は互角。しかもそれぞれ最適に近い装備を与えられた状態である。これで戦力差をひっくり返せるようであれば、奇跡以外の何物でもない。
「……しかし八戸出 萬の演習評価はそう高い物ではない。任務達成率、撃墜率共に目立ったところはなし、被撃墜率も並。……む、小隊内での対戦成績は良いな。だがそれだけでこの状況を乗り切れるとは思えんが」
その言葉に隣でモニターを見ている蘭が答える。その顔は微笑を浮かべていたが、目の色は真剣な物へと変わっている。
「わたくしもそう思いますわ。……ですが根拠なくこのような事をやらせるほど、ノルンは酔狂ではありません。確実に何かが起こる、そう考えて差し支えないでしょう」
そこまで言うのならば見せて貰おうではないか。ジェフリーは口を紡ぎ、モニターに集中する。
仮想の戦場の中で、宴が始まった。
自分が指揮を執らされたのは、多分八戸出 萬という男と一番相対したことがあるからだろうとライアン・チェントは推測していた。多分他の人間であれば反応が遅れていたであろうし、小隊内で主に後方支援――戦場を見渡す立場にあったからこその選抜なのだろう。
完全に八戸出 萬対策としか言いようのない布陣。しかしそれでも完全に勝利できる自信がライアンにはなかった。
恐らく自分と小隊メンバーしか理解できまい。確かに端から見れば萬の成績はそれほど振るわないように見えるだろう。だがそれは――
「俺たち他のメンバーが、“足引っ張ってるせいだ”なんて思わないよなあ普通。……っと、きやがったか」
思考を切り替え機体を操作。萬はもうこちらの有効射程範囲内に入ろうとしていた。
リンクした僚機からの情報で向こうのセッティングは把握している。一応長距離砲撃戦にも対応してはいるようだが、有効射程はこちらが上だ。それに踏み入れた途端全開で叩き込む。単純だがそれ故に逃れる手はほとんどない。
考えている間にもレーダーの点は進み、いよいよその瞬間が訪れようとしていた。全力全開射撃、そうライアンが命じようとしたその瞬間、先手を取られる。
電磁レールガンの連射。射程が足りていないのに何の真似だと一瞬思うが即座にその意図に気付いた。布陣された部隊の手前に着弾した砲弾が炸裂し、土煙が舞い上がって視界を遮る。煙幕代わりか、だが機体の反応は完全に誤魔化せていない。冷静に対処を執ろうとしていた矢先に次の手が打たれた。多数の熱源反応、ミサイルの全弾斉射だ。しかしこれも射程が足りていない。また煙幕代わりか、けれど着弾するまで――思考は途中で遮られる。ビームキャノン。横なぎに掃射されたそれは、先行していたミサイルの何割かを飲み込み爆散させ、予想外の形で視界を遮りレーダー、センサーを妨害。さらに遅れてあちこちに着弾したミサイルの爆発がそれを拡張させる。その上で捉えるのが難しくなった萬の反応が多数に増える。偽装デバイスを射出したのだ。やられた、これではどこからくるのか予測が付かない。すでに煙幕の中に突入したので上空からも捉えられないし、ものの数秒でヤツはこちらの目の前に現れるだろう。だが――黙ってそれを許すつもりはない。
「構うな! 全ての反応に向かってありったけ叩き込んでやれ! 確実にどれかがヤツだ!」
これでカタが付くとは思わないが、ともかく反応しなければやられる。いち早く動き出してさあぶっ放すと思ったら派手に動く反応が一つ。
「そこかあ!」
間髪入れずにトリガー。カートリッジの炸薬による一時加速、電磁バレルによる二次加速、そして砲弾自体のロケットモーターによる最終加速を経た弾頭の速度は秒速数キロに達する。ハイスピードレールガンの名は伊達ではない。伊達ではなかったのだがそれはあっさりと外れる。しかし。
「上か! 丸見えだぜ!」
わざわざ煙幕から飛び出し飛翔する萬の機体。これは自殺行為に等しい。ビームやレーザー兵器が発達し、実弾兵器の命中精度も向上した昨今、考えなしに空中を飛行すれば単なる的に成り下がるのだ。それに萬の機体のスペックは全て把握されていた。いくら加速が良くてもその機動速度は予測できる。
できるはずだった。
「なっ! 速い!?」
放った砲弾は、ことごとくが外れる。僅かではあるが予想より機動速度が速かったのだ。その理由に気付いたのは上空で旋回偵察していた僚機が餌食になる直前だった。
全弾を撃ち尽くしたミサイルランチャー、それを捨てたのだ。いきなり使い尽くしたのは単に煙幕を張るためだけじゃあない、機体を軽量化して速度を上げ、こちらの予測射撃を回避する目的もあったのか。歯噛みした時にはすでに遅く、回避し損ねた僚機がバイスパイルバンカーのクローに捉えられる。
「……すまん」
僚機に謝りながら照準を合わせた。恐らく一瞬後には僚機は撃墜される。だがその時には僅かながらも萬の動きは止まるだろう。味方を犠牲にする最低の手段だが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
僚機が爆散し、味方機を示すシグナルが消え――なかった。
パイルバンカーを作動させていない、つまり掴みかかっただけ。その目的は即座に知れた。
「野郎盾にしやがったか!」
味方機のシグナルが射線上に重なっている場合、FCSは自動的にトリガーをキャンセルする。その特性を利用したのだ。萬はそのままスラスターを全開、真っ直ぐに布陣の中央へ突っ込んでくる。
僚機も抵抗しようとしたが、二機分の重量と重力の加速も加わった勢いは止められない。むしろ抵抗することによって軌道が僅かながら不規則になって射線が安定しなくなる。FCSのロックを殺してライアンは落下位置を予測。この場合ヤツなら真っ先に指揮か一番反応の早いヤツを狙うはず――
「――って両方とも俺だよ!?」
気付いた時には目の前に鋼鉄の塊が降ってきていた。
ライアン・チェントはあっさり墜された。
流れが、観える。
一度目はどういう反応をしただろう、気が付けば死にゆく母を目の前にぼろぼろ泣いていた事しか覚えていない。
三度目で慣れた。ヤバイと思ったら真っ先に動く癖がついた。
五度目で理解した。ただ逃げるだけではなく、ど真ん中に向かって突き進む方が被害が少なくなる事もあると。
いつからか心の底に焼け付くような熱さを感じながらも、同時に思考をクールに保つ術を覚えた。そうなると唐突に、世界が変わった。
流れが、観える。
その隙間に自身をねじ込め。そして、潜り抜けろ。
それこそが、それのみが。
たった一つの生き残る術。
「これは……驚いたな」
戦況を示すモニターを覗き込みながら、演習教官は我知らず呟いていた。
動き自体は決して速いものではない。だが誰よりも速く判断し、機先を制し予想外とも言える機動でイニシアチブを取って一機一機を確実に落していく。それにより混乱を生じさせ、さらに有利な状況を作り出し戦況を支配している。
自身も特殊能力――最早予知能力とも言える感覚を持つから分かる。彼は“凡人”にすぎない。特殊能力どころか突出した技術も持ってはいない。だが自身に今何ができるかを完全に把握し、それを最大限に生かす術を心得ているようだ。
戦場の経験者か。恐らくは相当の修羅場を潜っているはず。
「………………ふむ」
「ほう、見事なものよ。濁流を流れる木の葉のごとき見切り、なまなかではないな」
「す、すごいです。フィジカルパラメーターも軽度の興奮状態からほとんど変化してません」
いつの間にやら傍らに現れた教官たちに、しかし演習教官は驚かない。
「いつこちらへ?」
振り向きもせず放たれた問いに答えるのは、格闘教官。
「つい今しがたな。何やら面白い余興が行われると小耳に挟んだのよ。……思った以上の事で驚いたが」
笑いを含んだ言葉。しかしその目は真剣な色を湛えていた。
「これでは他の者はついてこれまい。技量は同等でもそれを使いこなすという領域ではかの者とは天と地ほどの差がありよるわ」
「しかし、それは同時に欠点でもあります。他の者と足並みが揃えられないという事は、集団戦闘ができないという事なのですから」
“戦闘”ならばそれでもいい。しかし単一で突出した技能だけで生き延びられるほど、“戦争”は甘くはない。スタンドアローンはいずれ身の破滅を呼ぶ。
「【白い悪魔】の言う台詞でもないと思うがな。ワシも人の事は言えぬが」
嘗て一人でウォーバランスを覆すと言われたパイロットに、東方にて負けを知らずと謳われた武道家が言う。そこで紫煙と共に新たな言葉が吐き出された。
「…………だが、ヤツは違う」
人類史上最高峰のスナイパーは、鋭い眼光でモニターに見入ったまま言葉少なく語る。
「…………あれは“生き延びてしまった”強さだ」
「? ……えっと、どういう事ですか?」
異世界から修行の名目で教鞭を執るために来訪した幼き魔法使いが問い掛ける。それに答えるつもりがないのか、射撃教官は無言のまま踵を返した。
「あ、あの?」
「結末が見えた以上、見る必要はないという事かな。気にしないで良いよ」
戸惑う魔法教官に、苦笑を浮かべながら声を掛ける演習教官。そして射撃教官が言わなかった部分を引き継ぐように言葉を続ける。
「要は僕らが思いもよらない経験を彼が積んでいるって事さ。好むと好まざるにかかわらずに、ね」
わけが分からないといった顔で小首を傾げる魔法教官。理解が及ぶには彼は幼すぎる。
普通はそれで良い。それが当たり前のことだ。故に演習教官は憂いと悲しみを覚える。
八戸出 萬。彼はどれだけの地獄を見てきたのだ?
萬の演習成績のデータを見直して、ジェフリーは思わず声を出していた。
「一対一、または一対多数の戦闘ではほぼ確実に勝利。……他のミッションでも、たとえ撃墜されたとしても確実に脱出、生存率は90%以上だと?」
改めて資料を見直しある事に気付く。萬が入隊する前の経歴、そこに不透明な部分が多い。約7年前から入隊する1年ほど前までのほぼ5年間、その部分が空白になっている。
どういう事だと蘭の方に視線を向けてみれば、心得ていますとばかりに答えが返ってくる。
「本人曰く、不本意ながらあちらこちらを転々としてことごとく戦闘に巻き込まれたらしいですわ。魔法による記憶走査によって嘘は吐いていないとは分かっていますが……眉唾物の話でしょう? ですけれど……」
「なるほど、本当だとすれば戦場の空気は知っているという事か」
驚愕と同時に得心。本格的な訓練を受けたのは同時期でも、もともとの経験値が違ったのだ。ならば集団戦闘で突出した成績が出ないのも分かる。周囲に合わせるならば彼の戦闘技術自体は同レベル、つまり“並のパイロットに成り下がってしまう。”
スタンドアローンでしかその能力を発揮できない一般兵士。そんなもの、普通は使い物にならない。
そう、“普通であれば。”
「……だからこその選抜。だからこその【TEIOW】か」
モニターの中には、生き残ったたった一機のブロウニングが満身創痍で佇んでいる。
各部の装甲は剥がれ落ち、自身が装備していた武器を全て使い尽くした挙げ句に撃墜した機体から奪った武器を無理矢理使用して、最後はちぎれた自機の腕やその辺の岩までも武器にして戦う無茶ぶりを見せていた。
だが、生き残った。奇跡としか思えないような“必然”を見せつけた。
認めざるを得ない。彼は強者であると。
モニターに集中しているジェフリーは気付かなかった。同じようにモニターに注目している蘭が、そして傍らに控える従者が、何かを探るようでいて同時に何かを期待するかのような視線をモニターの中に向けている事に。
演習が終了すると同時に訓練生たちから祝福とやっかみを込めた歓迎を受け、もみくちゃにされている萬。その様子を訓練所上部のキャットウォークから眺めている三つの影があった。
「ふ〜ん、あれが“四人目”なわけか」
左肩に小鳥のような物を留まらせた影が言う。
「石炭、な。石っころのようでなかなか火ぃ点かへんけど、一旦火が点いたら静かに燃えて鋼をも溶かすっちゅー事かい」
足下に子猫のような物をまとわりつかせた影が応える。
「んふ〜、でもあれだけじゃあ、ねえ?」
胸元に、マンボウのようなものを抱いた影が口にする。
「何する気? またぞろ愉快な事考えてるんじゃないよね」
「あんま派手にやると怒られんで?」
「ちょっと試させてもらうだけよお。だいじょぶじょぶ」
この日より、萬の運命は大きく変わる。
それは地球の運命をも揺さぶる、新たな伝説の始まりを意味していた。
次回予告っ!
地球に攻め入る数多の勢力。
それまで互いに牽制し足を引っ張り合っていたそれらが、ある勢力に統合される。
着々と進む地球再侵攻計画。そんなものが進行しているなどとは全く気付いていない萬は、なぜか謎の美女と果たし合いをしていた。
何を言っているのか分からないというのであればとりあえず見ろ。
次回鬼装天鎧バンカイザー第二話、「強者たち」にコンタクト!
やっと一話終了。
30分アニメ一話分のつもりが後半趣味に走って増量。しかも肝心の戦闘シーンがショボすぎ。
一応最終話までの構想はありますが、終わるのはいつになりますやら。
あと戦闘シーンは好きな燃えBGMを流しながら読んで頂くと幸せになれるかも知れません。保証はいたしかねますが。